中編3
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琴音ちゃんときつねさん

sound:34

いらっしゃいませ おでん屋でございます。

大根、牛すじ、ちくわにはんぺん...各60円で販売しております。

60円がないお客様には特別に、おでん1つにつき怖い話1つで販売しております。

今日はお祭りに来た琴音ちゃんのお話です。

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ねぇ、これと似たようなお面つけた男の子、見なかった?

私8年前までこの街にいたんだけど、引っ越す最後の年にお父さんとお母さんと3人でこのお祭りに来たことがあるの。

今よりも屋台は少なかったけど、美味しい匂いとキラキラ光る電飾にすごく浮かれてた。

スーパーボールを掬うゲームをして、すごく大きなボールが取れたの。

お母さんが家まで持っててくれるって言ったんだけど、ずっと持っていたくて断ったの。

.

でもね、やっぱりっていうか...そのボール、落としちゃったのよ。

ポンポンと弾みながら人混みの奥へ奥へと行ってしまったの。

お父さんが止めるのも聞かずに追いかけたわ。

人が多かったから追いつかれることのないまま、気が付けば神社の奥の林の中まで来てた。

スーパーボールは完全に見失っていて、当ても無くただただ林の中を探していた。

そしたらね、男の子がいたの。

狐のお面をつけてる10歳くらいの男の子。

「どうしたの」って聞かれて、

「スーパーボールを探してるの」って答えた。

「お母さんは?」ってさらに聞かれると、

なんだか急に心細く...寂しくなって、泣き出しちゃったの。

男の子は泣きわめく私の頭をポンポンとやさしく撫でてくれて、大きな飴を1つくれた。

「一緒に探そうか」

私が泣きやむとそう言って林の中を一緒に探してくれたの。

.

.

ずっと下を見ていた私の背後から、目がチカチカするような大きな光がパッと咲いて

少し遅れてドン...ドン...って大きな音が鳴った。

スーパーボールを探している内にかなりの時間が経ったみたいで、花火が打ち上がり始めたの。

花火はすごく近く見えて、その迫力に圧倒されてた。

「きれいだね!」

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そう言って男の子を見ると、いつから見ていたのか男の子も私を見ていたの。

口元しか見えなかったけど、すごく優しい顔をしていたと思う。

花火が終わる頃「また一緒に花火見たいな」って言うと、

「いつか見たこともないような珍しい花火を見せてあげるね」

優しく微笑みながら、そう言ってくれた。

.

.

お父さんやお母さんが心配してるからって、スーパーボールは諦めて神社の境内まで送ってもらった。

またねって手を振ると、男の子は林の中へ消えていったの。

5分...いや、3分もしないでお母さん達が来て、私はまた泣いた。

せっかくとれたスーパーボールをなくしてしまった事を謝り、お父さんにおんぶされて家に帰ったの。

その後すぐに引っ越しちゃって、8年間ここのお祭りには来られなかったんだけど、もう中学生になったし行けるかもって...1人で来ちゃった。

でも「いつか」は今年じゃなかったみたいね。

ちょっと残念だけど、見たこともないような花火を想像しながらまた1年待つのも悪くないかな。

ねぇ、どんな花火だと思う?おでん屋さんは見たことある?

...黒い花火?なにそれ。見えないじゃん。

そんな変な花火じゃないよ。きっと。

すごくすごく綺麗なカラフルな花火だと思う!

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そう話し終えると、琴音ちゃんはスーパーボールのように丸い...

いえ、飴玉のように丸いつみれを食べて帰っていきました。

今回はお祭りなので、サービスです。

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ラグトさん コメントありがとうございますm(_ _)m
ミニおでん屋が開いている...!
いままで貯めた沢山の辛子で美味しく召し上がってください。

毎回思いついて書いている内に話がずれ込み、
怖くないただの世間話が出来上がる事もあります。その場合潔く全て消しております。

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いつの間にか、花火と結びついていたんですねw
私は、思いつかずにとうとう投稿できませんでした。

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