中編6
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人魚伝説 X-8 その光に

人魚伝説 X-8 その光に

music:2

その時だった…眩しく光る何かがマーマンの前に立ちはだかった。

「まったく…この街で暴れたからには覚悟はできてるんだろうな?」

その頃…船内では…

「これが人魚?」

ダンピールは人魚に離れる様に合図して、水槽を銃で撃つ。

「助かりました…ありがとうございます。」

レオンは頭を掻きながら

「今回の事件の真相は、あんたの肉を食べた人間ってことでいいのかな?」

人魚は俯きながら頷く

「えぇ…私達は満月の夜に人知れず波の音に紛れて歌を歌う場所があったのですが、人間に待ち伏せされ、他の仲間達を逃して私だけが捕まったのです。」

ダンピールは銃を懐に戻し

「そもそも、並みの人間が簡単に人魚を捕まえられることはあり得ない。何者かの協力があったに違いない」

人魚は頷き

「確かに…」

レオンはマーマンのことを思い出し慌てて船の外へと向かった。

ダンピールは帽子を被り直し

「あの歌は人間と恋に落ちた詩なのか?」

人魚は照れながら

「えぇ…彼は忘れてしまってるかもしれませんが」

ダンピールは微かに笑い

「いや、彼は憶えていたぞ。」

ダンピールは、それだけを人魚に言い残しレオンを追いかけた。

その頃…外では…

「援護するんだ!」

警官達はマーマンから離れながらも発泡する

光り輝く男はマーマンを軽く投げ飛ばす

「貴様は…何者だ?普通の人間ではないことは確かだ」

「その通りだ…私は普通の人間ではない。サラザール家の守護神ライトだ!!」

マーマンの攻撃をライトは拳で受け止めると

マーマンの堅い外骨格で守られた腕にヒビが入る

「クッ!!」

船の甲板からダンピール、レオンはマーマンを目視した瞬間に船から飛び降り駆けつける

レオンがマーマンに向かって叫ぶ

「おい!」

マーマンは鋭い視線をレオンに向けるがライトの猛攻に精一杯だった。

「ライト?なぜ奴がいる?」

ダンピールは銃をマーマンに向けながら様子を伺う。

「ダンピール!もうすぐ我々の部下がやってくる!それまでサハギンを抑えてくれ!このデカブツは私がやる!」

マーマンとライトの戦いは激化していった。

ライトが有利だと、その場にいた全ての者が確信していたが…

マーマンはボロボロになりながらライトに向かって雄叫びを上げた。

ライトは突然、身動き一つもせずに地面に倒れた

マーマンは外骨格の修復させながら

「そうだった…俺には声がある。この勝負、貰った!」

マーマンはライトの頭を掴み上げ殴り飛ばす。

ビルの壁にめり込むライトは幻術に掛かり動けない。

必死に幻術に抗う瞳はマーマンを睨んでいた。

ライトを救うために警官達が一斉にマーマンに発砲する。

「奴を近づけるな!撃て!撃ちまくれ!」

警官達も無意味な攻撃だと思いながらも攻撃を続ける。

マーマンはゆっくりとライトに近付くが目の前に警官達とレオンが立ちはだかる。

「あんたらは下がっていてくれ。」

レオンは体に力を込め本来の姿に変身する

驚く警官達を他所にマーマンは警官達とレオンに向かって雄叫びを上げる。

レオンはそれに負けじと雄叫びを上げた。

マーマンの雄叫びは、かき消された。

「なんだと!?そんな馬鹿な!」

レオンは夜空に浮かぶ月を見上げ

「今日は素敵な夜だな」

その頃…ダンピール、警官達がサハギンを抑えていた。

「いいか!心臓を狙え!」

ダンピールがそう叫ぶと警官達は散弾銃、狙撃銃を構え、サハギンに応戦する。

ダンピールは銃でサハギンの膝を撃ち抜き、地面に膝を着けた瞬間に剣で心臓を貫く。

心臓を貫かれたサハギンはドロドロに溶けていく

警官の一人がダンピールの背後に迫るサハギンをナイフを投げて倒す

「なかなかの腕だな。名はなんという?」

警官は笑いながら

「俺か?俺の名はリチャード・ホームズ」

ダンピールはニヤけながら

「シャーロックホームズに…」

