百物語 【第六話~十話】

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百物語 【第六話~十話】

ロビたん様の次にとは、何とも気遅れしますが

二番目の語り部を務めさせていただきます。

ノンフィク専で投稿させて頂いておりますが

いつも通り、怖くないと思われます。。。

閲覧注意の上、宜しく御付き合い下さいませ。

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第六話

【手】

まだ私が小学生の頃。父と一緒に眠っていた、とある夜。

いつもイビキのうるさい父が、その日は静かに寝ていた。

軽い寝息に安心し、温かい父にくっ付いてた。

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う・・ん~ぅぅ・・うぅ・・ぐ・・

何か異様な気配と、父のうなされる声。

モゾモゾと布団から顔を出すと、父は苦しそうにしてる。

枕のすぐ上は、床の間の太い木。

その木材から、何かが伸びていた。

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ん?匍匐前進で布団から上半身だけ出し、ソレを見た。

なに?これ?

薄蒼色のヒョロンとしたソレを無造作に掴む。

「「うわっ!!」」

私の驚いた声と、父の目覚めた声が重なった。

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沙羅?今、お父ちゃん苦しかったんだけど、何か見たか?

・・うん。見た。掴んだら、この中に入っちゃった。

掴んだ??何を掴んだ?

・・手?だったみたい。すんごく冷たくてびっくりしたよ?

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ソレは、父の背中の方へ入っていて、

近くで見ても背中からどう巻き付いているのか解からなかったが、首に絡まっていた。

私に掴まれて驚いたように、ひゅるる~んと勢いよく木材の中に消えた。

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ありのままを伝えると、

父は私の頭にポンと手を載せて言った。

「助かったよ。さぁ寝よう」

アレ。何だったんだろ?考えてる内に眠りへと落ちた。

******************

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第七話

【壁ドン】

私が裏の祖母宅へ間借りしていた時期。

夕飯を終えた頃に短大の同級生から電話が来た。

これからコンパあるんだけど来ないか?と。

少し考えて、行くことにした。

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間借りした部屋は、祖母宅の一番奥で窓から外へ出入りできる。

でも、問題は・・・。

外へ出ても、24時間嫌な感じしかしない、例の通路を通らねばいけない事。

沙羅宅と祖母宅の間にある通路で、常に邪悪な場所。

だが、鬱屈してた私は気分転換したかった。

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祖父母が寝静まるのを待って、会場へと急ぐ。

既に一次会は終わっていて、店の人から伝言を聞いて二次会場へ。

賑やかなコンパの様子を眺め、カウンター席にいただけで、だいぶ気が紛れた。

(そろそろ帰ろうかな)

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みんなに軽く挨拶をして、帰途を急ぐ。

沙羅宅の敷地内へ一歩入った途端に、耳鳴りがしてきた。

キーーーンという金属音に交じり、小さな女の子の楽しそうな笑い声や、リンリンと軽く鳴る鈴の音。

(これ。金縛り前のいつものだ)

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だが、これといって金縛った訳でもない。

とにかく、私は祖母宅の自室へ戻らねば。

靴を脱ぎ、爪先立ちでコソコソと歩く。

あの嫌な通路へ歩を進め、半ばまで来た時。

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ゴゴゴゴゴ・・と地鳴りのような音がした。

身構えた瞬間。

ガタガタガタ・・沙羅宅の風呂場の煙突と窓が揺れだして、その音はどんどん大きくなる。

(やめてよ~こんな時に~)

もし地震なら、祖父母が起きてしまう。

(ヤダよぅ~こわいよぅ~)

そう思ったのと同時に。。

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shake

ドーーーーーーーーーン!!!

激しく風呂場と外を繋ぐ扉に誰かが体当たりをしたような音が反響した。

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ひっ!!両手で口を押え、しゃがみ込む。

これ以上、何も起きないのを待ち、ソッと立ち上がると無事に部屋へ戻れた。

何食わぬ顔でジャージに着替え、祖父母の寝室へ声を掛けたが返事はない。

ぐっすり眠ってる。

まだ私の心臓はバクバクしてて、眠れなかった。

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翌日、昨夜の地震を話題に自宅へと行ったが、地震も無く、父も暴れてなかったそうだ。

まだ、私がしゃがみ込んでる時は、沙羅宅に電気がついていた。

起きていたはずなのに、気付かないとは有り得ない。

やはり。あの通路だからなんだろうな。

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第八話

【挨拶】

ある日、娘が1匹の仔猫を胸に抱えて帰宅した。

ママ!この子迷子になってるみたいだから連れてきた。

お風呂、入れてあげて~!

