中編4
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噂の真相

5年前に肝試しに行った時の話です。

自分を含めた6人(自分以外は話しやすいように、A君、B君、C君、D君、Eちゃんとします)。自分とB君以外は見えない人で、自分とB君は無理矢理付き合わされた。

C君の地元じゃ有名な心霊スポットで噂の絶えない廃墟のホテルが舞台だった。

噂ってのは、「フロントにいる女の人から部屋の鍵を受け取って部屋に入ると、行方不明もしくは廃人で発見」とか「楽しそうな子どもの声が聞こえた直後に断末魔の叫び声が聞こえる」とか「屋上に白い女が指を指して笑いながら見てる」とかありきたりな物ばかりだった。

今回は、ある噂を確かめに来たのだ。「3階は304号室が存在する。」という物。皆さんご存知だとは思うが、病院やホテルなどに数字の最後が「4(死)」になる部屋は存在しないはずであるが、ここには3階にのみあると言うのだ。ただ、入った後の事は誰も知らないらしい。憶測で色んな話があってもいいもんだがと初めて聞いた時は思ったね。

2つの軽自動車で向かい、現場に着いた。(「自分、B君、C君」と「A君、D君、Eちゃん」の車2台)着いてホテル見ると3階の一室の窓に人が立ってた。女性で綺麗な黒髪ストレート後ろ姿だった。正面見て顔がぐちゃぐちゃとかなら嫌だから後ろ姿で良かったと思った。確認の為、B君を見ると黙って頷いていたな。視線を戻すともういなかったよ。あれ、仮に304号室ならしゃれにならんかもと不安な気持ちをよそに、残り4人はテンション高く興奮していたな。

実際に入って見ると悪寒が走った。経験上良くないパターンだと思ってそれとなく、みんなに伝えたがB君以外は「え、怖いの?ビビっちゃった笑」みたいな感じ。B君は黙っていたな。1階を捜索しても異変はなかった。(フロントには誰もいなかった)上に行くには外階段で向かった。それしか方法がなかった。2階も異変はなく、問題の3階に着いた。3階に着いて真っ先に304号室の確認をした。外階段には近いんですぐに見たがなかった。

「ガセかよ。ここまできて収穫なしか。」お調子者のD君はそう言ったが、自分は直感でこのまま終わるわけはないと思っていた。外階段からみて奥の部屋も確認したが異変はなく、今回は何もないのかと思って外階段付近まできて驚愕した。

「304号室」

来た時にはなかった部屋が帰るって時にはあった。開けたら確実にヤバいのは理解していた。たぶん、全員分かっていたと思う。ただ、好奇心ってのは恐怖に打ち勝ってしまうこともあるんだな。D君はドアノブに手を伸ばすんだよ。みんな止めたが「大丈夫。大丈夫。」って開けちまったんだよ。探索した他の部屋と同じだったよ。ドア開けて真正面に体全体を移せる大きな鏡(縦長のネクタイする時とかにみるやつ)があった以外なら。気味が悪いのひと言だった。

鏡の真正面に立ってるD君に異常がおきた。ぶつぶつと何か言ってるんだが聞き取れない。ヤバいなと本気で思って帰ろうと考えてた。すると、D君「ウヲォーー」と叫びながら蹴りをくりだし鏡を割った。

鏡の割れる音に紛れて「アァーー」と女の叫び声が廊下からした。見ると俺達が来た奥の方に女が立ってる。最初に見たあの女だ。後ろ姿だったからすぐに分かったよ。叫び声で腰が抜けたEちゃんと完全にいかれてぶつぶつ言ってるD君を連れて部屋を出た。D君はあの女を見た瞬間に黙った。すると、女の体制がこっちを見ようと動き出しているのに気づいた。

すぐに逃げ出したよ。

階段を降りてる時もあの女が追ってきてると思ったら、後ろなんて見れないで一心不乱に走って廃墟のホテルを出た。それぞれの車に乗り込み発進した。エンジンがかからなかったらって心配していた俺は、何気なく助手席のサイドミラー見て凍った。

あの女が廃墟の前で指さして笑っていた。

C君の実家に着いた頃にはD君は眠ってた。Eちゃんの話では黙っていたが、廃墟からある程度離れたら寝たとの事。D君が起きていかれてたらどうしようと気が気でなかった。しかし、恐怖から開放されて安心したのか自分とB君以外は少ししたら寝ていた。

自分はB君と話をした。お互い見えてたり聞えてたりしていた部分はほぼ同じ。唯一、俺が知らずB君が気づいた点があった。D君が鏡を蹴る瞬間、俺はD君を見ていたがB君は鏡を見ていたそうだ。右足で蹴ったD君に対して鏡の中のD君は左足を蹴り出し、鏡が割れるほんの一瞬だけ、鏡の中はD君ではなく笑ってる女がいたそうだ。B君はすぐにあの女って分かったと言っていた。

次の日、D君は普通だった。昨夜の事を聞くと3階に行って304号室がないのを確認してから記憶がないそうだ。廃墟に入ってから約半年後にD君は、事故により両足をなくしました。D君をひいてしまった自動車の運転手は警察に対して、「視界に急に女が現れそれを避けたらD君をひいた」と言ったそうです。D君が言うには、「自分以外に歩行者はいなかった」そうです。

「304号室は実在しないが、あの女に憑かれた人間がいれば部屋は姿を現す。そして、あの鏡を割る人物こそが憑かれた人間で、割った者には相応の報いがある」これが、俺とB君が出した噂の真相です。

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