長編7
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プリンスホテル

これは実話です。

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先週、私の住んでいる県では有名な心霊スポットに肝試しをしに行きました。

そこは現在は廃墟となっているホテルです。

温泉郷の外れにあり、昔酔っ払った客が風呂で溺れて溺死をして以来経営不振になり、ホテルのオーナーが自殺をしたため、今は廃墟となっています。

建物は長年放置されていて、周りには有刺鉄線が張られ、周りに人もいません。

そのため、ホテルは自殺の名所となっています。

私は先月高校を卒業しました。

周りには免許を取っている人もいたため、

あの有名なホテルに肝試しをしに行こうという話になりました。

そこは車で2時間程度の場所にあります。

中学校からの友達を集めて、

男8人女3人の11人で向かいました。

車は3台です。

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前に一度ホテルの入口までいったのですが、

山奥で林に覆われ、

あまりに不気味だったので

帰ったことがあります。

今回はしっかり中まで探索するぞということで

意を決して向かいました。

私含め全員、霊に関しては信じていないか、

半信半疑かで、まだ誰も霊を見たことはありませんでした。

その時は。

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ホテルの入口に到着し、

不気味な雰囲気の中怖がりながらも

全員車から降りました。

やっぱり帰ろうなどと言う友人もいる中、

中でもやんちゃなTはみんなの手を引っ張って

早く行こうと言いました。

入口はベニヤ板で塞がれているのですが、

Tはその板を蹴り割って、人が1人しゃがんで入れるくらいの穴を開けました。

突然板を破壊したのは

友人一同さすがにひきましたが笑

〔取り憑かれたのかと思った〕

そしていよいよ入るのですが

霊を全く信じないTが先頭、

真ん中に女、

そして一番後ろに私と友人Sという並びで

向かいました。

ホテルの窓ガラスは全て割れていて、

老朽化が進み、屋根の一部も崩れています。

玄関の手前には穴が開いていて、

昔地下だったであろう部屋が見えます。

そこを通った瞬間Sが

あっ!

と叫びました。

その声で全員驚いたのですが、

すぐにSが、

いま…地下になにかいた…

と言ったのです。

悪ふざけかと思い、

誰もあまり気にせずに進んだのですが、

隣にいたSはかなり表情がこわばっていました。

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一階にはフロントだったであろう場所や

客室らしき部屋がありました。

Tはそこで写真を撮りました。

するとTは

うわぁ!

と叫びました。

どうしたのかと聞くと

Tは携帯画面を私に見せてきました。

画面には確かに建物の中は写っているのですが、

壁や床などなにから何まで

真っ赤に染まっているのです。

実際は白い壁や床が。

さすが不気味だったのですが、

もう少し行こうとTが言うので

みんなついて行きました。

進むとそこにはトイレがありました。

Tがドアを開け、なかを見渡し

ドアを開けたまま出てきました。

なにもないな

といいながら

全員後ろを向いて

進もうとしたら

バンッ!

と後ろのドアが勝手に閉まったのです。

人間が閉めたとしか思えない強さで。

私達は血の気がひき、

女達は恐怖で叫びました。

さすがにやばいと感じた私達は、

車に戻る人達と

もっと進んでいく人で別れました。

車に戻ったのは女3人と男3人です。

進む組は、

私と、T、S、H、Rの5人です。

2組別れて私達は進みました。

1階はある程度回ったので

私達は2階に進みます。

順番はT、R、H、S、私です。

二階への階段は

もうボロボロでいつ崩れてもおかしくないような感じです。

壁にはいままで肝試しにきた人たちによる

落書きがありました。

二階へ上がると、もう動かないエレベーターがあり、その横には細めの廊下がありました。

廊下は窓に面していて、ガラスがないため、

風が入ってきます。

窓の反対側は客室で、

ドアがずっと先まで続いています。

5人はその廊下を恐る恐る進みました。

ところどころドアがない部屋があり、

なかは真っ暗なのでとても気味がわるいです。

どんどん進んでいき、

最後の部屋の前まできました。

するとその部屋の中から

ギギギ…

と木の軋むような音が聞こえました。

私達は内心ビビりながらも

風のせいだろうと自分に言い聞かせました。

そして進もうとしたその時、

ドンッ

とドアの内側から

思いっきり殴ったような音が聞こえたのです。

私達は驚き、

なにを思ったか走って3階への階段を駆け上がりました。

私とHは階段は転んだら危ないと感じ、

おちつけ!おちつけ!

はしるなって!

