闇タクシー《怨返し屋特別編》

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闇タクシー《怨返し屋特別編》

これは怨返し屋特別編と題して書いており、ネタ満載な仕様となっておりますので不愉快な思いをされる方もいらっしゃるかもしれません。

それでも読みたいと思っていただけるならこのままお進みください。

ではどうぞ…

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「ふぅ〜。やっと終わった。」

「先輩お疲れ様っす!」

「お!マガちゃんも残業だったんだ!…んぢゃこのあと一杯いかねぇ?」

「先輩〜俺のコレがこれなもんで…今日はすみません!」

…なんて古典的な返しをするのは半年くらい前に俺の部署に異動してきた真月陽(まづきよう。周りからはマガちゃんと呼ばれてる)

せっかくの花金なのに可愛い後輩に振られた俺は諦めて帰路につくことにした。

ま、先週籍入れたとこだしな。仕方ない。

あ、ちなみに俺の名は太郎。

「じゃ、先輩お先っす!」

トンっ!真月は太郎の背中を軽く押して走っていった。

「…おっと…おう!じゃあまた月曜な!」

…さてと。

タクシーでもひろって帰るかな。

なんて思いながら会社の近くにある駅のターミナルへ歩いて向かった。

ちょうど終電がなくなり人もまばらな時間帯なのだが、タクシー乗り場には数台のタクシーとそれを超える人数の列ができていた。

「…チッ。これじゃ帰れねぇじゃん。」

この先にタクシー乗り場なんてないし戻ってくるタクシーを待つにしてもいつ帰れるのかもわからない。

ここから二駅歩くうちにすれ違うタクシーを拾えばいいかな…なんて考えながらまた歩きだした。

しばらくすると橋が見えてきて渡りきった所にタクシーが停まっているのが見えた。

このタクシーを逃したら次は厳しいな。

なんて思いながら誰かに取られる前につかまえなくてはと思い自然と早足になる。

「…はぁ…はぁ………ん?」

タクシーに近付くにつれて何か違和感があるような気がした。

見た目は普通のタクシーなのだが会社名が見たことのない名前で

〜闇〜

と一文字だけ書いてあった。

変わった社名だなとは思いつつ背に腹はかえられぬということでタクシーに近付き窓をノックした。

コンコン……ガチャ

「…どちらまで…」

「〇〇町のタワーマンションまでお願いします。」

運転手はこちらを見ることもなく俺の行き先にも返事をすることもなく運転をし始めた。

少々疲れ気味な上に歩いたので疲労感が半端なく、運転手の対応にイライラしながらも眠気には勝てずすぐさま夢の中へ…。

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「………さ…ん……お客さん!着きましたよ!」

ん?もう着いたのか?

眠い目を擦り辺りを見渡す…

「……んん⁉︎」

一瞬で眠気も飛んでしまったくらい衝撃的なことになっているのだが…

一体ここはどこだ?

「おい、俺は〇〇町のタワーマンションまでって言ったよな?ここはどこだよ!」

見知らぬ土地に連れてこられた訳だしそりゃ誰だってこんな口調にもなる。

「お客さん。間違いなくここは〇〇町のタワーマンションですよ。」

と運転手はこちらを見ることなく答える。

「は?どこをどう見たらここがタワーマンションなんだよ!」

辺りを見渡すと、草木も生えず建物すらない真っ暗なただの平地…。

「……はぁ。お客さん。お客さんが私のタクシーを呼んだんですよ?」

…はい?

