中編3
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偽りの霊

今日から、私の会社に新入社員が入ってくることになった。

「Aといいます。今日から、宜しくお願いします。」

彼女は自己紹介を済ませると、私の隣に座った。

デスクが空いてたのはそのためか。

「OL同士、頑張りましょう!」

彼女は私に言った。

その後、隣で仕事をしているせいか、私とAさんは親しくなっていった。

その過程で彼女の事を少しずつ知っていった。

彼女がいわゆる霊感体質ということ。

また、借金を背負っていることも…

「Aさんは前までどんな仕事してたの?」

「ウ〜ン…あんまり言いたく無いんですけど…家政婦やってました。雇い主の人がかなりの偏食で困っちゃいますよ。」

「そうだったの。」

そんな、なんでも無い話をしていると、急に彼女の目が厳しくなった。

「どうしたの…急に…」

怖くなって聞いてみた。

「あの…気分悪くしたらすみません。〇〇さんの家に変な霊いますよ…。〇〇さんから変な感覚します…。そうだ!今度、〇〇さんの家に行ってもいいですか?簡単な除霊くらいできるので…。アッ、図々しくてすみません!」

彼女はオドオドしながら言った。

「分かった。今週の日曜日、空いてる?来なよ。」

彼女が言ったことが怖いのもあったが、彼女の必死な言い方を見て、断れなくなってしまった。

日曜日。

彼女は至って普通の格好で来た。

すぐに除霊するのかと思いきや、彼女はお土産を渡してきた。

そのまま、昼食を済ませ、彼女は帰ろうとした。

これでは何のために来たのか分からない。

「除霊とかはしないの?」

私はおもわず聞いてしまった。

彼女はゆっくりと口を開いた。

「あの霊は手に負えません。専門の人を呼びます。絶対に気づいたような仕草したらダメですよ。じゃあ、何かあったらここに…」

彼女は電話番号の書いたメモを置いていった。

その日から、おかしなことが度々起こるようになった。

家具が揺れたり、変な声が聞こえたり。

始めは偶然だと思っていたけれど、とうとう我慢できなくなり、メモに書いてあった番号に電話した。

電話にはAさんが出た。

用件を話すと、彼女はすぐに行くと言った。

ピンポーン

彼女と見知らぬ男性が来た。

「Aさん!お願い、助け…」

言い終わる前に彼女は家の中に入り、ベットの前に屈んだ。

彼女はベットの裏側に手を伸ばし、何かを掴んだ。

それは機械だった。

あっけに取られていると、頭にすごい衝撃を感じた。

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気がつくと、真っ暗な所にいた。

いや、目隠しをされているのだ。

「こんk…うま…」

しわがれた男の声が聞こえる。

声が少しずつ、はっきりと聞こえるようになっていった。

「今回も上質な肉を取り寄せたのか?」

「はい。二十代前半の…」

その声を聞いた時、私はとても驚いた。

その声は紛れもなく、彼女の、Aさんのものだった。

「で?どんな捕獲方法を?」

「いつもの心霊の方法で」

「あれか。機械で再現する。引っかかるものだな。」

男の高笑いが聞こえ、それと同時にAさんの言った言葉が蘇る。

『雇い主の人がかなりの偏食で困っちゃいますよ。』

そういうことか…

「さあて、早速調理に取り掛かろう。あ、後お前の報酬は弾んでおくよA。」

金属のような物が触れるのが分かった。

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