中編6
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人魚伝説 X

music:1

その音を聴いた者は死ぬ。

人魚伝説がある土地を目指す

超常現象調査委員会のメンバーが現地に赴いた。

”削除済み”の海で豪華客船と300人の行方が不明。同じ時間帯にカトリックの学校で39名の集団自殺。

そして謎が多い怪物「人魚」の目撃が多発する街に、二人の男が到着する。

「やはり、海が近いだけあって塩の匂いがキツイな」

帽子を被った若い男が

黒尽くめの男の横に立ち

「ダンピール様は昼間は大丈夫なんですか?」

ダンピールは日焼け止めを顔に塗り

「陽に当たるのは平気だが…肌が焼けるのは気に食わんな」

若い男は大きな鞄を抱え

「デカイ帽子を被って日焼け止めって用心深いですな」

ダンピールは人混みを見つめ

「お前はカフマンの身内なのだろう?レオン」

レオンは鞄を抱え頷く

「ええ!かなり遠い身内ですけどね。」

ダンピールは皮肉を笑いながら言う

「毛を剃る頻度はどれくらいなんだ?」

レオンは呆れた顔をして

「そんなに剃りませんよ、変身中は毛だらけですがね。人間に戻るときは皮膚ごと剥がれるので気にしません」

ダンピールは感心するように

「そうなのか…」

しばらく街を歩き

ダンピールは地図を広げ指を差す

「とりあえずホテルに行こう」

レオンは鞄を抱え辺りを見渡しながらダンピールに着いていく。

ホテルに辿り着いた二人はカウンターに向かう。

「いらっしゃい!ダンピール様!」

カウンターに立っている男はニコニコ笑いながら

「嬉しいですね〜ダンピール様がお泊り頂けるとは!」

ダンピールは金貨を二枚渡し

「部屋を借りたい、二つだ。」

ニコニコ笑う男は鍵を用意して

「期間はいつまでで?」

ダンピールは肘をカウンターに乗せ

「仕事が終わるまでだ。大丈夫か?ドッペル?」

ドッペルはニコニコ笑いながら

「少々お待ちを…」

ドッペルは身動き取らず耳を澄ましメモを取り始めた。

「ハイ、完了しました。オーナーがOKを出してくださいました」

ダンピールは金貨を一枚、ドッペルの胸ポケットに入れ

「今日、オーナーはいないのか?」

ドッペルはニコニコ笑いながら

「今夜のパーティーに参加します。いつもの席に座っていますよ。オーナーが到着次第、連絡します。」

ダンピールは帽子を軽く浮かせ

「頼んだ。今日一日中部屋にいる」

ドッペルは頷き

「では、お部屋にお電話します」

レオンは鞄をベルボーイに渡し

「あのドッペルっていう人、気持ち悪いですね」

ダンピールは笑いながら

「彼はドッペルゲンガーだ。シェイプシフターとも呼ばれてる。彼は世界中に複数の実体を持っている」

レオンは苦虫を噛んだような顔で

「え?じゃ、じゃあドッペルさんは他にも何人もいるんですか?」

ダンピールは懐から本を取り出し

「何人っていう規模じゃない。何千人という人数だ。彼は連絡係で、カフマンも連携して世界中の怪物と連絡を取っている。」

レオンは納得するように

「なるほどー」

部屋に着くとダンピールはベルボーイに金貨を渡し

「君、シャンパンとブランデーを冷やさずに持ってきてくれ」

ベルボーイはニッコリ笑い頷く

「かしこまりました」

次の瞬間、ベルボーイは煙のように消えた

レオンは驚きの連続で空いた口が塞がらない

「!?」

ダンピールは笑いながら

「一生驚いてろ、顎が外れるまでな」

レオンは空いた口を塞ぎ

「あれは何者なんですか!?」

ダンピールは本を閉じ

「彼はクラ・マーモン。瞬間移動を得意とする男で秘密病院でカフマンが保護した。」

レオンは部屋の扉を開けて

「俺が知らないことだらけで疲れました。また明日…」

ダンピールは持っていた本をレオンに投げる

「これを読んで勉強するんだな」

レオンは慌てて本を受け取る

「勉強か…。が、頑張ります」

ダンピールは寝室に仕事道具を並べ

明日の準備をする。

「今回の獲物は人魚か…聖職者の血液で清められたナイフで仕留めるか…それとも…」

突然、部屋の黒電話が鳴った。

「ダンピール様、オーナーが到着しました。いつものお席に…」

ダンピールは道具を片付け

「わかった…まだあのエレベーターは使えるのか?」

