短編1
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南無阿弥陀仏

ずしり、

深夜二時、

腹に誰かが乗って居る。

しかも金縛り、

ギリギリ開く目で腹に乗るモノの正体を確かめると、

ざんばら髪に汚い着物のばぁさんが乗って居た。

ばぁさんは

『う~…う~…』

と呻きながら俺の首を締める。

咄嗟に俺は、

南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…

と何度も呟いた。

するとだ。

「この愚かもん!」

突然ばぁさん、

俺の頬を殴る。

『なんまんだぶつはなぁ、

それ唱えて極楽に行くもんや、

それで幽霊消えんぞナメんな!!』

そして怒鳴りつけられた。

その後もひとしきり鬱憤が堪って居たのか

最近の若者はどうだの、

無関心な奴が多いから憑き辛いだの、

もうちょい墓場にお供えしろだの

ものすごい説教をされ、

「まぁアンタはこんなババァの言う事聞いとるし

まだ捨てたもんや無いなぁ」

と言い、

朝になるとすっきりした顔で消えていった。

俺は久し振りに親に電話を掛けた

朝だった。

怖い話投稿:ホラーテラー とちおとめさん  

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