短編2
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臨死

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これは、一昨年の話…私が倒れた時の話です。

恥ずかしい話、お腹の痛みなどを放置してた結果虫垂炎にて自宅で倒れ救急車で運ばれました。

それは、真夜中だった。

吐き気、目眩、寒気、震え、熱にうなされ何度も意識を手放しかけてた中、病院に私は運ばれた。

検査をするも、虫垂炎は中々判断しにくいらしく原因不明として痛み止めなども打たれたが一向に効果は出なかった。

そんな中、状況が変わり遂に私は意識を手放した。

朦朧とする中聞こえるのは周りの騒がしい程の雑音と叫びあう声。

そして、心拍数が消えてく時のドラマとかでよく聞いた事のあるあの「ピーッ!」と心拍数が消えてく事を知らせる音だった。

自分でも不思議な位に落ち着いた感覚だったのを覚えている。

暗い深い闇に身体が溶けてくようだった。

「あー、私死んじゃうのかな?でも、もう疲れたしいいや。」

そう、思ってしまった。

身体が溶けてく感覚の中、不意に身体がふわりと浮かんだ。

どうやら上半身が起き上がってるのだ。

辺りは走り回る看護師達。

ふと視界に何かが入った。

それは、寝てる自分の姿だった。

「幽体離脱?」

そう、思った。

だけど、その瞬間周りの景色がザアザアっと変わった。

あれ?と思うと辺りに金色に輝く草原。

まるで、某ジブリの映画のシーンみたいな程綺麗だった。

そして、目の前には顔が白い帽子で見えないが髪の長い綺麗な女の人と、その人と手をつないで歩く男の子がいた。

その二人を見たら無性に悲しくなって追いかけなくちゃと思ってしまった。

手を伸ばした。

名前が思い出せない、でも知ってる二人。

そして、二人の名前を叫んだ瞬間。

「ママっ!行っちゃダメッ!!」

自分の大切な息子と娘の声が聞こえたんだ。

その刹那、私の腕は誰かに掴まれ下に引き込まれた。

引き込まれた瞬間、辺りは光に包まれ医師が顔を覗き込んで言った。

「もう、大丈夫だね。」

その瞬間、朦朧とする意識の中自分が死にかけた事にゾッとした。

峠を越したんだ、再度深くなる眠りの中子供達を考え私は手術室へと運ばれた。

そして、数日後私は思った。

あれは、母が私を産む前に降ろした水子で私の姉と兄だったのではないかと。

Concrete
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