「ええ!もちろん!新品同様に輝いていますよ!」

ダンピールは電話を切り部屋を後にした。

ホテルに泊まっている客で騒がしい

激しく魅惑的なダンスが披露され

その近くに妙に明かりが落ち着いている席が、オーナーの特等席だ。

「久しぶりだな、アルバート」

ダンピールが笑いながら話しかけると

渋い声で返事をするアルバート

「何年ぶりだ?ダンピール。とにかく座りたまえ」

ダンピールは椅子にどっしり座り

シャンパンとウィスキーをグラスに

注ぐ。

「106年は経っているな…最後の吸血鬼狩り以来だ」

アルバートは笑いながら

「そうだったな…吸血鬼共がお前とカフマンを恐れ同盟を結んだ歴史的瞬間だったな」

ダンピールは肩を竦め謙遜する

「あれはカフマンのお陰だ…カフマンが助けに来なければ、私は殺されていた」

アルバートは様々な資料を大きな虫眼鏡で眺め

「皆から聞いたぞ…この街に人魚が出没しているらしいじゃないか…」

ダンピールはウィスキーを飲みながら

「それを退治するために私達がやってきたんだ。しかし、人魚を殺すとなると情報が少な過ぎる」

「確かにな…人魚を殺せたという話は

聞いたことがない。」

ダンピールはウィスキーにシャンパンを混ぜて一気に飲んだ

「だが…人魚が聖職者の人間に恋したことで死んだという話は耳にしたことがある」

アルバートは羽ペンで何かを書きながら

「それは伝説で事実とは異なるだろうさ」

ダンピールは懐から本を数冊取り出してページをめくる

「聖職者というキーワードで考えると聖職者の血液で清めたナイフ、聖職者の骨で作られた杭なら殺せる可能性はある」

アルバートは苦笑いを浮かべ

「この豪華な酒場で血生臭い話はやめにして飲まないか?」

空のグラスをダンピールの前に置く

「そうだな…」

賑やかな酒場に罵声が轟く

「おい!そこの貴様!!」

アルバートは右頰に手を当てて困る表情でダンピールに呟く

「あの紋章はアルドレッチ族の息子か…全く…」

罵声を上げながらダンピールに近付きナイフを向ける

「貴様…ダンピールだな?貴様みたいな下等吸血鬼が、ここで何をしてるんだ?あぁ?!」

アルバートは呆れた顔で席を立ちカウンターに移動する。

賑やかな酒場は静寂に包まれ

ダンピールは笑いながら酒を飲む

「貴様とは…私のことかな?」

ダンピールの瞳が薄っすらと紅く光る

「あぁ!そうだよ!俺は気が短いんだ!とっとと失せろ!」

ダンピールは酒を飲み

「お前の名は何という?」

「俺はミゼラ・アルドレッチ!偉大な吸血鬼の息子だ!そんな俺に逆らうつもりか?」

ダンピールは名を聞いた瞬間に爆笑する

「はっはっは!笑えるな!アルドレッチ家の生き残りで、その息子?」

ダンピールはテーブルを叩きながら

ミゼラを挑発する

「アルドレッチ家の息子?あの愚かで下等以下の吸血鬼の息子だと?」

ミゼラは激怒しナイフをダンピールの喉に当てて

「貴様…俺を…アルドレッチ家を侮辱する奴は許さん!」

激怒しながら

ミゼラはダンピールの喉を切り裂いた

「ざまぁみろ!下等吸血鬼め!アルドレッチ家を…」

確かに喉を切り裂いた筈のダンピールの姿がそこには無かった。

驚きを隠せずにオロオロしていると

ミゼラの背後から笑い声が聞こえる

「勘違い吸血鬼の猿芝居は酒のお供に最高だな」

ダンピールはカウンター席で酒を飲みながら笑っていた

「貴様ぁぁ!!」

ミゼラはダンピールに向かってナイフを構え走り出した

「もう…飽きた」

ダンピールはナイフを持つ右手を蹴り上げ、ミゼラの喉を掴み持ち上げる

「いいか?ミゼラ?どれだけ偉大な家系であろうが、私には関係ない。」

ダンピールはホテルの外までミゼラを引きずりゴミ置場に放り投げた。

「もう一つ、言っておこう。貴様のような吸血鬼は殺したくて殺したくて堪らないんだよ。だが、今回は許してやろう。」

ダンピールは去り際に呟く

「私の気が変わらないうちに巣に帰れ」

ミゼラは黙ったまま頷き起き上がり人混みに消えた。

その後すぐにアルバートと朝まで飲み明かした。

翌朝…「昨日は飲み過ぎたかもしれん…クソ…」

To be continued…

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