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当時の我が家は、全員が大の猫好きだ。

見ると、真白なその仔猫の首にはネームプレートが着けてあり、シロと書いてあった。

既に2匹飼っていたので、お客ニャーは、まずお風呂でノミ取りの洗礼を受ける。

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綺麗に洗い、ブローして食事を与える。

そして、誰にでも紳士な態度を示す初代猫の、モモに対面させてみる。

モモから<仲良くしようね>と言われるのか、モモが溺愛するレイも渋々仲良くする。

<ほら、ご飯だよ><遊ぼうね>とか誘われるのだろうか、お客ニャーも遠慮なく遊ぶ。

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数日後。見知らぬ女の子が訪ねてきた。

「あの・・私のシロ・・」娘とそう変わらない年頃の子だった。

瑠奈が、迷子預かってますの広告を、拾った近辺に貼っていたらしかった。

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その子に、ふわっふわになったシロを手渡す。

嬉しそうに何度も頭を下げ、胸に抱かれシロは帰って行った。モモも満足そうだ。

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そこから何週間も経たないうちにシロは死んでしまったようだ。

いつものように、両腕にモモとレイを抱え昼寝をしていたら、誰か入ってきた。

瞼が重くて、開けられないが、モモが開けっ放しにしたであろう幅15㎝程の戸の隙間から。

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ん~~? トトトト…軽い足取りに薄目を開ける。

ベッドの脇を通る白い耳。「シロ?お帰り。お昼寝だよ?」と声を掛けた。

生後半年程度の仔猫がヨイショとベッドによじ登る感覚。

私のお腹の上を平気で歩いてくると、鼻の頭をザリッと舐められた。

殆ど反射的に小さな頭を撫でる。小さく喉を鳴らしながら私の手に頭を擦りつけたと思ったら、感覚が無くなった。

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少し驚いて身を起こして部屋を見渡すが、入ってこれる筈の隙間が無い。

・・ご挨拶に来たんだね・・

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第九話

【隙間】

まだ自室の無かった中学時代の、ある夜。

何だか、とても寝苦しくて目が覚めた。

いつ父親が暴れても逃げられるように、普段着のポケットに合鍵と財布を入れて寝てるから?リラックスして眠れた試しがない。

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(ん~~。今日の走り込みのせい?足が動かないぞ~)

小学校時代から、ずっと陸上をやっていた私だったけど、その日はどうにも足がだるい。

足首から先が、火照って仕方ないんだ。

で、寝返りを打つついでに足を布団から出す。

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季節は覚えてないが、布団の外に出した足は外気に触れて心地よかった。

(ふぅ・・気持ちいいなぁ・・)

ウトウトし始めたら、だんだん足が冷えてきた。それも足を水にいれたように。

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(えー?今度は寒い~もぅ!)足を布団に入れようとした時。

誰かに足首を掴まれた。

反射的に足を掴む手をもう片方の足でガンガン蹴り、じたばたしながら叫んだ。

「やだぁぁぁ!!!」

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隣室で寝ていた父が、仕切りになってる襖を勢いよく開けた。

「どした!!」

足が・・足が・・押入れから・・

言葉にならないまま布団を被り、父と押入れを見た。

押入れは、三分の一位、開いてた。「今日は、こっちの部屋で寝るか?」

誘ってくれたが、寝る気にもならなかった。

以来、カーテンの隙間とか、ドアの半開きが苦手だ。

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第十話

【教室】

高校2年。部活が思った以上に遅くなり、急いで帰り支度をしてた。

スパイクの土を落とし、ピンを外し。高跳びだったため、セーフティマットにポール、バー。全部片づけなくては。。

屋外の片付けが済んで、教室へ戻った。

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ウチの高校は、登下校は必ず制服でなければいけなかったのだ。

一学年に1つの教室。必然、1~3年まで並ぶ形で校舎の端の方にあった。

でも、本校舎で中庭が見渡せる。

早く帰りたい日だったので、真っ暗になった校舎の階段を駆け上がる。

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確か、教室中央位の席だった気がするが曖昧だ。教室の電気を点けてる暇があったら

サッサと着替えて帰りたかった。理由は覚えてない。

とにかく、暗闇でジャージを脱ぎ捨て、制服に着替えてる時だった。

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ジャージを脱ぎ、上半身が露わになった所にカーテンが大きく風でなびくのが見えた。

(ん?窓開いてんの?それか誰かの悪戯?)

ブラウスに腕を通しながら、窓際へ行く。

窓。開いてないよな~。声に出して言ったら、結構暗闇に響いて急に怖くなった。

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ブラウスのボタンを留めながら、全部の窓の施錠を確認した。

(やっぱ開いてないし。気のせいだわ。)ベストを着て脇のファスナーを上げる。

スカートに履き替えようとした時に、またカーテンが強い外からの風で舞い上がった。

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誰か残ってんの?暗いとこでなにしてるん?

