中編3
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「何をしてるの?」

人によって差はありますが、スマホとかで知らない番号から電話がかかってくると、

少しだけ怖くないですか?

僕の友達のY太君に至っては、未登録番号の電話が苦手過ぎて絶対に自分で応答はしませんし、

しつこい時や思い当たる人がいるときは、僕などのその場にいた人に出させます。

あまりに鬱陶しいので、何故そんなに怖がるんだと尋ねたことがありました。

これはその時、Y太が教えてくれた話です。

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ある金曜の夕方、Y太は仕事の帰りにコンビニに寄った。

仕事帰りの人が多いのか、けっこう混んでいたらしい。

いつものように、お菓子コーナーを見に行くと何やらぶつぶつ声が聞こえる。

Y太は「ああ、あの人か」と思ったらしい。

というのも、この店でよく独り言をぶつぶつ言うヤバそうな雰囲気のおばさんを見かけていたそうなのだ。

チラッと横目で声のする方向を見た。

目が合った。

あのおばさんはこっちを見て、つまりY太に向かってぶつぶつつふやいていたのだ。

Y太はかなりビビったが、平静を装い、気付いていないフリをしてその場を去ろうとおばさんのいる反対側を向いた。

しかしなにぶん混んでいて、通路は外の客に塞がれている。

ここから去るには人をかき分けて進まなければいけないが、そんなことをしたら逃げているのが丸わかり。

あまり刺激したくなかったY太はその場でお菓子を見ながら、おばさんか通路の客がいなくなるのを待つことにした。

しかし

「……しえて」

意識しだすと

「おしえて」

何を言っているのか勝手に聞き取ってしまう。

「なにしてるのかおしえて」

気味が悪いが、実害は無い。そんなことを考えながらなるべく気にしないようにした。

「おしえておしえておしえて……」

通路を阻んでいた客が移動したようだ。

Y太は買い物かごにポテチをパパッと入れ、サッとその場を離れてレジへ直行した。

・・・

その後家に着いたY太。

夜10時位に小腹がすいて、買ったポテチを開けようと手に取ってみると

そのパッケージには、黒のマジックで

『なにしてるのかおしえて』

と、大きく書かれていた。

小さく悲鳴をあげてポテチを投げ捨てる。

なんで?いつ?店員は気付かなかったのか?

あらゆる疑問が出ては消えて、意味も無くキョロキョロあたりを見回す。

その時いきなり、

ピロロン♪

スマホの着信音だった。

番号は、未登録。

誰でもいいから話したい、と思ったが

このタイミングは少し不気味じゃないか?

俺は電話に出てもいいのか?

スマホを持って固まるY太。

やがて着信音が消え、不在着信通知が付いた。

留守電が入っている。

恐る恐る聴いてみた。

が、何を言っているのかはほぼ分からなかった。

女性が何かをぶつぶつ延々と呟いていることしか分からなかった。

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以上がY太の話です。

そのおばさんはやはりこの世の者では無いのでしょうか?

そうは言っても未登録番号自体をそこまで怖がらなくても……と思ったんですが、いくつか思い当たる事がありました。

まず、Y太は毎週金曜日、いつも誰かと飲みに行ったり食事に行ったりしている事。

そしてもうひとつ、

僕も一緒に食事に行ったときY太はいつでも夜10時ごろになるとそわそわしだします。

そしていつもY太のスマホがなるんですが、決して反応しません。

指摘しても無視します。

……今でも、金曜夜10時、

電話がかかってきているのかも知れません。

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