このタクシーを俺が呼んだ?なんだよそれ…と声には出さず頭で考えてると

「お客さん。このタクシーはある条件を満たした人しか見えないし、乗車もできないんですよ。」

「条件ってなんだよ!そもそもなんなんだよあんたもそれからこの変な場所も!」

「…社名〜闇〜って書いてあったと思いますがこのタクシーは文字通り闇の世界へ向かうタクシーということになります。」

はい?ポカン…と口を開けて頭の中でこのイカれた運転手の言葉を整理する。

闇タクシー?闇の世界??は?もう訳わかんねぇよ。

「…よくわかんねーけど俺は家に帰りたいんだよ!闇だかなんだか知らねーけど早くちゃんと俺の家まで行ってくれよ!」

考えても意味がわからないから運転手にそう言うしかなかった。

だが、運転手から返ってきた言葉に俺は絶望した。

「申し訳ないですが1度ご乗車されたお客さまは元の世界には戻れません。そして行き先も指定されたのでこの場所で降りてもらうしかないのです。」

……なんなんだよこれ。

ドッキリか?なんの冗談なんだよ。

俺が何をしたっていうんだよ…。

「とにかく降りてもらえませんかね?」

運転手は俺のことなんて何とも思ってないのか平然とドアを開け降りるように促す。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ。せめてなぜ俺がこんなことになってるのか…それぐらい説明してくれよ!」

…運転手はしばらく何か考えてから

「いいでしょう。説明するのでとりあえず外でタバコでも吸いながらお話しませんか?」

そう言って運転手はタクシーから降りタバコを吸いだした。

俺は何も思わず運転手の元へ行き同じようにタバコに火をつけた。

「お客さん。あなた誰かに怨まれることした覚えはないかい?」

…は?怨まれるとか何だよ。

そう思っていると

「……美瑠紅」

運転手が1人の女の名前を告げる。

「…みる…く…だと??」

…俺にはこの名前に覚えがあった。

半年くらい前に俺が捨てた女だ。

最初は金も持ってたし可愛いなって思って付き合ってたんだけど、束縛が激しくて正直ウザくなってきたんだよな。

だから貢がせるだけ貢がせてポイしたんだっけ。

別れてからも結構しつこくて色々手を回したんだよな…すっげー迷惑な女だったよ。

んで別れてしばらくして自殺したとかって風の便りで聞いたけど…

「…で、美瑠紅がどうしたんだよ。」

「彼女が依頼した怨返し屋があなたに闇タクシーを呼ぶためのチケットを持たせてるはずです。」

「…は?怨返しって何だよ!それにチケットなんて俺はもってねぇし!」

「…死してなおもこの世に怨みを抱く相手に天に昇るはずの自らの魂と引き換えに怨みを返す…それが怨返し。」

「…は?あいつはとっくに死んでるのに何で今更…どうやって?それに肝心のチケットはどこにあるんだよ!」

…運転手はやれやれと面倒くさそうに太郎の背中に貼ってあったチケットをはがし

「…怨返し屋の人は死者との会話ができるので美瑠紅さんが亡くなった後でもあなたに怨返しをすることは可能なのです。」

そして太郎の手をゆっくり掴むと闇タクチケットと書いてあるお札をそっと置いた。

「話を聞いても理解できないのはわかります。

今ここで起きていることは非日常なことですからね。

しかし理解できなくてもそれが事実なんですよ。

諦めて受け入れてもらうしかない。」

「……なんだよこれ…こんなの知らねぇし理解なんてできるかよ!」

太郎の頭では到底理解できるわけもなく仕方がないと運転手が太郎の頭に手をかざし

「これが真実です。これを見て自分のした事を後悔し現実を受け入れろ。」

そう言い終わると同時に太郎の意識に映像が流れ出した。

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…ここはどこだ?

向かいのビルの屋上には空を見上げる1人の女がいた。

…ん?…あれは美瑠紅??

しばらく空を見上げていたが女は柵を乗り越えまっすぐ俺を見た。

いや、たまたま正面向いただけで俺を見てる訳ない…よな…

なんて考えていたら女が前のめりになり落ちていった。

なぜかわからないが女は地面に落下してる間も俺と目が合ったままで顔はニヤッと笑っているように見えた…

……ドシャッ!!…

地面に叩きつけられる瞬間なんて見たくないのに俺は女から目が離せなかった。

首はあらぬ方向へ曲がり、頭からはおびただしい血と脳ミソの一部が出ていて

腕や足もそれぞれバラバラの方向へ折れ、見るも無惨な姿になっていた。

それから一気に景色が流れ俺がいる場所は変わらないのに女の姿が消えていた。

しばらく放心状態で女が倒れた場所をみてると、見覚えのある女が花束を持って現れた。

「あ……あれって…マガちゃんの…」

そこで俺はハッと気付いた。

そう言えばこの前偶然マガちゃんと彼女が街でいるのを見かけて声かけたんだよな。

そんとき紹介してもらった名前が確か“まりか“…

なぜマガちゃんの奥さんがここに?

