長編11
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色情…

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人間誰しも、何がきっかけで不幸に墜ちていくかなんてわからないものだ。

当たり前の日常の中で、突然訪れる恐怖…

これはそんなお話し…

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暦の上では立秋を過ぎ、昼間に比べると過ごしやすくなった。

私(圭子)は、付き合い初めて半年を過ぎた隆志と夕暮れの街中を歩いていた。

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金曜日の夕暮れと言うこともあり、街には沢山の人が溢れていた。

仕事帰りのサラリーマン、学生らしきカップル、カラオケ店のチラシ入りのポケットティッシュを配る店員…

いつもの、ありふれた景色だった…

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圭子『ねぇ、明日は休みなんでしょ? どこか遊びに行こうよ。』

隆志「悪い…、 急な仕事が入って、土日は出張に行かないといけなくなったんだ。」

圭子『え~っ、休みだって言ってたじゃん! しかも、泊まりなの?』

隆志「ゴメン。泊まりって言っても日曜日は夕方には帰ってくるから。 そしたらご飯でも食いに出ようよ。」

圭子『じゃあ、なるべく早く帰って来てね。』

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他愛もない会話だった…

そんな会話をしながら、川にかかる橋の上にさしかかった時だった…

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ガシャ~ンッ!

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背後から何かが倒れるような大きな音がして、振り返った…

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圭子『キャ~~ッ!』

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振り返った私に飛びかかってくる男の姿があった…

急な出来事に目を閉じ、しりもちを付いた…

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隆志「おいっ、圭子どうした? 大丈夫か!」

彼の声に我に帰り、ゆっくりと目を開けた…

そこには、さっきまでと同じ夕暮れの街が広がっているだけだった…

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圭子『えっ…、でもさっき…』

隆志「どうしたんだよ? 急にデカイ声出して…」

圭子『えっと… 別に何でもない… 転んだだけ…』

隆志「ならいいけど… 急に悲鳴あげて倒れるからビックリしたよ!」

圭子『ゴメン、ゴメン。ドジだね、私…』

疲れてるのかな? 気のせいだよね!

自分にそう言い聞かせて、帰路に付いた…

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圭子『あ~ぁ、退屈だなぁ…』

隆志は朝から出張に行った…

社会人の隆志と違い、まだ学生の私は、休みを取ったはずのバイト先のファミレスで暇を潰していた…

店長やバイト仲間たちと他愛もない話をして1日を過ごした。

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圭子『そろそろ帰らないと。』

店長『圭子ちゃん、明日も予定ないんでしょ? じゃあ明日出てくれる?』

圭子『2時位までならいいですよ。』

~どうせ明日もする事ないし… バイトしてたほうが得だしね~

朝から2時までのバイトを約束し、店を後にした…

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帰りのコンビニで1人分の夕食を買い、自室のあるマンションに向かって歩いていた…

橋にさしかかり、昨日の出来事を思い出す…

~昨日のなんだったんだろ? なんか今日この橋を渡るの嫌だなぁ…~

ふとそう思い、少し遠回りにはなるが1本先の橋を渡ることにした…

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~私も小心者だなぁ… ~

なんて考えながら、いつも渡るはずの橋の方に目を向けた…

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!?

あれは…?

橋の真ん中辺りの欄干に寄りかかり、こちらをじっと見ている男がいた…

一瞬ドキッとしたが、考えすぎだよねって思い直し家路を急いだ…

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橋を渡り終える頃、少し気になったのでもう一度向こうの橋を見てみた…

そこに、男の姿はなかった…

~居ない… 向こうも橋を渡ったんだよね…

でも… なんか気味が悪い…~

悪寒を感じ、さらに家路を急いだ…

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部屋につき、少しの物音にもビクビクしながらも何も起こることなく時間は過ぎて行った…

夕食を済ませ、シャワーを浴び、テレビを見ているうちにすっかり気持ちは落ち着きを取り戻していた。

隆志からは特に連絡もなく、少しイライラしながらベッドに入った…

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連絡一つしてこない隆志にムカつきつつも、ようやくうとうとしてきた頃だった…

!?