とみんなに言い、全員階段の踊り場で

立ち止まりました。

ゼェゼェいいながらRとSは

半泣きで

もう帰ろうよ…

やばいよ…

と言いました。

私もなんだか危険な気がしたので

帰りたい気持ちが大きかったです。

するとTが

行こう

と言い、3階の方へ向かったのです。

振り向き際、Tは異常なほどに真顔でした。

私達は嫌々Tについて行きました。

3階も2階と似たつくりで、

両側に、窓、部屋といった感じです。

またドアの内側から叩く音がしたら

どうしようとビクビクしながら進み、

最後の部屋の前に来るとまた

ドンッ

と強い音が聞こえ、

叫びながら

男全員が抱きつきながら固まりました。

するとTが、そのドアの方に近づいていき、

その部屋に入ったのです。

私達は、ヤバイ!

と思いながらも

恐怖で体が動きませんでした。

Tには申し訳なかったのですが、

私達は4人は先に車に戻ろうと思い、

おいT、先に車戻ってるからな!

と言い、いままで来た道を歩きだしました。

その部屋の前を通る時

一瞬部屋の中が見えたのですが、

Tが後ろ向きで棒立ちをしていました。

心配しながらも一刻も早く車に戻ろうと

はや歩きで車に向かいました。

玄関まで来て、

3階のTがいた部屋を下から覗いたのですが

誰もいる様子はなく、

Tもこっちへ向かっているのかと思い

車の方に歩きました。

ベニヤ板の穴をくぐろうとした

その時、

玄関の前にある

地下が見える穴から

うわああああ!!!

というTの叫び声が聞こえ、

見るとTがこっちに向かって

走って来ます。

私は

どうしたT!

と叫ぶと、

Tが、

女が!女が追いかけてくる!

と言います。

Tは地下の穴からよじのぼり、

こちらへ向かってくるのですが、

Tがのぼり終えたその瞬間、

次は血まみれの白い服を着た

焦げたように真っ黒い肌の

女性がよじ登ってきました。

5人は驚き、

叫びながらベニヤ板の穴をくぐっていきました。

一番後ろにはT、

その前は私で、

私が穴をくぐろうとした時、

後ろから体を引きずりながら

女が驚くほど低い声で、

オマエ…モ…モヤシテ…ヤル…

と言ってきたのです。

私は急いで穴をくぐり、

そのあとに続いてTも

穴をくぐり、

急いで車に乗りました。

各運転主はなにも言わず焦りながら

車を発進させ、

猛スピードで走り出しました。

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車に乗っている間、

他の6人から何があったのかと

聞かれていたらしいですが、

私含め5人は恐怖のあまり

聞こえていませんでした。

30分くらい走り、

やっとコンビニを見つけ、

車を駐車させました。

そこでやっと落ち着き、

Tに何があったのかと聞きました。

Tは震えながら

話し出しました。

ホテルの2階の踊り場までは

記憶があって、

きづいたら

窓のない広い浴場のような場所に

立っていたらしいです。

窓がなかったため、

反射的にここは地下だとわかったらしいです。

怖くなり、車に戻ろうと

携帯のライトを頼りに

歩き始めたそうです。

少し歩くと、後ろに何かの気配を感じ、

恐る恐る振り向くと、

血まみれの白い服を着た女が

立っていたらしいです。

ライトを当てると

肌は真っ黒で

眼球はなかったそうです。

Tは怖くなり叫びながら

月の光が見える方に

走って逃げてきて、

帰ろうとする私たちを見つけたらしいです。

Tは話し終えると

泣き出しました。

私達はコンビニでしばらく休み、

車に戻りました。

するとHが

うわ!

と言い、

みんな振り向きました。

近づくと、

Hの車の後ろに

大きな凹みがあり、

その凹みの周りに

血がべっとり付いていました。

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後日談ですが、

そのホテルのことを調べました。

どうやらそのホテルで自殺を

した人の中に、

焼身自殺をした女性がいたらしいです。

Tは次の日、県内で有名な霊能者の方の元に

お祓いにいったそうなのですが、

その時Tに、その女の霊が

取り憑いていたそうです。

女の霊は

Tが入り口のベニヤ板を

蹴り破ったのに対して

怒っていたらしく、

霊はホテルの地下にいた時、

Tのことを殺そうとしていたそうです。

Tは霊能者の方に霊をはらってもらい、

その後も何事もなかったかのように

私と遊んでいます。

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後日談です。

昨日友人Hが車で事故を起こしました。

怪我はなかったのですが

車は廃車になりました。

Rもスリップして壁にぶつかりそうになったそうです。

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