……偶然?

…いや、偶然じゃない。

初めて俺と会った時一瞬驚いた顔をしてた。

その時は軽く挨拶してすぐ別れたのであまり気にしてなかったけど、

そう言えばどことなく美瑠紅に似てたな…

ん?てことは姉妹なのか?

意外と冷静になってきた自分に驚きながらも彼女が自殺現場に花束を置き手を合わせているのを見ているしかなかった。

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しばらくするとマガちゃんと見知らぬ女がまりかに声をかける。

するとまりかの後ろに死んだはずの美瑠紅が現れた。

女が美瑠紅と話をし、2人に何か言ってるように見えた。

またグルグルと景色が変わり今度は何故か職場の休憩室で過去の俺がマガちゃんと話している場面に変わった。

「先輩!どうやったらそんな高い時計とかブランド物の財布とか買えるんすか?」

キラキラした眼差しで俺を見つめるマガちゃん。

「これか?これはなぁ…戦利品だよ。」

俺は自慢げに時計を見せびらかしながらそう答えた。

「戦利品すか。何したら貰えるんですかね?」

ワクワクした顔で聞いてくるから俺もまんざらではなく…

「…女だよ!バカな女に貢がせただけだ。ま、その女別れた後自殺したっけな…あはは。」

マガちゃんは一瞬引きつった顔をした気がしたが

「さすが先輩すね!貢いでくれる女を見分けるコツ教えてくださいよ〜」

とニヤニヤしながら俺をつついてきた。

「それはな……」

…そう言えば俺、こいつに美瑠紅のこと全部話したんだっけ…

「…ってなわけよ。理解できたかな?」

「なるほど。俺も頑張ってそんな女見つけるっす!」

「ま、俺くらい女に対して冷酷になれないとムリだぜ!」

ニヤニヤしながらマガちゃんの肩を叩き自分の席に戻る俺。

その後ろから俺をすごい形相で見てるマガちゃんがいた。

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そして今日最後に会話したあの場面に切り替わり…

「じゃ、先輩お先っす!」

と言ったマガちゃんの手には紙がありそれを満面の笑みで俺の背中に貼り付けた。

そして俺の顔が見えなくなると同時に不敵な笑みを浮かべ走り去った。

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「お客さん。これで全部だけど納得してもらえたかな?」

「…はは…なるほどな。いや〜マガちゃんにもあの姉妹にもしてやられたよ。」

強がって笑いながら話しているつもりが目からはひとつ、ふたつと涙がこぼれていた。

「残念ですがこれで私の役目はおわりです。あとは何もないこの世界で永遠に1人で過ごしてください。ではさようなら。」

運転手はそう言い残しタクシーを発進させた。

タクシーは50メートルほど進むと一瞬で消えた。

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真月「鏡さん、任務完了しました。」

鏡「真月…ご苦労様。それからまりかちゃん、美瑠紅さんの怨返し無事に完了しました。あなたには酷なお話ですがお姉さんの魂をお代としていただきました。」

まりか「わかっています。姉が望んでしたことですから…それに姉だけ死んであいつがのうのうと生きてるのが許せなかったのでこれでいいんです。ありがとうございました。」

真月「まりかちゃん…これから先は自分の幸せだけを考えて生きていくんだよ!」

まりか「はい!新婚ごっこ…楽しかったけどもう必要ないですもんね…へへへ……あれ?おかしいな…なんでだろ…涙が止まらない…」

まりかはポロポロと涙を流し泣きながら笑っていた。

そんなまりかを見て真月は抱きしめたいと思った。

だが、これ以上依頼人に感情移入してもお互いの為にならない…

と抱きしめたい気持ちをグッと堪え

「…じゃあ。これで。」

とまりかの方を見ることなく部屋を後にした。

「まりかちゃん、ごめんなさいね。あれは真月なりの優しさだから…あなたがこれ以上私達に関わるのは危険だから。」

