短編2
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お誕生日なのに

今日は私のお誕生日。

この町に引っ越して来たばかりだから友達はいないけど、ママが近所の子たちを集めて来てくれた。

ママがケーキを準備している間に自己紹介をした。

私はママが大好き。

Aちゃん、Bくん、Cちゃん、Dちゃんの4人。みんな優しそう。

「はーい、ケーキできました」

ママがろうそくの刺さったケーキを持って来てくれた。

「さあ、これ持って」

ママはクラッカーの入った袋を開け、袋の口をみんなに向けた。

4人は一つずつクラッカーを取って、紐をピンと張った。

「じゃあ、お歌を歌いましょう。それで、歌い終わったらクラッカーを一斉に鳴らすの」

みんなはママの、「せーの」の合図で歌いだした。

「「「「「はっぴばーすでー とぅーゆー ばーすでー とぅーゆー」」」」」

ママたちは手拍子をしてくれているけど、CちゃんとDちゃんは手拍子してくれないし、恥ずかしいのか声も小さい。

嫌な子たちだなと思った。

「「「「「はっぴばーすでー でぃあ ○○ちゃーん はっぴばーすでー とぅーゆー」」」」」

パン!!!

大きな音が聞こえた。

ちょっと怖かったけど嬉しかった。

「○○、願い事をしながら火を消して」

私は黙って9本のろうそくを見つめた。

だんだんCちゃんとDちゃんが恨めしく思えてきた。

私のお誕生日なのに、2人はちゃんと歌ったり手拍子してくれなかった。

(…CちゃんとDちゃんが呪われますように)

つい意地悪な気持ちで願ってしまった。

軽い気持ちだった。

一度こんなことをしたら、パーティーはぜんぜん楽しくなくなってしまった。

つまらない時間は長く感じた。

ようやくパーティーは終わり、4人は帰っていった。

私はAちゃん、Bくんと仲良くなった。CちゃんとDちゃんは…もう会いたくない。

小さなことで2人を嫌いになった自分も嫌いになりそうだった。

でも、ママには感謝していた。

「ママ、どうやってあの子たち集めて来たの?」

「ああ、お隣の子よ。顔そっくりだったでしょ?双子なんですって」

ママはそれ以上何も言わなかった。

他の2人のことは何も言わなかった。

聞こうと思っても、なんとなく怖くて聞けなかった。

もしあの2人のことをママが知らなかったら…

お誕生日会に来ていた子たちが、本当は2人だけだったら…

あの子たちは誰だったのか、今でもわからない。

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