中編5
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悪意 X-2

music:2

姿を現したのは「サハギン」

ヘルシングは銃を構え睨み合う

サハギンは何かに知らせるように

雄叫びをあげた。

粘り気のある皮膚を震わせ次々と

群れでサハギンが現れる。

「野うさぎよりは楽だが…数がな…マーラの奴め侵入に気付いたな」

ヘルシングは両手に銃を持ち構える

弾はあるのか?と疑問になっただろう?だが、ヘルシングのポケットは普通のポケットじゃない。

魔法のポケットだ。

「弾は幾らでもあるぜ!来い!雑魚が!」

サハギンからある程度、離れてから

振り返り銃をぶっ放す

しかし、多勢に無勢

幾ら強くても数には勝てない。

だが…そこへ秋元が現れた。

最初の頃とは雰囲気も体格も違う。

ヘルシングはてっきり死んだと思って笑い出す

「なんか逞しくなったな!」

秋元はヘルシングの言葉に不敵な笑みを浮かべる。

二人でなんとかサハギンの群れを押していく。

…!

秋元は再び頭を抱え何処かへ走り去った。

ヘルシングは舌打ちをしながら

「ったく!こんな時に頭痛かよ!」

すると、秋元の声が騒がしい森に木霊した。

music:6

サハギン達は木霊した秋元の声に動きを止める。

ヘルシングは秋元の声に驚き

嫌な気配を感じ始めた

「この圧倒的な殺気…秋元なのか?」

ヘルシングは秋元が走り去った林を見つめていると

黒い人型の怪物が姿を現した。

ヘルシングは舌打ちと同時に

両手の銃で怪物に向かって発砲する。

怪物の常識範囲内の弱点である心臓、喉、頭を撃ち抜くがビクともしない。

その怪物は空を見上げ雄叫びをあげる

サハギンが一斉に、その怪物に攻撃し始める。

だが…裏拳で一殴りするだけでサハギンの頭が吹き飛んだ

そして黒い怪物が言葉を発する

「俺を撃つな。俺は秋元だ。まったく!頭を撃ちやがって!」

music:1

ヘルシングは銃をサハギンに向け

「悪りぃ悪りぃ…そんな怖い怪物が出てきたら味方とは思わないだろ、普通。」

秋元はサハギンを軽く蹴散らしながら

ヘルシングの背後をバックアップする

「こいつらは何だ?どんな妖怪だ?」

ヘルシングは笑いながら

「妖怪?違う、サハギンという半魚人の怪物だ。」

秋元は拳を鳴らしながら

「半魚人?魚がなぜ樹海にいる?」

ヘルシングは迫ってくるサハギンの頭部を撃ち抜きながら

「は?魔女が召喚したんだよ!質問は後だ!こいつらを片付けたら答えてやる!」

秋元はサハギンを軽く殴り潰す

「わかった。この樹海で何が起きているのか知る必要もあるしな」

2時間半の激戦を耐え抜き息を切らす

ヘルシングに秋元が質問する。

「魔女とは何者だ?」

ヘルシングは地面に座り込み

「まず、お前は何なんだ?」

秋元は空を見上げ

「1687年に生まれ、いわゆる鬼だ。」

ヘルシングは意味不明の話についていけない。

「ってことは300年以上も生きていたのか?」ヘルシングの問いに答える

「ああ…だが、途中の記憶がない。」

秋元は拳を握りしめ

「かぐや姫が全ての元凶だった。そして愛する人と共に…」

秋元は話を止め

「さあ、答えてくれ。魔女とは何者だ?」

ヘルシングは複数の写真を秋元に渡し

「その写真に写っているのが、魔女のマーラ。そいつがとある村を壊滅させた犯人」

秋元は写真を眺め

「こんな少女が?」

ヘルシングは笑いながら

「見た目はな。だが、260年も生きてるババアだ。魔力で若々しくしてるだけ」

秋元は写真をヘルシングに渡し

「そうか…私以外にも似たものがいるのか。」

ヘルシングは汚れた服を払い

「数え切れないほどな」

秋元は笑いながら

「そういう者を殺すのが生業なんだろう?私も殺すのか?」

ヘルシングは爆笑しながら

「いいか?殺すって言っても害の無い怪物や、魔女は殺さない」

秋元はホッとしたような息をつく

「これからどうする?」

ヘルシングは銃でいく方向を向ける

「まずは魔女マーラを見つけることからだな」

秋元は何かを思い出したかのように

叫ぶ

「来い!イカヅチの剣!スイガの剣!」秋元が両手を前に差し出すと

どこからともなく二本の剣が飛んできた。

秋元は馴染む剣を掴み

「これを忘れていたよ」

ヘルシングは驚きの連続で呆れて皮肉を言う

「ほら、行くぞ死にたがり」

秋元は笑いながらヘルシングの後を追う。

数時間経っただろうか?

景色は一向に変わらない。

秋元が、ふと足を止める

「止まれ」

ヘルシングはトリガーに指を掛ける

「どうした?」

秋元は巨大な岩を指差し

「この森の主だ」

岩の上には鹿であろうか?巨大な角を天高く生やし、背中は苔ている。

「久しぶりだな、黒鬼よ。」

秋元は懐かしむように

「何年ぶりだ?主よ?」

森の主は岩から飛び降り

「お前が居なくなってから300年以上は経っているだろうな」

秋元は腕を組み森の主を見上げる

「そうか…この森がどうなっているかご存知で?」

森の主はヘルシングを見つめ

「お前のことも知っておるぞヘルシング。悪意の魔女マーラが、この樹海にやってきたのは今から20年前だ」

ヘルシングは切り株に腰を下ろし

「20年前?」

森の主はゆっくりと歩き出し

「奴が来てから随分と、この樹海に瘴気が充満するようなった。沼地は増え

自殺者が集まり出した」

森の主は右足で地面を蹴り辺り一帯を緑豊かな大地に変える。

「このままでは樹海が死んでしまう」

ヘルシングは銃の手入れをしながら

「森の主よ、悪意の魔女は任せろ。カフマンの依頼で魔女狩りに来たからには救ってみせるさ」

森の主は小さく頷き

「変わらんな、お前は。頼むぞ、ヘルシング、黒鬼」

森の主は力強く地面を蹴り巨大な岩を飛び越し木霊する声で

「西に行くと沼がある、そこに魔女はいる。」

その助言を聞いた瞬間に二人は走り出した。

近付くサハギンをなぎ払いながら進むと奇妙な広場に出た。

music:2

ピタリと二人の足が止まる

黒鬼は二本の剣を構え

「この匂い…来たか」

ヘルシングは銃を構え

「ああ…野うさぎだ」

狂ったように地面を這いずり

強烈な精神攻撃を開始する

「秋元!精神攻撃には気を付けろ!」

秋元は苦しい表情を浮かべ

「わかってる!クソがーー!」

イカヅチの剣から稲妻がほとばしる

ヘルシングは全身に精神攻撃を受け

苦しみながらもニヤリと笑う

「まだまだまだーーー!」

野うさぎを焼く稲妻、確実に頭部を破壊する銃弾が樹海を飛び交う。

野うさぎの群れに紛れサハギンも現れる。

To be continued…

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