「わかってます!もう大丈夫です!本当にありがとうございました!」

「じゃあ私もこれで…」

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………ぅ…ん…

「うわぁぁぁ!!」

ガバッ!

「はぁ…はぁ…はぁ……なんかリアルな夢だったな……ってかなんなんだよ!みんなして俺に…」

あまりにもリアルすぎて気味が悪いのと同時に夢に出てきた全員が顔見知りだったから少々イラッとした。

そして汗びっしょりで喉がカラカラなことに気付き冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一気に流し込んだ。

「…ぷはぁ…」

とりあえず汗をかいているのでそのまま仕事に行く訳にもいかず軽くシャワーを浴びてから店に行くことにした。

ちなみに夢の俺はサラリーマンだが現実の俺は中華料理屋の店主だ。

そして夢に出てきた人は全員常連客。

シャワーを浴び急いで店に向かい開店準備をし店を開けた。

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いつもの忙しいお昼時を無事やり過ごし、今夜は常連客だけで貸し切りでパーティするのでその準備に追われた。

忙しすぎて今朝の夢のことなんてすっかり忘れていた。

〜ウィ〜ン〜

『こんばんは〜!』

鏡さん、まりかさん、美瑠紅さん、真月さんこの4人がいつもの常連客。

今日は鏡さんの復帰パーティかなんかだったっけ?

ま、その辺は置いといて俺は今朝の夢の話をみんなに聞いてもらった。

鏡「え〜何それ(笑)なんかアニメの世界みたいだね」

真月「兄さん!なんかすみません!(笑)」

まりか「朝から呪われてるぅ!きゃは」

美瑠紅「あながち正夢だったりして……なんてね(笑)」

…案の定笑いのネタにされなんとも言えない気持ちになりモヤモヤしながらもその場は愛想笑いで乗り切った。

鏡「そう言えばいつ新メニュー出るの?私達心待ちにしてるんだけども…」

…ドキッ!

まりか「確か半年くらい前から新メニューの話出てたよね?」

「そ…その話は今じゃなくても…もごもご……ひひ……」

笑って誤魔化そうとするとすかさず

真月「まさか兄さん!新メニューまだまだ先になるんすか?」

「え!いや…その……今は忙しいんだ!さ、パーティはお開き!帰った帰った!」

「ふぅ…やれやれ新メニューなんて簡単にできるわけないし…危なかった…」

俺はみんなを店から追い出し後片付けをして店に鍵をかけタクシーをひろった。

「…どこまで…」

「〇〇町のタワーマンションまで。」

運転手は何も言わず走り出した。

愛想のない運転手だな………

…あれ?

俺この運転手見たことある…どこで見た?……

「あっ!!」

今朝の夢の運転手だと思い出したときには既に遅かった…

鏡「…やっぱり新メニュー出す気なかったのね…」

真月「そうですね。」

まりか「素直に出せばこんな結果にはならなかったのに…」

タクシーのテールランプを見つめながら

話す3人を見て一歩下がったところで見ていた美瑠紅が重大なミスに気付く…

美瑠紅「……ねぇ。でもこれってさ…ここの料理食べれなくなるんじゃないの?」

3人は一瞬何を言われたのかわからなかったが、

『あっ!!!』

しまった!と思って追いかけようとタクシーに目線を向けた。

しかしもうそこには何もない闇だけが広がっていた…

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そ、そんな!
そんな理由で!

が、がちょーん……(。´Д⊂)

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な、なんじゃこりゃあー!?
((((;゚Д゚))))

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