リチャードは散弾銃を構え

「うるさいんだよ!その弄りには懲り懲りしてんだ!お前は?」

ダンピールは笑いながらサハギンを倒していく

「ダンピールだ。しかし、一向に減らないな…」

リチャードが船の甲板を見上げ

「おい、あれって」

リチャードの視線の先には甲板からこちらを眺める人魚の姿だった。

ダンピールは銃でサハギンの心臓を撃ち抜き

「あれは人魚だ。見れてラッキーだったな」

リチャードは興奮した様子で

「マジか!!やっぱり人魚っているんだな!」

その頃…マーマンとレオンは激しい戦闘を繰り広げていた。両者共に巨大な怪物だったが警官達は、それに臆することなくマーマンを狙撃する。

「小賢しい!」マーマンが車を警官達に向かって投げると、それを幻術が解けたライトが吹き飛ばした。「人間には指一本も触れさせない!」

マーマンの前にダンピール、レオン、ライトの3人が立ちはだかった。

「今更が俺を倒したところで、もう遅い!計画は着々と進んでいる。」

ダンピールは眉をひそめ

「計画?なんの話をしている?」

マーマンは消火栓から溢れる水を浴びながら

「どうせ、聞いたところでお前達は死ぬ」

その時だった…

また一人、消えていく

海を照らす灯台を目指せ

揺れる海に響く声

アナタはどこにいるの…

聞こえない…見えない…

優しいアナタの声が

行き場の無い愛は深い海に沈むの…

船の甲板から人魚が歌い始めると海が青く光りだし、人魚達の歌声で街が覆われる

ダンピールは辺りを見渡す

「これは…」

マーマンが人魚達の歌声を聞いて頭を抱えて苦しみだした

リチャードが先端が尖った鉄パイプを持って叫ぶ

「これでぇーー終わりだー!」

マーマンの心臓部を見事に狙った攻撃だったが

心臓にはあと少しのところで届かなかった。

予想外の攻撃に驚くマーマンをリチャードは抑えていた。

「ダンピール!俺ごと撃て!!」

ダンピールは心臓部が露出する箇所をリチャードごと銃で撃ち抜いた。

マーマンはリチャードを投げ飛ばし後ずさりをしながら

「あり…えない…俺は不死身のはず…」

ダンピールは銃口から出る煙を口で吹き

「不死身の怪物は、この世にはいない。」

マーマンは月を見上げたまま溶けていく

胸を撃ち抜かれたリチャードの元にダンピールが歩み寄る

「お前の勇気は素晴らしい。リチャード…お前は生きろ。」

ダンピールは胸ポケットから小瓶を取り出し

白い粉を傷口に振りまくと、激しい激痛に襲われリチャードは気を失った。

music:1

マーマンとの戦いを終えたダンピールは

人魚に、この街全体に記憶が無くなる幻術を掛けるように要請…。

犠牲となった人間達はサラザール家、超常現象調査委員会のエージェント達が蘇生させ解決。

「無事に人魚事件は解決したようだね」

ダンピールはiPhoneを耳に当てて

「あぁ…だが、この事件にも何者かの影がある」

「それと…カフマン。俺は休暇を貰うぞ」

カフマンは笑いながら

「わかったよ、のんびり休暇を楽しんでくれ。また何かあれば連絡するよ」

ダンピールはiPhoneをポケットに入れ

レオンと再び人混みの中に消えた…。

人魚伝説 X-完……

次回…人形の森 X

某病院内…

「イタタタ…ここは?」

「ここは病院ですよ。リチャードさんにお客様です。」

「よお!リチャード!昨日は大丈夫だったか?」

「ドナーさん!ええ…死んでないのが不思議ですよ…」

「そうだよな!あんな事故が起きて助かるなんて奇跡としか言いようがないよな!」

「事故?」

「ああ、車の運転中に気を失って木に衝突したんだ。」

「え?昨日は港に出た怪物を…」

「怪物?なんの話だ?」

数十分後…

「レントゲン写真を見てもらうとわかるんだけど、君の心臓部に謎の物体が癒着してる」

「え?取り出せますか?」

「いや無理だな…無理に取り出そうとすると死ぬ可能性がある」

「えええええ!」

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