そう言いながら、教室の電気を点けた。が、自席に戻ろうとすると電気が消える。

(っったく。。暇人だなぁ)

もう一度、電気を点けに行った。今度は自席に戻っても電気は消えず、ホッとして着替えを済ませた。

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荷物を持って教室の入口まで行って振り返り

「ほら!悪戯してないで帰ろう?真っ暗だよ?」だが、誰も出てこない。

電気消しちゃうし、私が最後だからね。

後は知らないよ?そう言って室内を見たまま消灯した。

その時だった。カーテンの端を掴んで、こちらを睨む顔が見えた。

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同級生でも誰でもない。知らない顔だ。

私は、勢いよく教室の戸を閉め、猛ダッシュで階段を駆け下りた。

(あれ。あのデカイ女じゃ無かったよな)

歴史ある古い学校に、不思議は付き物か。

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ともすけさん♪
いつも、ありがとうございます(*^^*)

恐怖して頂けたようで、良かったです♡
とゆーか。。私、自己評価がすごく低いので、(また臨場感が出せなかった)とか
(あの怖さが、どうしても前面に出ないんだよ)とか思ってます(^^;

五教科の中では、唯一国語だけが救いだったのに、稚拙で恥ずかしいんですよ(凹)
なのに、怖かったと。駄文じゃなかったと励ましてくれる方々のお陰で、
投稿が出来てる状態ですw
一向に上達しないのが、一番の恐怖なんですけども・・。

ともすけさんの百物語、すっごく楽しみにしています。
情景の描写力、ハンパないですからね♡
また、他の作者の皆さんが強烈にコワイの引っ提げて来られますから楽しみです。
まだまだ序盤。盛り上がっていきましょう!

沙羅さん、コメント遅くなりましたm(_ _)m
全て怖かったのですが、【手】と【隙間】は特に… でした!
しかし… これだけの文で恐怖感与えるとは皆様はもちろん、沙羅さんも天才ですよ☆
私が今後出す百物語が通用するか心配です…
いつも良い作品を出してくださる沙羅さんに、皆様に感謝です(*^^*)

バンビさん♡
ロビたんが、百物語を始動したので参加者を募集しております!
百を語り終えた先に何が待ってるか・・・楽しみっしょ?

バンビさんも、参加しないかぇ~~~ヘ(≧∀≦ヘ)オイデオイデ
1話でも大丈夫だよ~~
足りない分は、ロビたんや、怪談師さんや、強者が<補填>してくれるからね。
安心して?参加しましょうよぅ~~~

詳しくは、掲示板にて。http://kowabana.jp/boards/32
待ってるよぅ~~~┬|o'ω')∂)) お い で

怖い‼️
ほんの少し見ない間にすごい祭りに…
実話って怖すぎるでしょ〜
読むシチュエーション揃えたら
やばいですよ!
次の方はどんな…

こげさん(*^^*)
ありがとうございま~~~す♪

完全な家猫にしていたのですが、レイが一度好奇心に負けて外へ出たんでしょうね。
一晩、誰も気づかず朝になって探したら、ウチの駐車場の部材置き場の奥に隠れて声がかれるほど呼んでいたみたいです(^^;;
他の、れっきとしたノラニャーも近くに居て、怖くて私の所へも辿り着けない有様。
・・・・ってまた、ネコバナ始めて止まらなくなるぅぅ~~!!

こげさんトコでもニャーたん居るんですね。
これを機会に、是非絡んで頂こうと目論んでおります(=^・^=)

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修行者さん♡

甘噛みも、ニャーにより、加減してくれるんですよww
カプ♡ からの~ ちょっとづつ力を込めて、ウニュ~~って。
「痛いよ?」って言うと、また緩めてくれますww
最初から、全力ガブッてくる子には、平手打ちかましますが・・。
・・って、ネコバナ始まると、終わらない私です。

覗きには・・ボディビルダーのように見せつけてやれば良かったですかね?(^^
今だったら、一目散に逃げてくれると思うんですがww (´;ω;`)ウッ…

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ラグトさ~~ん♪
こんにちわ~(*^^*)

うっわ~♡読み応えがあるだなんて、嬉しいじゃないですかっ!
喜びの舞をご披露せねば・・ワァ──ヽ(〃v〃)ノ──イ!!

おでん屋さん∑(゚ω゚ノ)ノ

あ・あの噂の「おでん屋さん」ですよねっ!!。゚(●'ω'o)゚。
お越し頂きまして、ありがとうございます(*^^*)

えっと、ハンペンと昆布と大根とちくわと、、、卵!
お願いします♡

ゼロさん♪
こんにちわ~~(*^^*)

まとまってましたか?良かった~♪
普段、メッチャ長い前置きなので、削るのが大変でした。
投稿出来て、ホッとしてますw

sunちゃ~~ん♡

ふっふっふ♪ 怖がってもらえて幸せにござるw
他の皆さんのお話も楽しみですね!

ポテイトとコーラでも用意して、読みますかっ!♡

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まりかちゃん♪
怖いかなぁ??(´・д・`)
壁の話は、確かに心臓飛び出るかと思うほど怖い体験だったんだけど。。
むむぅ・・

安らかなほっこりもあり、引き込まれてしまう怪異もありで
7分という長さに集約されているとは思えない充実した読みごたえでした。

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沙羅 様

コメント失礼します。

上手くまとまっていて、次々と読みやすかったです( ^ω^ )
お勉強になりました(^-^)
ゾクッとする怖さがあって、いいですね♪

怖いですっ!