中編4
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世界の終わり…

ボクはひとりぼっちだ。

いつもひとりぼっちだ。

トモダチなんて一人も居ない。

もちろん、彼女なんてものも居ない。

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でも、孤独感は無い。

この手の中にあるスマホで、たくさんの人と繋がっている。

ブログにFacebookにTwitter…

この中には、たくさんの知り合いがいる。

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不幸自慢や、孤独自慢をするボクに、たくさんの人が、コメントをくれる。

共感のメッセージや、励ましのコメント…

たくさんの人がボクと繋がってくれている…

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どうやら、ボクの住むこの国は終わるらしい…

“神”を名乗る侵略者が、この国を滅ぼすみたいだ…

…どうでもいいよ…

別にこの世界になんの未練もない…

こんなつまらない世界、終わっちゃえばいいんだ…

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マスコミが騒いでる…

“神”を名乗る奴等が、1つの提案をしてきた…

下らない提案だ…

誰か1人、生け贄を出せ。ある程度の知名度を持つ人間を差し出せば、侵略を辞めてやってもいいと…

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誰がそんなことに名乗りを挙げるんだよ…

そんな出来た人間がいるわけ無いだろ…

そう言えばひと昔前に誰かが歌ってたなぁ

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(誰か1人の命と引き替えに世界が救えるとして、ボクは誰かが名乗り出るのを、待っているだけの男だ)

って…

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今、この国はそんな人間の集まりなんだろうなぁ…

まぁ、ボクには関係の無いことだ…

誰かが犠牲になっても、この国が滅んでも…

どうせなら、全部滅べばいいんだ…

こんな下らない世界なんて

コワレテシマエバイイ…

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そんなことを考えて、破滅への日々を過ごしていたボクのスマホに、たくさんのメッセージやコメントが届き始めるようになる…

『生きる意味が無いんなら、キミが生け贄になってくれないかな?』

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『キミが死んでも、哀しむ人が居ないならキミが適任なんじゃないか?』

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『どうせ、生きてても誰の役にもたたないなら、みんなの役にたって死んでみろ! このボッチが!』

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「みんな… 何を言ってるの? あれだけボクのことを励ましてくれてたじゃないか…」

「誰からも必要とされてない人間なんて居ないって言ってたじゃないか…」

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「イヤだよ… なんでボクがこの腐った国のために死なないといけないんだ! それにボクはただのひとりぼっちで寂しい人間だ! “神”の奴等が言ってるある程度の知名度を持つ人間には当てはまらないじゃないか!」

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『キミには、こんなにたくさんのフォロワーがいるじゃないか! 芸能人やタレント並のフォロワーが!』

『そうだな!キミが条件にはピッタリだ!』

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その夜、何年ぶりかに姉が訪ねてきた。

子供の頃から、トモダチも居なくて虐められ、親からも相手にされてなかったボクを唯一人として扱ってくれた優しい姉…

嫁いで行った後も、何かにつけてボクのことを気遣ってくれた大好きな姉…

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『お願い… みんなを助けると思って犠牲になって…

コウジだけがこの国を救えるヒーローなの…

コウジがヒーローになれば、あなたのお父さんもお母さんも胸を張って生きて行ける。

コウジがみんなのヒーローになるの!』

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「ヒーローになる… 考えたことも無かったな…

まさか姉さんにまで、こんなことを頼まれるなんて…

もう、どうでもいいや…」

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この国を救ってくれっていう、俺のTwitterやFacebookへのメッセージはついに30万件を越えた。

少なくても、それだけの人がボクの死を望んでいる…

最近では、TVのニュースにまでボクのその日の行動が報道されるようになった…

実際には、ボクの死を望んでいる人はもっとたくさんいるんだろうなぁ…

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もう、ドウデモイイ…

ボクの心は、音をたててコワレタ…

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ボクは今、すり鉢状になった穴の底に座らされている…

なんだか、昔家族で遊びに行ったフィールドアスレチックのアリ地獄の中にいるみたいだ…

あの時はまだ楽しかったなぁ…

お父さんもお母さんも、ボクに笑いかけてくれた…

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また、あの頃に戻りたいなぁ…

なんでボクなんだ?

「なにがヒーローだ! ボクよりも必要の無い人間なんて星の数ほど居るだろ! イヤだ!まだ死にたくない!

なんでボクなんだ!」

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パンッ!

乾いた音が響くと同時に、脇腹の辺りに痛みがはしった…

(イタいよ… イヤだよ… 死にたくないよ…)

(姉さん… 最期に1つだけいいかなぁ…)

(ボクの名前は、コウイチだよ…)

最期に頭に浮かんだのは、こんなことだった…

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そして…

ボクハ…

…コ…

…ワ…

…レ…

…タ…

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