短編2
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8階の話

怖い話の話の続きもあるんですが、まず。

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music:3

バイト先の社員さんの話なんですけど。

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その社員さんが中学生の頃、スキー研修というのがあったらしいんですね。

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二泊三日、スキーをするだけの研修。

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毎年、同じ宿舎に泊まるらしいんです。まぁ、軽いホテルですね。

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その宿舎、8階建てだったらしいんです。

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スキーを滑り終えて生徒全員で宿舎に向かう。

生徒は全員七階で寝なきゃならないらしいんですね。

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先生は6階。たまに見回りに来るくらいで。

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風呂と食事を終えると特にすることもなくなり、4人ほど集めて宿舎内を探検することになったらしいんです。

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で、先生達から聞かされていたのは「8階は従業員専用だから行ってはいけない」という事。とはいえ生徒が使うエレベーターには8階のボタンすらないからどちらにしろ行けず、で。

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社員さん一行は7階からスタートして6階、5階、と順番に探検して行って。

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30分もしないうちに一階のロビーへと辿り着いたらしいんですね。

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翌日もスキーだし、早く寝ようという事になってエレベーターに乗り込み、7階のボタンを押したわけです。

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エレベーターはぐんぐん昇っていきます。

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エレベーター、7階を過ぎたらしいんですね。

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生徒用のエレベーターじゃ行けないはずの8階に辿り着いてしまった。

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しかし、好奇心もあった。8階がどうなっているか見たかった。がががと音を立て、古いエレベーターのドアが開く。

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目の前に真っ暗なオフィスが広がっていたらしいんです。

それも、かなり巨大な。

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一行は気になってエレベーターから少し降りた。

しかし、恐怖で足が動かない。暫くすると、

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一番遠くの蛍光灯がパッ、と灯された。

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それを皮切りに、パッ、パッ、パッ、とどんどん灯りが迫ってくる。

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これはまずい。一行はエレベーターに戻った。

どんなに閉ボタンを押しても全く反応してくれない。灯りは迫ってくる。

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一番手前の蛍光灯、セットされてなかったみたいで点かなかったらしいんです。それを確認した瞬間、ドアが閉まった。一行はそりゃあもう安堵した。

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ただ、まだ終わらない。そう、エレベーターは上昇を始めたというんです。

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階数がどんどん増えていく。あるはずのない二桁の階数が表示される。12.13.14.どんどんどんどん。社員さん曰く、あきらめもあったらしいんです。もう死ぬわこれ。と。

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19.20.21...

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7

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エレベーターが開くと、目の前には普通の7階が広がっていたらしいです。

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翌朝、従業員に8階の事を尋ねると

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普通の物置だけど、物が多すぎて従業員でも入りたいと思わない。

って言われたそうです。

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社員さん一行は何処に行ってたのでしょうか。

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おしまい。

Concrete
コメント怖い
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昇りつめるだけ昇りつめて、目的地に着くというのは怖いですね…
いったい、どこを経由して帰ってきたのか…

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