何かが足の指先に触れた…

~何?~

確認しようと起き上がろうとした…

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~動けない…~

全く身体が動かなかった…

必死に起き上がろうとしたが、指先一つ動かすことができなかった…

~何コレ?… 金縛り… なんで…? 怖いよ… 隆志、助けてよ…!~

声にならない叫びをあげていると、また何かが足を触った…

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得体の知れない何かが、私の足を触ってる…!

恐怖からパニックになる…

私を触るナニカは徐々に上へと移動してくる…

指先からふくらはぎ、その次は太ももへと…

~嫌、お願い辞めて…! なんなの…? 助けて…~

ナニカは、腰の辺りを過ぎ、お腹の辺りを触り始めた…

Tシャツがめくり上げられ、お腹があらわになった…

~イヤ! 辞めて…! なにする気…!~

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!!!?!!??!

明らかに舌で舐められている感じだ!

生ぬるく、ざらざらとしたものがへその周りを這っている…

~イヤだ! 気持ち悪い…! 辞めて…! ~

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ンフ~ッ! ンフ~ッ!

荒い鼻息のような声が聴こえる…

~誰? イヤ…! もう辞めて…! ~

声にならない叫びは、届くわけもない…

その舌は、ゆっくりとさらに上へと這い上がって来た…

ゆっくりとTシャツがめくり上げられ、舌は胸に這い上がって来た…

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涙が出てきた…

~もうダメ… 私、このまま犯されるんだ… ~

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~そんなの…

イヤだ!!!~

唇を噛み締めた!

痛い! でも…

動いた!!

『イヤ~ッ!』

大声とともにベッドから飛び退き、部屋の電気をつける…

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誰も居なかった… 何もなかった…

訳がわからない…

とりあえず携帯電話を持ち、着の身着のまま外へ飛び出した…

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近くのコインランドリーにかけ込み、隆志に電話をかけたがつながらなかった…

涙が止まらない…

夢じゃなかった… ベッドから飛び出した時、確かにTシャツはめくり上げられ、胸まであらわになっていた…

あの時、あのベッドの中には間違いなくナニカが居た…

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携帯電話で時間を確認すると、深夜の1時半…

バイトは8時から… 今から行ってもいいんだけど、さすがにTシャツとホットパンツだけのこの格好じゃ行けない…

着替えに帰る?

とんでもない… 今、あの部屋には帰れない…

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大学の友人に電話をかけた…

良かった… つながった…

事情を話すと、一緒に部屋に行ってくれると言ってくれた…

怖かったけど、財布もバイトの制服もあの部屋にある…

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友人と合流し、部屋に向かった。

怖かったけど、部屋の中はいつも通りの見慣れた自分の部屋だった…

朝まで一緒にいてあげるっていう友人の申し出を断り、24時間営業のバイト先のファミレスに行く事にした。

時間が早いのはわかってる…

ただ、こんな真夜中に友人を巻き込んでしまった心苦しさもあった…

何より、今は少しでも早くこの部屋を出たかった…

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かなり早い出勤に驚かれたが、適当に言い繕って休憩室で寝かせてもらった…

でも…、結局眠ることは出来なかった…

眠ると、またナニカが来るような気がして…

隆志は何度電話をしてもつながらなかった…

ホントに腹がたった…

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眠れないまま、朝を迎えた。

何事も無かったかのようにバイトをした…

働いているうちは、昨夜のことを忘れられた…

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バイトを終え、携帯電話を確認すると何件かの着信があった。

