中編3
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オンドウ様

小さい頃、曾祖母の住んでる家に連れていってもらった 。

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大人たちは色々話があるようで、部屋から追い出された私は家を探検してたんだ。

その家はなにしろ広かったし古くて壺とかもあったから、探検ごっこだけで充分楽しめる。

そんな訳で、家の中を走り回っていたら、ある部屋で曾祖母と鉢合わせた。

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そしたら、優しい感じだった曾祖母が、強い調子で、こっちへ来なさいって言うんだ。

どたばたしてたから怒られるんだ! と思ってその場でうじうじする私に、曾祖母はしびれを切らしたのかこちらまで来て手を引いて歩き出した。

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ここからが少し変で、子供の私の体感でもすごく長い時間、襖を開けて次の部屋へ、というのを繰り返して進む。

今考えると、広いっていってもそこまではないだろ、ってくらい何個も部屋を通り抜けた。

もうやだな、と思い始めたくらいで、部屋は行き止まりになった。

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日が差し込んで明るかった記憶があるから、その部屋は多分周りが障子だったのだと思う。

茶室みたいな感じの小さな部屋で、掛け軸があって、茶室でいうと生花が置かれているはずの所には紫色の着物か布かが置いてあった。

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曾祖母がここに座っときなさい、と言うから、私は大人しく部屋の隅に座った。

曾祖母はだんまりで私を見てて怖かったんだけど、その部屋は小さいからか知らないけど凄く安心感があった。

で、だんだん眠たくなってきて、うつらうつらしてしまったんだ。

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はっと目を覚ますと曾祖母が置いてあった布を持ってごそごそしてる。

何してるの、と聞くと曾祖母は、私に着せる着物が~(方言きつくて何言ってるかわからなかった)と答えて私を見た。

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そして、オンドウ(?)様がいらっしゃるからここにいるだろう?と、ここに居続けるのがのが当然みたいな口調で聞かれた。

勘が働いたのかもしれない、何でかわからないけど、私はおはぎ食べる約束したから戻る、と答えた。

答えたっていうより、咄嗟に口から出た感じ。

実は、おはぎは前日に曾祖母と作って食べてしまってるから全くの嘘なんだけど、嘘をつこうとして言ったわけじゃなかったんだ。

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曾祖母は、なら仕方ない、みたいなことを言って、私の手を引いて襖を開けてその部屋の外へ出た。

そしたら、全然知らないところにいる。

後ろを振り向いてもそもそも襖とかないし、何より手を引いていたはずの曾祖母がいない。

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結果的に、そこは曾祖母宅の裏山に面したお寺の中だったんだけど、怖くてぎゃんぎゃん泣いてたら、お坊さんが気づいてくれた。

田舎だから、名前言ったらすぐにああ、あそこの家に遊びに来てる子ね、という感じで私のことがわかったみたいで家に連絡がいって事なきを得た。

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私は一人で外に出た(しかも裸足で)ってことで両親にすごく怒られたけど私からしてみれば?という感じ。

事情を説明しても言い訳乙な感じだったし、曾祖母が、って言っても、曾祖母はずっと私達といたから、と祖母に笑われる始末。

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私は不満だらけだしわけわからんしでずっと不機嫌だったけど、その後は何事もなく数日を過ごして家に帰った。

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大きくなったら曾祖母に真相を尋ねようと思っていたのに、訪ねた後すぐ亡くなってしまって、 結局何が起こったのか、私の手を引いた曾祖母は本当に曾祖母だったのか、オンドウ?とは何なのか、全部わからずじまいだった。

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