短編2
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◆極短編◆ 二階の窓から

すっげえ変な事があったから聞いてくれ。

俺の家は一応団地ではあるんだが、結構田舎ですぐ横にちっちゃい山があるような所なんだよ。

だから、ちょうど今みたいな暑い夜にはクーラーを着けなくても窓を全開にしておくと、涼しくてすっごい快適なわけ。

そんなわけでその夜も、後ろの窓を全開にして某人気漫画雑誌を読んでいたんだ。

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誰にも邪魔されないプライベートタイム、とだらだらしていたんだが、ふと背後に視線を感じる。

チラッと後ろを見ると俺の家の窓の向こう側の窓、つまりお隣さんの家の窓も開いていた。

あっちゃあ、くつろいでんの見られちゃったかなあと、ちょっと気まずい感じになってしまったが、幸い隣の家の窓の中は灯りが消えていて、もちろん人の姿も無かったため、ひとまず安心の俺。

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お隣さんはまだ引っ越して来たばかりで、去年の夏には家もまだ建っていなかったため、全く気にとめていなかったんだ。

俺は、今は灯りが消えてるのでまあいいかとそのままプライベートタイムを再開したんだよ。(窓閉めろよ!と思うかもしれんが、二階はクーラー壊れてて窓閉めると地獄になるんだ)

すると今度はかなり強い視線?気配?を窓の方から感じたんだ。恐る恐る窓を見ると、

かなり、びびったんだが

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お隣の、

灯りの消えた暗い部屋から、

若そうな男がこっちをちょうガン見してんの。

それもすっげえ満面の笑みで。

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めっちゃびびってちょっと悲鳴が出た。

隣の家族とは面識があるが、あいつは初めて見る顔だった。

当然俺は窓もカーテンも慌てて閉め、階段をかけ降りた。あの顔はどう考えても正常じゃなかった。(頭に焼き付いてしまって、ぶっちゃけ今でも夢に出る。)

もう俺は怖くなってしまってどうしようかと思ったが、良いことを思い出した。

「怖い思いをしたらコンビニに駆け込め」という話がある。24時間人がいて、恐怖心をまぎらわさせ、悪い気をはらえるらしいんだ。

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ラッキーな事に最近近くにコンビニが出来たんだ。財布を握りしめ、外にゴー!夜道を襲われないかと不安になり、隣の家をチラ見、

するつもりだったが、

ガン見してしまった。

なぜ気づけなかったんだ。

どう見ても、お隣は平屋だったんだよ。

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俺は今でもその家、平屋のお隣さんの横の家に住んでる。

もう二度と二階のカーテンは開けられない、

どころか近寄ることすらできない。

だって、

今でもたまに、あのときですら消えていた、

あるはずのないお隣の二階の灯りが、

カーテンから透けて見えたりしてるから。

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コメントありがとうございます!
初心者ですが、これからも僕の大好物な《奇妙》な話を語っていきたいです!

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