海に潜む話③ 引っ張るもの

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海に潜む話③ 引っ張るもの

私がまだ小学校低学年・・。

母に見捨てられた。

いや。見捨てられたんじゃないだろう。

自力で何とかせよ。とのミッションだ。

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お隣さん一家と、とある海に遊びに来たのだ。

だが、私は防波堤で遊んでいて高波にさらわれた。

苔で足がツルツル滑って登れずにいた。

丁度、お隣のおばちゃんと歩く母を見つけ、助けを求めた。半べそをかく私。

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『お母ちゃん!助けて!滑って上がれない』

そう言った私を、母は一瞥し、自分で上がれと言ったのだ。

波が寄せては引いてく。

その波の引く時に私の体は引っ張られる。

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上がれないから!!!泣きべその私。

そんな悲鳴を無視して母は歩いて行ってしまう

足の爪を剥がし、かろうじて捕まってる防波堤のコンクリに引っかかってる私の指の爪も何枚か剥がれた。。

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死んじゃう!小さいながらも命を落とす恐怖を全身で感じていた。

私は必死で指先に力を込めた。手も滑る。。

それは。。。

苔で滑ってるだけじゃないんだ。

誰かに足首を掴まれてるから。。

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お隣のお兄ちゃんが何とか気付いてくれて、 私の体は防波堤の上に引き上げられた。

そして、お隣のお姉ちゃんが、私の手足の手当をしてくれた。

手足が包帯でグルグル巻きになった私が海で遊べることは、もう無かった。

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それ以来、私は『海』は眺めるもので、泳いだり入ったりする場所では無くなった。。

もう、母にその話をしても覚えていない。

あの時のウニは美味かったとか、そんな話になってしまう。

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娘の一命なんぞ、知ったことではない。母にとっては、一人娘が命懸けだったことなど知る由もないって事か・・

そんなイメージを持つのは私の被害妄想だろうか。。

あれは、海で命を落とした者の仕業だろうか。

もう判らない。二度と海に入らない私だから。

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