中編5
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人魚伝説 X-7 海の死神

人魚伝説 X-7 海の死神

music:2

その汽笛は死神の足音に聞こえる。

船の甲板ではダンピールとレオンが戦いを繰り広げていた。

「ダンピールさん!さっき使った呪文を!」

ダンピールはサハギンを殴り飛ばしナイフで喉元を切り裂く

「あれは一度きりだ!!次使えるまで時間が掛かるっ!」

額を撃ち抜いても、何度も立ち上がるサハギン。

普通種のサハギンは数で猛威を振るうが、

サハギン亜種の心臓は分厚い肋骨で守られており、遠距離からでは難しい。

そして何より異常な再生能力で致命的なダメージでも数秒ほどの足止めにしかならない。

頭部へのダメージで3秒、喉元の破壊で2秒

心臓の破壊で即死だが分厚い肋骨を避けて、心臓にダメージを負わせるには難易度が高い。

サハギン亜種の猛攻に悪戦苦闘していると、一匹だけサハギンの群れの中に外骨格で覆われた異様な姿をしたマーマンが姿を現した。

「マズイな…レオン!お前は奴の相手をしろ!」

ダンピールは周囲のサハギン亜種に銃弾を撃ち込んでいく。

「こいつッ!!外骨格で身を守ってる!」

レオンは拳でマーマンに殴りかかるが腕を掴まれ

投げ飛ばされてしまう。

ダンピールはサハギン亜種の猛攻を避けマーマンの頭部に銃弾を撃ち込んだ。

「!?」

マーマンに直撃した銃弾は簡単に弾かれた。

「なんだと…レオン!本気を出さないと殺られるぞ!」

レオンはマーマンの攻撃を避けるので必死だった

「本気って!この力は使いたくはなかったですが!」

レオンの瞳が緑に光る

「こうなったら手加減は出来んぞ?」

一目だけでは変化はわからない。

その変化を察知したのか、マーマンは後ずさりをする。

ダンピールにさえ察知出来ない殺気を漂わせる。

マーマンはレオンに近付き殴りかかるが、レオンは身動き一つせずマーマンの腕を左手で掴み右手で引き千切る。

返り血を浴びたレオンはニヤリと笑い

マーマンを殴り飛ばした。

サハギン亜種に囲まれたダンピールはナイフと銃で反撃する

「やるな…レオン。まさか…ここまで数が多いとはな…」

吹き飛ばされたマーマンはゆっくり起き上がり

千切れた腕から新たな腕が生えた。

「だよな…再生能力は立派だなっ!」

レオンは一気に距離を詰めてマーマンの腹を蹴り上げる

「グアッ!」マーマンが初めて苦しむ声を漏らす

攻撃の手を緩めることなくレオンはマーマンを攻め立てる。

「そこッ!」

胸部を殴り心臓に少しづつだがダメージを与える

マーマンも反撃にでるが、レオンのスピードに追いつかない。

圧倒的な力の差が目に見える結果となった。

レオンはマーマンの胸部を破壊し、心臓を拳で掴み潰した。

心臓を破壊されたマーマンの体は溶けていった。

それと同時に周囲にいたサハギン亜種は逃げていく。

そして4回目の船の汽笛が鳴り響いた。

サハギン亜種、マーマンを一掃した二人は船の内部へと侵入すると、二人の目の前に巨大な水槽が姿を現した。

「これは…なんだ?なぜ、魔術で護られている?」

また一人、消えていく

海を照らす灯台を目指せ

揺れる海に響く声

アナタはどこにいるの…

聞こえない…見えない…

優しいアナタの声が

行き場の無い愛は深い海に沈むの…

ダンピールは微かに聞き取れる声に気付く

「この歌…どこかで聞いたような…」

ダンピールが水槽に目を凝らすと

濁った水槽の中に人魚が苦しそうに泳いでいた。

水槽の前に立つ二人に気付き何かを訴えて…

「獲物が二匹…うまそうだな」

そのザラついた声に気付き二人が振り返ると

一人の男が立っていた。

ダンピールは銃を構え

「その見た目…何回も変身したな?」

不敵な笑みを浮かべる男は自分の体を見て顔を上げる

「ああ…次で人間には戻れなくなるなッ!」

突然の攻撃に慌てて避ける二人は嫌な気配を感じていた。

「俺は人魚の肉を喰らい不死身になった!強く!美しく!最強の怪物マーマンに!」

レオンは鉄パイプを掴みマーマンの頭を殴る

「そんなものは効かんわ!」

右手でレオンを殴り飛ばし、目にも留まらぬ速さでダンピールを攻撃する。

「クッ!速い!」

その時だった…二人が乗る船は

ゆっくりと港に打ち上がる。

「まさか、港に打ち上がったか!?」

巨大な船の周囲を警官達などが集まり騒めいていた

その頃、アルバートは黒電話で

「あぁ…頼む。私も港に向かう、民間人を巻き込むことにはなるが幻術で誤魔化せるだろう」

船が港に打ち上がった瞬間に船から大量のサハギンが地上に降り立った。

警官達は一斉射撃で応戦する。

「なんだこいつら!ヤバイ!容赦せず撃ちまくれ!」

その頃…船内では…

マーマンは体に力を入れ外骨格で体が覆われていく。レオンはマーマンを殴るが鈍い音が鳴り

レオンはマーマンの反撃を受けドラム缶の山へ吹き飛んだ。

「人間如きに俺に勝てるとでも?笑わせる!」

マーマンは雄叫びをあげながら突進する

ダンピールは銃を投げ捨て右拳に呪文を掛ける

「アァァァァァァァ!!」

ダンピールはマーマンの腹部を殴り飛ばすが

あまりの強さにマーマンは船の外へと吹き飛んだ

サハギンと警官達の銃撃戦の最中、巨大なマーマンがパトカーの上に落ちた。

「おいおい!なんだよあれは!」

警官達は巨大なマーマンに狙いを定め銃撃を開始する。

一機のヘリコプターが巨大なマーマンに向かってスポットライトを当て機関銃で攻撃する。

マーマンはスポットライトの明かりを手で遮り

パトカーを掴みヘリコプターに向かって投げつける。

パトカーは真っ直ぐにヘリコプターにぶつかり爆音と共に墜落した。

マーマンの攻撃対象が警官達になり雄叫びを上げ

走り出した。

「グアァァァァ!」

「マズイ!撤退だー!撤退しろー!」

マーマンは警官達の逃げ道に回り込み笑いながら

「どうした?どうして逃げる?戦わないのか?」

「クソがーー!」警官達は目の前に立ちはだかるマーマンに向かって発砲するがビクともしない。

マーマンはニヤリと笑い

「さよなら、人間!」

鋭利な爪が生えた腕を振り上げ…

その時だった…眩しく光る何かがマーマンの前に立ちはだかった。

To be continued…

次回…「人魚伝説 X-8 その光に」

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