中編4
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人魚伝説 X-6

人魚伝説 X-6 嵐の夜

music:1

一連の騒動が収まり、二人はサラザール家を後にした。

腐海の森とサラザール家を隔てる門の前に辿り着くと、サラザール家の執事が二人の前に現れた。

「再び腐海の森を進むのは面倒でしょう。私がお送り致します」

ダンピールは帽子を軽く浮かせ

「ありがと…う。」

気付いた頃には腐海の森の入り口にワープしていた。

二人は路線バスに乗り込み疲れた表情を浮かべ

泊まり先のホテルへと向かった。

また海の香りが漂う街に戻ってきた。

腐海の森の気分が害される異臭から解放された二人は深く息を吸い吐き出した。

背後から突然ー

「それで収穫は?」

アルバートの声に驚く二人

レオンは勢い良く振り返り

「びっくりしたー!大きな声を出さないで下さいよ!」

アルバートは大笑いしながら

「これぐらいで驚くなんてな!ハッハッハッ!」

ダンピールは帽子を被り直し溜息を零す

「まったく…昔から変わらんな」

ダンピールが微かに笑いながら、そう言うと

アルバートは腕を組んで

「そんなことはどうでもいい。聞きたいのは人魚のことだ。」

ダンピールは懐から古びた本を取り出し差し出した。

「この本に知りたい人魚の情報やら歴史が書かれている。イリーザ嬢からの贈り物だ」

古びた本を手にしたアルバートは裏表を眺め

「これが人魚伝説の本なのか?」

ダンピールは肩を竦め

「サラザール家の記録だ。間違いはないだろう」

レオンは辺りを見渡しながら

「あの~…話しているところ悪いんですが…」

music:2

三人を囲むように血色の男達が現れた。

ダンピールは懐に手を入れて後退する

「奴らの血色の悪さといい、充血した眼。人間では無いな…」

血色の悪い集団の先頭の男が雄叫びをあげて走り出した。

ダンピールは銃を取り出し脳天を撃ち抜いた。

人気のない道路に短い銃声が響く

「身体能力の高さは怪物のサハギン並…」

脳天を撃ち抜かれた男は平然と立ち上がり向かってくる。

レオンは構え辺りを見渡す

「不死身?」

ダンピールはその言葉を鼻で笑い

「それはあり得ない。吸血鬼でさえ死ぬのだからな」ダンピールは銃で迫ってくるサハギンを撃ちながら後退していく。

体中を撃ち抜かれているにも関わらず立ち上がり

走り出す。

アルバートは近付くサハギンを殴り飛ばし

「しつこいな!貴様ら!」

アルバートの瞳が真っ赤に燃え盛り

アルバートが触れたサハギンの体が激しく燃えていく。

「弱点は火か…ウェンディゴに近い種族だということになるな」

アルバートが、そう言うとダンピールがため息を零し

「それはそれで面倒だが…」

次第に激しくなる猛攻にダンピールが痺れを切らす

「いい加減に…しろ!!」

ダンピールが銃を投げ捨て地面に両手を置き叫ぶ

「朽ちろ!!」

緑色の文字の羅列が地面を這いずり回り

サハギンの体に文字が絡みつき腐らしていく、

ズルズルとサハギンの肉は地面に落ちていき

ダンピールはゆっくり地面から手を離す

「不死身でも致命的なダメージは与えられる呪文だ。賢い怪物には通じないが…マヌケな怪物なら簡単に引っかかる」

アルバートは溶けたサハギンを眺め

「見た目はサハギンに似ているが骨格がまるで違う…」

ダンピールは投げ捨てた銃を拾い

「ああ…何かに変身しようとして、失敗した人間のように見えるが…」

レオンは嗅いだことのある匂いに気付く

「この匂い…ラズベリーとリンゴが焦げた…」

ダンピールは溜息を零し

「こいつらはマーマンになれなかった出来損ないの人間達ってことか…」

アルバートは腕を組み

「こいつらがいる、ということはマーマンが近くにいるということになるな」

レオンは頭を掻きながら

「え?よくわからないんですけど…」

ダンピールは月を見上げ

「マーマンは仲間を集めているってことだ。人間に永遠の命を与えると嘘を言ってな」

月が妖しく光る夜に、不気味な船の汽笛が街中に轟いた。

3人は慌てて海を見渡せる場所に向かった。

沖に浮かぶ船が、この街に向かって来ていたのである。不気味な汽笛を鳴らしながら船は速度を上げる。

「マズイ…このまま来れば大変なことになる」

巨大な船は速度を上げ港に向かってくる

アルバートはダンピール、レオンの肩を掴み

船の正面に瞬間移動する。

「ダンピールとレオンは船の中に入れ!」

ダンピールとレオンは頷き船の甲板に飛び移る

待ち構えていたのは出来損ないのマーマンの群れだった。

「さてと、今日は…海が紅く染まる夜になるな…」

ダンピールは微かに笑い銃を取り出し構える

レオンは身体に力を込め構える

「この船を早く止めないと!」

不気味な汽笛がまるで

海からやってくる死神の足音のように聞こえた

To be continued…人魚伝説 X-7 海の死神

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