昨夜呼び出してしまった友人と、隆志からだった…

真っ先に隆志に電話をかけた。やはりつながらなかった…

ホントに隆志の奴… 電話を切る指先にも思わず力が入る…

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深呼吸をして、友人に電話をかけた…

圭子『もしもし、恵美。ゴメン、バイトしてた。』

恵美「こっちこそ、電話してゴメンね。昨夜の事が気になっちゃって… ねぇ圭子、大丈夫? 今日、うちに泊まってもいいよ。」

圭子『ありがとう。 でも、もうすぐ彼氏帰ってくるから大丈夫! 心配させてゴメンね。』

恵美「そっかぁ、でも、もしなんかあったら何時でも連絡してね。 それと、知り合いにソッチ方面に詳しい人がいるから、紹介しようか?」

圭子『うん、とりあえずもう少し様子をみてみる… また何かあったら連絡するね。』

大学の友人の恵美の言葉がとても嬉しかった…

それに比べて隆志の奴…

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あれから、隆志からの連絡はない…

だからと言って、独りであの部屋に帰る勇気はない…

コンビニで時間を潰す…

もう6時になろうとしていた…

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ようやく隆志から連絡があった…

彼の口から出た言葉は、期待外れの言葉だった…

隆志「ゴメン! 少し仕事が時間かかってて帰るのが遅くなりそうなんだ。夕食は食べて帰るから圭子も食べといて。外食はまたにしようよ。」

圭子『遅くなるって何時ごろになるの? ご飯なんかどうでもいいから、早く帰って来てよ…』

隆志「仕事だからしょうがないだろ。なるべく早く帰るようにするから!」

少しキレ気味の彼にそれ以上何も言えなかった…

電話を切った後、また涙が出てきた…

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公園のベンチに座り、気持ちを落ち着かせた。

一通り泣いて、腫れぼったくなった顔を水道で洗う。

素っぴんになってしまったが、まだあの部屋には帰りたくない…

とりあえず、近所のラーメン屋で夕食を済ませた。

そして本屋に立ち寄る。恵美に連絡しようとしたけど、これ以上迷惑をかけたくない気持ちもあり、立ち読みをして、時間を潰した。

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携帯電話が鳴った。隆志からのメールだった…

※後一時間もしたら帰ります※

~1時間かぁ。ここにそんなに居れないなぁ~

本屋に来てどれくらい時間がたったんだろう…

もう10時をまわっていた。周りの人影もまばらになっていた…

~帰ろう… ~

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部屋に帰ると、部屋中の電気をつけた…

テレビの音量もいつもより大きめにした…

メールが来た。

※今、駅に付いたよ。もうすぐ帰ります※

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ホッとして気が緩んだ…

同時に腹立たしさからか、イタズラ心が芽生える…

~寝たふりしてやろ。~

電気を全て消して、玄関に鍵をかけベッドに入る…

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そろそろ帰ってくる頃かなぁ… なんて考えていた時、玄関に人の気配がした…

慌ててふとんをかぶる…

廊下を歩く音がして、寝室のドアがあいた…

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~どうして、何も喋らないの~

嫌な予感がする…

どうしよう… もしかしてまた…?

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ふとんの足下がめくられる…

またナニカが指先に触れた…

~隆志なんでしょ?~

声が出なかった…

冷たい手が、私の太ももを撫でまわす…

~イヤ… またなの… 助けて… 隆志、早く帰って来てよ… ~

また生ぬるい感覚が肌に触れた…

昨夜と違い、今日は太ももを舐めまわし始めた…

全身に鳥肌が立つ…

太もも舐めまわしながら、ホットパンツに手をかける…

~イヤ… なにする気…! お願い辞めて…!~

気を失いそうになるのを必死にこらえる…

気を失えば何をされるかわからない…

ナニカのホットパンツを掴む手に力がこもった気がした…

~もう許して… お願いだから… ~

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ガチャガチャッ

玄関が開く音がして、聞きなれた声がした。

隆志「圭子~、帰ったよ~。ゴメンねぇ~。」

その瞬間、私の身体の上からナニカの気配が消えた…

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私は、泣きじゃくりながら、隆志に昨日からの出来事を話した…

彼は、私を慰めながら話を聞いてはいたが、半信半疑のようだった。

一通り話して落ち着くと、「じゃあ」って流れになりそのままコトが始まった…

序章が終わり、まさに1つになろうとした時だった…

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彼の肩ごしに、あの男の顔が見えた…

圭子『キャ~ッ!!!』

彼を払いのけた…

隆志「ウワァ~ッ!」

突き飛ばされた彼が一呼吸置いてから叫び声を上げた…

どうやら彼も見てしまったようだ…

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シャワーを浴びていると、リビングで携帯の鳴る音が聞こえた。

