中編7
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人魚伝説 X-2

music:1

翌朝…気分の悪さで目を覚ましたダンピールはシャワーを浴びて、レオンの部屋の扉をノックする。

コンコン…「レオン、そろそろカトリックの学校に向かうぞ」

だが、部屋からは返事がない。

コンコン…「レオン?おい、まだ寝ているのか?」

返事は無い

コンコン!「レオン!」

イライラしてきたダンピールは拳で扉を叩き叫ぶ

ドンドン!「レオン!いい加減に起きろ!」

すると、隣の客が扉を開き口に人差し指を当てて「シィーー!」

それに気付いたダンピールは謝り

隣の客が扉を閉めた瞬間に扉を蹴破った。

「レオン!いい加減に…」

ダンピールが部屋に入ると寝室から

美しい女性が現れ慌てて部屋を出て行った。

ダンピールは何かを悟りニヤける

「そういうことか…あの野郎…」

シャワー室の扉を蹴破り

「レオン!あの美しい女性は誰だ!」

突然のダンピールの声に驚くレオン

「な!何ですか!いきなり!」

ダンピールは二日酔いでフラフラしながら「お前…この野郎!」

ダンピールは地面に落ちている石鹸を踏み、盛大に転んだ。

「イタタタ…」

レオンは笑いながら

「大丈夫ですか!ダンピール様!」

ダンピールは天井を見上げ

「大丈夫なわけないだろ!全く!さっさと現地の調査に行くぞ!」

床に寝そべり腕を組んだまま立ち上がる。「先に入口で待ってるからな、色男」ダンピールは部屋を後にした。

レオンは苦笑いをしながら急いで支度する。

賑やかな朝に二日酔いの男が一人

「眩しいな…」

ダンピールはレオンを待つために近くのカフェでコーヒーを飲んでいると

また一人、消えていく

海を照らす灯台を目指せ

揺れる海に響く声

アナタはどこにいるの…

聞こえない…見えない…

優しいアナタの声が

行き場の無い愛は深い海に沈む

隣に居る老人が紅茶を飲みながら歌っていた。ダンピールはコーヒーを飲みながら歌を褒める

「素敵な歌だな…だが、恐ろしい」

老人は笑いながら

「この歌は人魚の歌なんです。」

ダンピールは興味深そうに

「人魚の歌?」

老人は紅茶を眺め

「ええ…50年前に人魚と作った歌なんです。実は私、人魚と付き合っていたんですよ」

ダンピールは笑いながら

「ハハハ、それは凄いな」

すると、カフェの中から老人の娘なのか一人の女性が

「人魚なんていないのよ?ほら、行くわよ!ごめんなさい、父が変なことを…」

ダンピールは優しく微笑み

「いえいえ、いいんですよ。良い1日を」

二人は人混みに消え、そこへレオンがやってきた。

「ダンピール様…お待たせ…」

「遅い…」「え?」

ダンピールは仕事道具が入ったカバンをレオンに投げ渡し歩き出す

「最初に唯一のカトリックの学校に向かうぞ…現場に残された魂の声を拾う」

レオンは首を傾げる

「魂の声?」

ダンピールは青い小瓶を胸ポケットから取り出し

「魂は見ることはできない。だが、この瓶の中に入れると可視化できる」

レオンは青い小瓶を眺め

「見えるようになっても声は…」

ダンピールは青い小瓶を胸ポケットに戻し

「命の終わりに放出されるラストブレスには、死ぬ直前に見た景色が記憶されている。それを見える状態にするということだ」

レオンはカバンを持ったまま悩み

「それにしても時間が、経ち過ぎでは?」

ダンピールは帽子を被り

「確かに…死んだカトリックの生徒の魂が彷徨っていれば都合がいいんだがな」

レオンは身震いしながら

「それって幽霊ですよね?」

ダンピールは笑いながら

「怪物であるお前が何を今更、怖がる?」

レオンは唾を飲み込み

「幽霊だけ…まだ見たことがないんですよね…」

ダンピールは爆笑しながら

「そうか!なら、幽霊の相手はレオンに任せるとしよう!」

レオンはアタフタしながら

「えぇー!!マジっすか!」

その頃…アルバートは奇妙な噂を耳にする。

沖で不審な船が目撃され、全長300メートルの巨大な船の出現。

また乗組員は160名、血色の悪い乗組員だったと語った。

船には巨大なコンテナが乗せられており、奇妙な呻き声がコンテナから聞こえるという。

その船は沖で最近になってから2〜3週間も目立った動きを見せていない。

アルバートは奇妙な噂を確かめるべく

海が見渡せる丘へと登り巨大な船を発見する。

その頃…この街で唯一のカトリックの学校に到着した二人は学校の門を叩く

wallpaper:3034

「久しぶりです…ダンピール。」

優しい声が響くと門が開きシスターが現れた。

ダンピールは帽子を外して会釈する

