中編3
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おばあちゃんの夢

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生まれてこの方、一度も霊を見た事も無ければ、感じた事も無い。

虫の知らせや、シックスセンスなども皆無だ。

それにも関わらず、小さい頃から特撮と同じくらいに怖い話が好きで仕方なく、小学校で行われたお化け屋敷大会でのラストダンジョン=トイレにて、無駄に怖いもの知らずパワーを発揮した。

ワクワクしながら自分が先頭に立ち、個室の扉の隙間を覗いて回った挙句、「ここに人がいるよ!」と泣きじゃくるクラスメイトに知らせて安心させようとしたのだった。

…案の定、もっと泣かせてしまったが。

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こんな私にも一つだけ不思議で、当時は微塵も感じなかったが、よく考えると怖かった出来事が一つだけある。

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私が幼稚園を卒業する前だろうか。

母方のおばあちゃんが、ガンであることが分かった。

食道がんだった。

思ったより進行しており、手術しなくてはならなかったのだが、私の住む県では無く、F県の病院でないと出来ないということだった。

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おばあちゃんはF県の病院に入院し、手術が落ち着くまでの間、家族や親戚でおばあちゃんの御見舞に行ったものだった。

父と親戚の叔父さんで交代に運転しながら、往復約10時間掛ける事もしばしば。時には母と飛行機で向かうこともあった。この初めて乗った飛行機で貰った?買った?(記憶が曖昧)トランプは、未だに実家にある。

手術自体は成功した為、私の住む県に戻ってきた。

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しかし、安心したのも束の間、すぐに転移している事が分かり、おばあちゃんは地元の病院に再入院してしまった。

おばあちゃんの御見舞に向かう度、段々とやせ細って、顔色が悪くなるのを見て、幼いながらも不安に思ったものだった。

時が少し経ち、私はおばあちゃんの買ってくれたピンクのランドセルをからって、小学校に入学した。

私の成長とは反対に、おばあちゃんは元気が無くなる一方だった。

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ある時、私は夢を見た。

おばあちゃんと一緒に、デパートの中を楽しい気分で歩いていた。

ショッピングの途中で、上りの階段へ連れられ、おばあちゃんにトコトコ付いていく私。

おばあちゃんが先に難なく階段を上がっていくのだが、私は吃驚して立ち止まってしまった。

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さっきまでは普通の階段だったはずなのに…

石段に変わっていた。

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それは、ゴロゴロとした丸みのある大きい石と砂利で敷き詰めた様な石段で、上から水が流れているのか全体的に湿っており、時折水の流れている音が小さく聞こえる。

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おまけに、水が流れているからか、川底に沈む石の様に苔が蒸していて、どう考えても上れば滑ると幼い私にも分かった。

階段を上り終えたおばあちゃんが〝おいでおいで〟と私に手招きしたが、私は物凄く躊躇した。

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手すりに1度は手を伸ばしたものの、結局私は上ることを諦めたのだった。

少しだけ、おばあちゃんの顔が悲しそうに見えたと思ったら、パッと夢から醒めてしまった。

一体何だったのだろうと思いはしたが、勉強したり遊んだりしている内に、すぐに忘れて普段の生活に戻った。

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それからしばらくして、おばあちゃんは亡くなった。

もしかして、おばあちゃんは私を一緒に天国へ連れて行こうとしたんだろうか…と後々になって思った。

しかし、未だに死ぬような思いも無く平和に暮らしているので、きっと私と一緒に遊びたかった思いが夢に出てきたんだと思いたい気持ちもある。

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-後日談-

母にこの夢の話をした時、私がおばあちゃんに連れて行かれるんじゃないかと、心底怖かったそうな。

また、高校生になってから教えてくれたのだが。

おばあちゃんが私の家に遊びに来た時。

いきなり我が家の包丁を出して来て、「殺してくれ」って言いながら、お母さんにその包丁を持たせようとした話が、1番悲しくて怖かった…

闘病生活でかなりキツかったんだろうけど、死にたい気持ちで実の娘であるお母さんに訴えるって、どんだけガンは人の心と体を蝕むのかと。

気の強いお母さんが泣いているのを、この話をしている時に初めて見た。

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ゆさん、コメントを頂きありがとうございますm(_ _)m

おばあちゃんには、天国で寂しがってないこと、苦痛でないことを願っております。
もう、形見とかほとんど残ってないので、思い出や写真はとても大事にしています。
最近お墓参りに行ってないので、そろそろ結婚する旨を報告しに行かなきゃなと思ってます。

切なく、悲しいお話ですね。
おばあさま、今は天国で楽しく過ごされていることを願います。

まりかさん、コメントを頂きありがとうございますm(_ _)m

そうなんですよね、何で手招きされたのか、石段を上ってしまったらどうなってたのか…考えるとやっぱり少し怖いんですよね(´・ω・`)

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