短編2
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這ってくる手

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いつのまにかそこにいた。

夕暮れ町を歩く

ひたひた。ひたひたと

いつまで歩くんだろう?小高い山?丘が見える

入ろう?舗装された道だ。

一歩入ると、むぁっとした植物の臭い。

ゆっくりと坂道を歩いていると、奥まった道に狗がいた。ゲッ。ゲッと奇妙な音と流延を垂らしていると、くるりと振り返った。

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化け物だった。否、化け狗だった。

「ぐぅああおおおお」追いかけてくる

ダダダダダダ

逃げるのに必死でありあちこちを草木できりつける

この世界はどうしたんだろう。

丘の中腹にある銅像の裏に獣道がある。

逃げればいい。やり過ごせるかもしれない。

それしかなく、足元の蔓草を踏みながら歩き始めた。

手にもっているのは何だろう。

背中にリュックサック、気になる。

がさがさ探る。携帯とアレ。

助かった。

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ここはどこだろうと、携帯のGPSを見る。

届かない電波。小さく●山?とかいてる

ゆっくりしている時間はない

取り敢えず探さなきゃ、無事に落ち着ける所。

赤い屋根が見える。トタンのドアがキイキイと嫌な音を軋ませる。入って見ようか?

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入って見ると光る目がみあった。真っ白な髪

「きれいなかみだね。」と少女は不釣り合いな言葉を紡いだ。

「ありがとう、お嬢ちゃん、おうちの人は」

「ナカミナカミ中味」と近寄ってくる。

二つの光る目をではなく腐った蛆虫が目の代わりをし、「いないよダレモ。」と稲刈り鎌を置いた彼女は鉈を手に持った。

ざりざり。後退りし走りだした。入り口もとい出口にあった鍬を拝借して。

無我夢中で走り、

町を抜け、もと居た町に戻ってきた。

当然、入り口には真っ暗でダレモ居ない。

灯りのある電灯のしたで手を着いた。

その時、ふと足首を、掴む存在に気付いた。

無言でぐしゃああと鍬を、落としたんだった

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あれから覚えていない。

ただ足首にいつのまにか付いた小さな手の痣は2度と消えてくれないだろう。

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