中編3
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かごめかごめ

子どもの遊び歌として有名な『かごめかごめ』。

昔から伝わる歌と思われている方が多いが、今のような歌詞になったのは明治頃だと言われる。

歌詞の不可解さからか今や様々な都市伝説がささやかれているのは、このサイトを見ているあなたならもちろんご存知だろう。

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これからお話しするのは明治時代の怖い話を調べていたとき、偶然見つけた実話怪談である。

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その家には、外にまったく出ない若い男が両親と共に住んでいた。今で言う引きこもりというやつだ。

しかし、それもしょうがない話だったのかも知れない。

というのも、その男の父親がまあ有名な学者でありさらにはとても社交的であり、

子どもの頃作った友達も、皆いつの間にかその父親とばかり話すようになる。

周りは皆、父の仲間。

劣等感を抱いても仕方なかったのかもしれない。

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さて、ここからが本番、怖い話。

まだほの暗い夜明け、その家の前を犬の散歩中の男の子が通り過ぎようとした。

しかしその瞬間、何を思ったのか犬がいきなり暴れだし、

何故か開いていた扉から、家の中に入っていってしまった。

男の子はこれは大変と、外から声をかけたが応答が無い。

家の人はまだ寝ているのかな?

うちの犬が家を荒らしたら大変だ。

男の子は悪いと思いながらも、家の中に入って行った。

「すみませーん」

家の中は真っ暗。

声を出しながら歩いていくが、物音ひとつせず

人の気配が全くしない。

そして犬を見つけることができないまま、少しだけ開いた扉に突き当たる。

この扉以外は閉まっていたので、愛犬はこの中にいるはず。

「し、しつれいします。」

うつむきながら、恐る恐る扉を完全に開く。

始めに目に入ったのは、倒れている愛犬だった。

暴れすぎて転んじゃったのかな。

そして不意に顔を上げる。

目の前には、

人の後ろ姿があった。

首吊りだった。

しりもちをつく男の子。

立ち上がろうとした瞬間、

何故か目の前の人が、

首のロープによってゆっくりゆっくり回転しだしたように見えた。

息を飲んだが、よく見ると見間違い。

今も最初と全く同じ背中が前にある。

男の子は自分をしっかりさせるため、自分の頬をたたき気合いを入れた。

そのお陰で男の子は

しっかりと

目の前の現実を見れた。

確かにゆっくり回転している。

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体はそのまま、首から上だけ。

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男の子は声も出せず、固まった。

もう首は180度回転し、

顔は、顔だけはこちらを向いている。

そして、

「……あ…え、あ……え…」

なにかをしゃべっていた。

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この怖い話は始めにも言った通り、明治

つまり『かごめかごめ』の歌詞が出来上がった頃に流行った噂話である。

またこの頃、

洋犬は外国人が犬を「come here」と呼んだことから「かめ」と呼ばれ、

明治人たちに大層人気であった。

引きこもりと籠の中の鳥。

滑って転ぶかめ。

そして、「後ろ」なのに「正面」という矛盾。

この話は何やら『かごめかごめ』と繋がるところが多い気がする。

もしかしたら、ひょっとすると、あの童謡はこの話がモデルになっているのかもしれない。

だとすると、最後、首だけこちらを向いた男は、

「後ろ」を「真正面」に睨み付けた男は、

最後、

男の子に問うたのではないだろうか。

「……だあれ、」と

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何の唄でしょうね~私は埋蔵金だと...元の話から今の唄になった頃に埋めそうな人物って居ますかね~

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