「久しぶりだな…シスター」

シスターは敷地内にある集団自殺の現場である教会に案内する。

「ここで39名の生徒が自殺をしたんです…」シスターは瞳を潤ませ椅子に座る。

ダンピールは教会の床に手を置き

「魂は…ここに残っているな…今も尚、ここで祈りを捧げている…。」

レオンはダンピールの横に立ち祈る

「レオン…聖書を」

レオンはカバンから立派な聖書を取り出しダンピールに渡す

「よし…魂の声を拾うぞ…」

ダンピールは青い小瓶を胸ポケットから取り出し聖書を読み始める。

ダンピールが立つ床が青白く光だし煙が床一面に充満する

「さあ…お前達の声を聴かせてくれ」

充満した煙が青い小瓶の中に吸い込まれていく。

青い小瓶は怪しく輝き、当時の記憶を教会内全体に照らし出す

music:2

祈る為に現れた39名の生徒達…

静かに蝋燭に火を灯し、それぞれ椅子に座り祈りを捧げる。

しかし、静寂は破られ生徒達は教会の扉へと勢いよく振り返る。

そして生徒達は頭を抱え、灯台でお互いを突き刺しあい絶命した。

記憶はここで終わり泣き崩れるシスター。

「なんてこと…」

ダンピールは生徒達が振り返った方向を当時と同じように振り返る

「ん?」

ダンピールは扉に近付き扉を眺め

記憶を繰り返す。

記憶には鱗が生えた手の様な物が一瞬だけ写っていた。

「やはりな…。だが、人魚の爪痕ではないな…」

ダンピールはシスターを教会から出るようにと促した。

「レオン、お前の嗅覚を頼りにする時が来たようだ」

レオンはカバンを椅子に置き上着を脱ぐ

「わかりました。少し時間を貰います」レオンは体全体に力を入れ、獣へと変身していく。

ダンピールは扉の爪痕が残る箇所を指差す。

レオンは爪痕が残る箇所の僅かに残された匂いを嗅いだ。

ダンピールは一冊の本を取り出し

「レオン、どんな匂いがした?」

レオンは頭を掻きながら

「腐った魚?いや…ラズベリーとリンゴが焦げた匂いに近い」

ダンピールは本をめくり頷いた

「マーマンか…厄介な怪物だぞ…」

レオンは頭を振りながら人間の姿へと戻る。散らかした皮膚、毛を集めポケットに入れる

「マーマンって人魚と何が違うんです?」

ダンピールは顎に手を当て

「不死身の怪物だ…人魚より獰猛で陸にも上がり人間を襲うが…」

レオンは上着を着て

「海から限りなく離れている…と」

ダンピールは本をレオンに投げ渡し

「何かがおかしい…」

二人はシスターに別れを告げて

ホテルに戻る。

music:1

wallpaper:3021

帰ってきた二人の前にアルバートが現れた。

「今回の狩りは厳しいモノになるぞ」

ダンピールは肩を竦め

「だろうな…今回の犯人はマーマンの仕業だとは思うが、腑に落ちない。」

アルバートはベルボーイを呼びカバンを預ける

「そっちの情報は?」

アルバートは一枚の写真をダンピールに見せる。

「沖に300メートルの船が現れた国籍不明、目的も不明だ。」

「その船が今回の事件、人魚の目撃に少なからず関係しているかもな」

ダンピールはそう言って部屋に戻った

「レオン、サラザール家に向かうぞ。30分経ったらロビーで待ち合わせだ」

レオンは頷き支度を始める。

ロビーではアルバートとダンピールが笑いながら談笑していた。そこへカバンを抱えたレオンがエレベーターから降りてきた。

「お待たせしました」

ダンピールがレオンに拳銃を渡す

「これからサラザール家に向かうが、安全とは限らない。変身は控えろ、人間として振る舞え。いいな?」

レオンは拳銃をポケットに入れる

「そ、そんなにヤバイんですか?」

ダンピールは笑いながら

「怪物を恐れないマフィアだ。仲はいいが…喧嘩早い奴が多くてな」

レオンはため息を零す

「マジですか…」

アルバートはレオンの肩を叩き

「イリーザ嬢に気に入ってもらえれば問題はないよ。」

レオンは眉を寄せ

「イリーザ嬢?」

ダンピールは一冊の本を広げ

「イリーザ嬢は何代も続く真眼を持った女性で、怪物の正体を見抜く」

アルバートはそれに付け加える様に

「しかも、かなりの美人だ。だが、色目は使うなよ?部下は許してくれないだろうからな」

レオンは笑いながら

「色目は使いませんよ!」

ダンピールは本をしまって

「さて、行くか…ここからサラザール家への道のりは長いぞ?」

そしてダンピール、レオンはホテルを後にしてサラザール家の屋敷へと向かった。

しかし、その道のりは険しく邪悪な者共が徘徊していた。

To be continued…

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