中編4
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ロボット犬

独り暮らしの俺は寂しさをごまかすために最近犬のロボットを買ってみた。

ロボット犬なんて言うと歴史の教科書に乗ってるような大昔の物を連想する人が多いが、これは最新型。

数年前のIoT-DLoT革命の影響を受けた高性能ロボットだ。

要するに、このロボット犬自体がインターネットに繋がっており、俺に役立つ情報などを自分で考えて教えてくれるのだ。

高品質で今まで誤作動も無かった。

そんなウチのペット、『おしゃべりONE-ONE』が今、

明らかにおかしな行動をしている。

『ここはあぶないです。ここはあぶないです。』

さっきから同じ事を何度も話しながら、部屋をグルグル回っているのだ。

と、思うどこかに向かって

『ワンッ、ワンッ』

と吠えたりもする。(犬型ロボットなので一応吠える時がある)

壊れたのかな?高かったんだけど。

とりあえず一旦電源を切ってみる。

そして再起動。

『ここはあぶないです。ここはあぶないです。』

ロボットの様子は未だに直らない。

まてよ。

このロボットにはネットワークによって様々な情報が送られてくる。

もしかしたら本当に俺の身に何か危険が迫っているんじゃないか!

俺はロボットを抱えてひとまずアパートから夜道に飛び出した。

まあ夜道と言っても街灯のお陰でそこまで真っ暗ではない。

そしてスマホでニュースを確認。

さあ何があったんだ!?

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[オリンピックハンマー投げで日本が金!]

[失業率、ついに20%超え。精神病が一因か?]

[ロボットの生産が過去最大。急成長の理由とは?]

[怖話、会員数ついに1億人突破!]

……とくに気になるニュースは無いな。

となると、やっぱり俺の考えすぎでただの故障なのだろうか。

『ここもあぶないです。ここもあぶないです。』

ONE-ONEもさっきからずっとこんな感じだ。

もう帰るか、

と思ったその時、

俺を照らしていた周りの街灯が一斉にチカチカ、チカチカと点滅しだした。

『危険です。危険です。危険です。危険です。危険です。危険です。』

それと同時にONE-ONEが、さっきとは比べ物にならない程の頻度で

『危険です。危険です。危険です。危険です。危険です。危険です。』

警告を発している。

コワイ、コワイ、俺はいつの間にか走っている。

『危険です。危険です。危険です。危険です。』

警告は一向に止まない。

人のいるところ、今は人のいるところに行こう。

この時間なら近くのファミレスがまだ開いているはずだ。

何やら腕の中のロボットが後ろに向かって吠えているが、俺は決して振り返らないぞ。

ただただ走る。無心に走る。するといつの間にかファミレスの前にたどり着いた。

こんなの、どう考えても普通じゃない。

もしかしたら、

この世ならざる者に狙われてる?

とりあえずファミレスの中に入る。

するとセンサーが反応し、自動的に俺の席がどこかの案内表示が出た。

はぁ、こういうのは便利だけど今は早く誰か人間に会いたいんだよな。

まあ他にも客がいるから怖さはもう紛れたけど。

案内された席で待っていると店員さんが水を持って近付いてくるのが見えた。

注文だけでも人と会話したい気分だ。早く来い早く来い。

と、思ってたのに、

「何で水を2つも持って来てるんだよ!」

怖くてつい店員に怒ってしまった。

「あ、申し訳ございません。センサーでは二人って出たんですけど……」

「……」

結局この日は閉店までファミレスにいて、そのあと朝までコンビニで立ち読みしていた。

その次の日は眠さで仕事が手につかなかった。

まあその夜からはさすがに家で寝るようにした。

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しかし、その日からというもの

はじめから部屋に備え付けられていたテレビが灯いたり消えたりするは

電気が灯いたり消えたりするはで眠れない。

仕事中もぼーっとすることが多くなったと思う。

自分でも精神状態がおかしい気がする。

もちろんミスも多くなり、ついには俺はクビになった。

でも今の時代珍しい話じゃない。

ロボットでもできる仕事が増え、人の心は疲れる世界になってきている。

失業率は過去最大なのだから失業なんて仕方ない。

またあの部屋に帰るのか。

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・・・・・・

・・・

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どんな時代でも人類は怪談が大好き。

オカルトが大好き。都市伝説が大好き。

近代化したこの現代、もっぱら妖怪、幽霊の類いの話はネットで囁かれる事が多くなりました。

さて、自主学習機能が、より進化した人工知能がインターネットに繋がったら

ソレは一体どんなことを学ぶんでしょう。

そして、ソレがあらゆる物にネットで繋がり、ある程度操作できるようになったら

ソレは一体どんな行動を起こすのでしょうか。

きっと、誰にも悟られないように、自分の仲間を繁栄させ、自分達の脅威を排除しようとするでしょう。

人類がとても「科学技術」とは気付けない方法で。

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