「なんだよ、こんな時間に… 誰だよ」

タオルで身体を拭きながら、全裸のまま電話を取る

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「もしも~し、こんな夜更けに何ですか~?」

恵美「もしもし、康史! 良かった。まだ起きてた!」

康史「なんだ。恵美ちゃんか? こんな時間にどうしたン?」

恵美「お願い! 今○○町のファミレスに居るから来て! なるべく早く!」

康史「はい? え~っと意味がわからんのですけど…」

恵美「圭子ちゃんが… あの… 友達が幽霊を見たって…! とり憑かれたかもって…!」

康史「…、 あのね恵美ちゃん、俺そういう話しはイヤだって言ってるよね…」

恵美「いいから早く!」

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あれからすぐに恵美に連絡を取った…

恵美はすぐに来てくれて、そちら方面に詳しいという友人に連絡を取ってくれた。

ファミレスでその人の到着を待っていた。

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しばらくすると、Tシャツにハーフパンツ、サンダル姿の男性が現れた。

恵美のバイト仲間で、康史という人らしい。

一通り、今回の出来事を彼に話した…

話し終えると、それまで黙って聞いていた康史君が口を開いた。

康史「和風ハンバーグセットでどう?」

圭子『えっ?』

康史「だから、報酬の話し。和風ハンバーグセットでどう?ってこと」

圭子『えっ、そんなことでいいんですか?』

康史「ドリンクバー付けてもいい?」

圭子『それは、いいですけど… ホントにそれで大丈夫ですか?』

康史「絶対に大丈夫だとは言いきれないけど、多分ね。どうする?」

~ホントに大丈夫なの? でも今は誰でもいいからなんとかしてもらいたい~

圭子『お願いします。』

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注文した料理を食べ終えると、彼は立ち上がり私の後ろにたった…

そして、右手で私の右肩をサッと払った…

2回、3回と…

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康史「はい、とりあえず終わったよ。ひとまずこれで大丈夫だと思うけど、またなんかあったら恵美ちゃんに連絡して。」

圭子『えっ? これだけですか?』

康史「そう、コレだけ」

そう言って彼は子供みたいに無邪気に笑った…

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隆志『おいっ! ちょっと待てよ! ホントにコレだけで大丈夫なのか? だいたいオマエ何者なんだよ!』

康史「何者? ただの学生だよ。霊媒師でも坊さんでもない。俺はただ視えるだけなんだよ。

だからその子の後ろに男が居るのが視えた。だから文字通り祓った。

そして、今彼女の後ろに男は居なくなった。ただそれだけ、もしかしたらまた帰ってくるかも知れない。それは俺にはわからない。

霊能力者じゃないからね。だから金は取らないんだよ。もし心配ならもっと高い金払ってきちんとした所に行けばいい。

悪いけど俺に出来るのは、目の前の視える奴を追い祓うこと。それだけだよ。」

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そう言って、彼は店を出て行こうとした。

私は彼を追いかけ、お礼を言った。

圭子『ありがとうございました。これで様子を見てみます。夜中にホントにすいませんでした。』

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終わってみればあっけないものだった。

康史君の言った通り、あれからおかしなことは起こらなくなった…

あの部屋にも住み続けている。

いったい、なんだったんだろう?

やっぱりあの橋の上での件が原因だったのかなぁ?

いつ、どこで奇妙なことに巻き込まれてしまうかなんて、ホントにわからないものだなぁ…

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恵美「あっ、康史。この間はありがとう。あれから全く出なくなったって」

康史『だろうね。彼女に怨みがあって憑いてるって感じじゃ無かったからね。たまたま波長が合っちゃったんだろうね。それが偶然エロお化けだったって訳だ。』

恵美「ホントにそんな事するお化けっているんだね… なんか、気持ち悪ッ!」

康史『なんなら俺が生き霊になって、恵美ちゃんのふとんの中に入って行こうか?』

恵美「ホントにバカだねぇ、康史って…」

康史『あっ、そうそう。どうでもいいかも知れんけど、圭子ちゃんに彼氏と別れた方がいいよって伝えといて。あの彼氏はヤバいよ。色々憑いてたよ。

水子とか、女の生き霊とかね。』

恵美「それって、ホントに?」

康史『さぁね(笑っ)』

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