中編3
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視える人

友達と呑みに行ったときのお話。

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その日は、バイト上がりに

アスカと呑みに行く約束をしていた。

俺はバイトが少し長引いてしまい

アスカを待たせる事になってしまっていた。

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駅に着いて辺りを見渡すと

壁際にアスカらしき人が居る。

しかし、俯いていてこちらに気が付かない。

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俺「アスカ!」

ア『…』

俺「おーい!アスカ!」

アスカは俯いている。

どうやらこちらに気付いていないようだ。

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俺は近づいていって肩を叩く

俺「おい!何してんの?」

ア『!!あぁ…遅いよ…お疲れ様(笑)』

顔色の悪いアスカが力なく笑った。

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俺「どうした?何かあった?」

ア『…呑み屋で話すよ』

とりあえずアスカと俺は

行き付けの居酒屋へと向かった。

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ある夏の日の金曜日の19時。

私は友達と呑みに行く約束をして

待ち合わせ駅の壁際で待っていた。

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もうそろ着くかな~?なんて思いながら

スマホに目を通した時

shake

俺「ごめん!バイト終わらない!少し遅れそう」

ア『まじか~…仕方ないか…』

暇潰しにふと、駅の構内を見渡す。

疲れた顔のサラリーマン、これからお仕事らしきお姉さん、テンションがやけに高い学生、買い物帰りの主婦…様々な人が行き交う。

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私は人間観察が好きだった。

けど、視える人だった私は

たまに人ではない“ナニカ”を

見つけてしまうこともある。

その“ナニカ”は気付いてることに

気が付くと憑いてきてしまうから

見つけたら気付いてないフリをする。

それが私の対処法になっていた。

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ふと、駅直通のデパ地下の方を見ると

青いワンピースで痩せ細っている女性

黒いストレートの長い髪。いかにもだ。

後ろ姿だったのでしばらく観察していると

目の前から急ぎ足のサラリーマン

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ア『(あ~…ぶつかる…)』

案の定、サラリーマンは女性をすり抜けた。

ア『さっきの人憑かれてないかな・・・』

通り過ぎていったサラリーマンを探す。

待ち合わせなのだろう。改札付近に姿があった。

ア『憑いてないか。良かった』

振り返りもう一度女性を確認しようとした

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ア『(あれ?まだいる。)』

なかなか消えない女性をしばらく観察していた。

青いワンピースの女性が前方から現れた男性と

腕を組んでこちら側に歩いてきた。

ア『あれ・・・生きている人間だった・・・?』

shake

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そうか。やってしまった。

私はとんでもない勘違いをしていた。

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見てはいけなかった。

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≪さっきのサラリーマンを≫

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改札付近を見渡す。彼は居ない。

チラリと横目で隣で壁にもたれ掛っている人を見る。

この季節には合わない紺色のロングコート

間違いない。こっちが”ナニカ“だったのだ。

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気付かないフリをするのにスマホをいじる

横から声がする

≪寒い…あぁ寒い…寒いよ…≫

緊張と恐怖で身体が震えそうになる。

≪寒い…何でこんなに寒いんだ…寒い≫

聞こえる声はだんだん大きく荒くなる。

声をかき消すためにイヤホンで音楽を聴く

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≪~♪……寒い…寒いよ…≫

音楽に声が混ざりだす。

額に汗が滲む。声をあげそうになる。

ア『(早く!!早く来て…!!)』

目をぎゅっと瞑り俯いていた。

すぅーと隣から気配が無くなった。

イヤホンを外したその時

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≪本当は聴こえているんだろう?≫

shake

≪寒いですよね?・・・ねぇ!!!!≫

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怖くて怖くて気がおかしくなりそうだった

うっすら目を開けて見ると

目の前で俯く私を覗き込んでいるのが分かる

ア『もうダメかもしれない…』

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不意に肩を叩かれる。

shake

俺「おい!何してんの?」

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そんなときに俺が来た。

顔をあげるともう彼は居なかったらしい。

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ア『って事があったのよ…』

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そう話すアスカはずっと

寒い・・・寒い・・・と言いながら熱燗を呑んでいた。

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