短編2
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よくみると

高校の頃の話。あまり細かいところまで覚えてないけど、考えれば考えるほど気味のワルい思い出。

僕はその頃バードウォッチングにはまっていて、学校にも双眼鏡を持っていってた。

で、放課後、自転車通学の人も徒歩の人も帰ろうと校舎から出てきて、賑やかな校庭。

僕も校庭に出てたんだけど、そこには何の不自然さも不気味な気配も無かったと思う。

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すると、いきなり横から叫び声が聞こえたの。

僕はもちろんびびって声の方をみたんだ。

で、そこにはなぜか見たことの無い(だから先生じゃないと思う)おじさんが、校舎の上の方を指差しながら

「消さんと、消さんと」

と、頭を振りながら叫んでいた。

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それを見た僕は、(これも変なんだが)謎のおじさんの奇行を放っておいて、ただただそのおじさんが指差す場所を見ようと思ったんだ。

まるで眠くて頭がはたらいてない時のような感じで、ほぼ無意識に僕は自分の体と目をソコに向けた。

いつの間にかおじさんの声は消えていた。

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ぼーっと見ていると校舎の三階にある窓の、さらに上の壁が汚れているのが分かった。

そのとたん、

僕の手が(多分)ひとりでに双眼鏡をカバンから取りだし、

目の前に持ってこさせた。

冷や汗ダラダラだったのを覚えてる。

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目を閉じたかったが、閉じれなかった。

仕方なく双眼鏡をのぞきこむ。

ソコには、汚れの正体が写っていた。

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文字がびっしり書かれていた。

細かい文字から大きな文字までびっしり。

内容は全く覚えてないけど、それを見たときの強烈な吐き気だけは覚えてる。

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