これるはずのない客が来店し、さらに通夜で意味深な言葉を残していったんだが

中編3
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これるはずのない客が来店し、さらに通夜で意味深な言葉を残していったんだが

やあロビン魔太郎.comだ。

今回は怖いというより少し不思議な話を。

これは今から五年前の話だが、親父が肺癌で亡くなり、その二カ月後に続けて親父の兄も胃癌でこの世を去った。

不幸は続くもので、その数週間後には親父の妹までもが持病が悪化して今現在、集中治療室に入っていて危篤なんだという内容の連絡が母親から入った。

俺はその頃、年中無休の中華料理店を新しくオープンしたばかりで毎日が忙しく、なかなか見舞いに行く時間が作れずにモヤモヤしていた。

昼休みに母親へ電話をすると、病状は決して良くはないが一応安定はしているので心配はいらないと言っていたが、幼い頃から可愛がって貰っていた叔母だけに心配でたまらなかった。

いても立ってもいられない俺は、叔母の一人娘である美希ちゃんに電話を入れて、現状を詳しく教えてくれと言った。

すると俺の予想通り、旦那のいない叔母さんは貯金はおろか、大した保険にも加入しておらず、今回の病院代だけでも全く金が回らないと美希ちゃんは電話口の向こうで涙を流していた。

俺はいつか返してくれとだけ約束して、纏まった金を美希ちゃんの口座に振り込んでやった。

勿論、返して貰うつもりは毛頭ないが、今の俺に出来る事はこれぐらいしかないと割り切り、夜の仕事にかかった。

午前三時を過ぎて客も引き出し、そろそろ片付けでも始めるかなと思った頃、チリンと入り口の自動ドアが開いて、かなりふくよかな女性が一人来店した。

叔母さんだった。

テーブル席でバイトが注文を取る姿を厨房から眺めながら、俺は懐かしい気分に浸っていた。

俺がまだ小さい頃、叔母は一緒に公園で遊んでくれたり、宝塚歌劇を見に連れて行ってくれたり、野球好きの俺の為に甲子園球場のネット裏の良い席を取ってくれて観戦させてくれたりもした。

その優しい笑顔も、体型も髪型もあの頃となんら変わっていなかった。

叔母はニコニコしながら俺が作った餡掛け炒飯を旨そうに平らげると、会計で涙を浮かべる俺に向かって「おいしかったよ」と言って「ありがとう、すまなかったね」とだけ言って店を出て行った。

俺はドアに向かって深々とお辞儀をした。

後ろでバイトが騒いでいるので見に行ったら、叔母が食べていた餡掛け炒飯が一口も手を付けられていない状態のままで残されていた。

叔母さんが俺を気にかけ、わざわざこんな遠い所まで会いに来てくれたんだと思ったら、胸が熱くなった。

午前五時、仕事が終わりスマホを開くと母親から『今朝方、お姐さんが病院で亡くなった』とメールが入っていた。

結局、この数ヶ月間で親父の兄弟が親父を含めて三人立て続けに亡くなった。こんな偶然てあるのだろうか?

妹の夏美は通夜の席で、棺の中の叔母の死に顔を見つめながら小さな声でブツブツと何かを言っていた。

外へタバコを吸いに出た時にそれとなく夏美に聞いてみると、叔母さんに「色々と迷惑かけてごめんね、ありがとう」って言われたんで「ううん、こっちこそ今までお世話になってゴメンなさい、またね」って返したらしい。

しかし、その後に「貴方達も3人兄妹なんだから、私たちの年齢に近づいたら気をつけなさい」と言われたんで「えっ、どうして?」って聞いたら、みるみる叔母さんの表情が険しくなって「それはお前達で考えろ!」って今までとは全く違う低い男性のような声で言われたそうだ。

「あれは絶対に叔母さんじゃなかった」と夏美は珍しく怯えていた。

では叔母さんの口を使って話していたのは一体誰なのか?今でも気になってしょうがない。

親父達が死んだのが五十代後半、もしかすると俺達兄妹の寿命もその辺りなのかも知れない。

【了】

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よもつひらさか先生様、コメントありがとうございます。

馴れ合いではない真面目なコメントをしようとすると、突然頭に霧がかかったように何も浮かばなくなるのは病気でしょうか?

明日、精神科に行ってまいります候。

ラグト先生、僕の人生設計では80歳まで生きる予定なのですが、なにぶん父親方が短命なので明日からは毎日、青汁をコップ一杯飲み続けようと考えておりますψ(`∇´)ψ

にゃにゃみお姉様、ご心配頂き恐縮です。

実は先ほど従兄弟のお葬式から帰って参りました。親父の兄貴の息子です。

渋谷で派手な商売をしており、つい二年前は「いやあ、追徴課税1200万も来ちゃって大変だよー」なんて羽振りの良い事を言っていた従兄弟がポックリ逝っちゃいました。

年齢に関係なく、明日の命なんて約束されていないのだなと改めて実感しました。

マミ姐さん、正月以外は年中無休の魔太郎が復活して参りましたよ!…ひひ…

熊本の婆ちゃんは無事だったのですが、従兄弟が経営する美容室が詰んだみたいです候…ひ…

まあ、普段から素行も悪く、顔を見ると金を貸してくれとしつこい従兄弟なもんで、現在着信拒否にしておりますψ(`∇´)ψ

マミ姐さんもご無事で何よりです。

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やあ心の友の吉井兄さん、ご無沙汰しておりますψ(`∇´)ψひひ

俺はまだピチピチの30代なので遠い未来のような感覚だが、今から高額な生命保険に入り、鏡姐さんの言う通りあの有名な「宜保さん」にでも霊視して貰おうかと考えております!

やあ鏡姐さんご無沙汰しております!

貴方の魔太郎が帰って参りましたよ!ここ最近、タチの悪い悪霊に取り憑かれていて一週間ほどポートタワーの上で「座禅」を組んでおりました!嘘です!安心して下さい!

今から姐さんのニャンニャン会議に出掛けて参ります候…ひひ…

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おばさんが、助言をしてくださったのだから、
気をつける…という意味で、お祓いやお説教に出向かれてはいかがでしょうか?

後に続くもの…だといけませんので。

ロビン様ぁ!
お元気そうで良かったです!
ご親戚が熊本って聞いていたので、心配しておりました。
ロビン様の名前見つけて、ドキドキしながら読みました。
これって恋!?

とても、素敵なお話しだったのに、最後が『何!?何!?』でした。
お父様が警告に来られたのでしょうか…

ロビン様のお店って、年中無休だったんですね…

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