短編2
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遠い日の記憶

花言葉は何だったかな?

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怨みとかそんな縁起でもない言葉だったかな?夏になると思い出す…人の記憶なんてものはいい加減なものだ。

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僕には4つ離れた弟がいた…弟は今の当時のままの姿で僕の遠い記憶のなかで生きている。弟は3才で亡くなった…

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当時、小学生だった僕は午前中に授業が終わり家が目前と言う所まで帰っていた。家の前の小さな庭で弟が遊んでいるのが目についた…

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弟も僕に気がついたらしく「お兄ちゃ~ん」っと両手を広げ僕にくらいつく格好で走ってきたんだ、

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家の前には車通りの多い道が通っていてね、危ないなぁって思っていたんだ。僕の記憶はそこまでしか覚えていなくてね…

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弟が車に跳ねられて亡くなった事は後に自覚したのかな?

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僕が弟を殺したようなものさ…今でも夢を見るんだ、当時の夢をね… 弟が叫びながら「助けて~お兄ちゃん~」って走ってくるんだ

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弟の後ろに…後ろには…

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僕が…僕が居るんだ…弟を 背後から車通りの多い道に突き飛ばしたんだ

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黙って僕の話を聞いていた弟は困ったような悲しいような顔で兄さんは僕を助ける為に跳ねられそうになる僕を突き飛ばし犠牲になったんだよ5日間生死をさまよい 意識を取り戻したんだよ幸い一命をとりとめたんだ。

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所で兄さんこの花は何て言うんだろ弟切草だっなたかな?花言葉は何だったかな?怨みとかそんな縁起でもない言葉だったかな?弟切草の花の名前の由来には悲しい伝説があるんだよね…

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この花で作る秘薬の秘密を洩らしてしまった弟を兄が切り殺したと言うんだよね。その時の返り血が花に飛び散りそれで弟切草は所々赤いんだってね。兄さんを殺してしまったようなもんさ…弟の僕が兄である兄さんを殺してしまったんだよ…

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兄さんは遠い日々を見つめるかのようにひぐらしの鳴く中、彼方の山をぼんやり見つめていた。

Concrete
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