中編5
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カフマンという男 X-4

music:1

湿ったコンクリートの廊下に生温かい風、凍てつくほどの殺気が充満する。

「カフマンはいるか?」

武装した男に黒尽くめの男が尋ねる

「どちらさ…」

コンピューター制御されている鉄の扉を軽々とカフマンは開き黒尽くめの男を招き入れる。

「ダンピール!さあ!入ってくれ!君を待っていたよ!警備兵さん、安心してくれ私の客だ。」

部屋にあるカメラにも手を振り挨拶する。

「カフマン…仕事の話で来た。」

ダンピールは古ぼけた一冊の本をお菓子だらけのテーブルに置く。

カフマンは興味深そうに、その本を手に取り読み始める。

「カフマン…その本は、この国で手に入れたものだ。その意味はわかるな?」

カフマンは本を閉じ頷きダンピールに紅茶をいれる。

「我々も、その情報は掴んでいたが…。数年前にヤマトが麒麟を仕留めた筈だ。麒麟なしでは奴等は発生しない。」

ダンピールは一本の黒い血が付いた短剣をカフマンに渡す。

カフマンは短剣から臭う異臭に

「この異臭…この血の色は…」

ダンピールは燃えるような瞳でカフマンを見つめ

「鵺だ」

カフマンは溜め息を零し

「まさか…生き残りが?そんな馬鹿な!」

ダンピールは短剣を鞘に収め話を続ける。

「鵺は屍肉喰種族の中で厄介な種族なのはお前もよく知ってるな?」

カフマンは紅茶を飲みながら

「当たり前だ、サムライと共に大規模な掃討作戦をしたくらいだ。」

ダンピールは小さな小瓶をテーブルに置く。

カフマンはそれを手に取り眺める

「これはダイヤモンド?」

ダンピールは顎に手を当てて考える

「それは鵺を仕留めた時に体から剥ぎ取った物だ。闇市に売れば数千万はくだらない代物だ。」

カフマンは真剣な表情で

「だが…これは以前には無かった特徴の筈…数万体を殺してきたがダイヤを体に形成する鵺は居なかった。」

ダンピールはカフマンを見つめ

「そうだ、麒麟から発生する鵺にはダイヤは形成できない。だが、鵺が持つ能力を知る人間が絡んでると俺は考えている。」

カフマンは溜め息を零し

「麒麟が居ない今、鵺が自然発生するのはありえない。わかった、各地に配置している仲間に連絡を取る」

ダンピールは立ち上がり呟く

「よろしく頼む、それと緑態も目撃されてる。くれぐれも慎重にな」

カフマンはiPodをいじりながら

「もう帰るのか?」

ダンピールは鞄から資料を取り出し

「あぁ…。それからカフマン、この怪物についてお前の意見が聞きたい」

カフマンは資料を手に取り

「セイレーンは退治されたはず」

ダンピールは腕を組み

「いや、このセイレーンが世界中で目撃されてる。被害は大きい、行方不明になった豪華客船、学校で起きた集団自殺。どれもセイレーンが目撃された海から近い距離だ」

カフマンは紅茶を淹れてダンピールに出す

「詳しく聞こう。海の怪物となれば、厄介な怪物であることは確定だ。詳しく知る必要があるな」

ダンピールは椅子に座り紅茶を一口飲む

「セイレーンは満月になった次の日に必ず現れる。セイレーンが発する鳴き声で人間を惑わし狂わせ海に沈め食らう」

カフマンはiPodをいじりながら

「だが、学校で起きた集団自殺は陸だ。セイレーンが発する鳴き声で自殺したとするなら、なぜ海ではなく陸を選んだ?」

ダンピールは椅子に寄りかかり

「さあな…。もちろん、ただの集団自殺と言う他のハンターもいるが…その学校は神聖なカトリックの学校だ。単なる集団自殺とは考え難い」

そこへ背の高い男が部屋に入ってきた。

銀髪に、七色に光る瞳

彼が名だたるルイ家の隠し子であり、

鉄仮面の男と呼ばれる謎の男

自称「レイモンド」

カフマンは指を鳴らし椅子を出現させる。

「久しぶりだな、カフマン、ダンピール。」

ダンピールは腕を組み椅子に深く座り皮肉を言う

「珍しいな…ルイ。」

レイモンドはテーブルにあるグラスに緑色の液体を淹れそれを飲み干す

「ルイという名は捨てた。お前こそ、まだダンピールと名乗っているのか?」

二人の会話を遮るようにカフマンが

「レイモンド、頼んでいた封印の術式は完成したのか?」

レイモンドはポケットから長い巻物を取り出しテーブルに広げる

「これがその封印の術式だ。大切に使ってくれ」

ダンピールは紅茶を飲み

「何を封印するんだ?」

カフマンは術式を眺めながら

「吸魂鬼だ」

ダンピールは吸魂鬼と聞いて懐かしむ「懐かしいな…殺しても死なない不死の怪物」

レイモンドは懐からブランデーを取り出しグラスに注ぐ

「飲むか?」

カフマンは顔を横に振り

「私はいらない…それより、お前が追いかけている魔王はどうなってる?」

レイモンドはブランデーを一気に飲み

「もう居場所は掴んでるし、私の部下が監視してる。」

ダンピールは本棚にある古びた本を取り出し

「お前に部下が?」

レイモンドは頷きながら

「ああ、私が牢から出れたのは部下のおかげだ。あいつが扉を開けなかったら永遠に閉じ込められていた」

ダンピールは鼻で笑い

「部下は人間か?」

レイモンドはブランデーを注ぎ

「そうだ、23歳の若者。」

カフマンは再び話を遮る

「そろそろ、各々の仕事の話をしよう。」

ダンピール、レイモンドは椅子を座り直し真剣な面持ちで

カフマンが

「まず、ダンピールのセイレーン。次に…」

レイモンドは封印の術式を手に取り

「吸魂鬼の封印だな。これはあんたに渡しとく。」

カフマンは術式を懐にいれ

「よし、ダンピールは私の部下と共にセイレーンの調査を、私は長野に飛ぶ。引き続きレイモンドは魔王を頼む」

レイモンドはブランデーのボトルを片手に部屋を後にする

「また集まった時は、皆で飲もう」

ダンピールも部屋を後にする

「カフマン、集合場所は追って連絡する。またな」

カフマンは手を振り二人の背中を見送る。

一人になったカフマンは紅茶を飲み

「さて、私も吸魂鬼を狩るとするか…」

カフマンは黒電話を取り出し

「私だ。潜入できたか?それと吸魂鬼は殺すな、動けなくすればいい。」

カフマンは紅茶を飲み

「他の仲間は潜入できてるか?難しいようなら…」

カフマンはニッコリ笑い

「頼んだよ、エリム。私も封印の術式を持って長野に向かう。」

To be continued…

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