中編5
  • 表示切替
  • 使い方

イタズラ

あの日、、私はいつものようにPCに向かい、チャットしてた。

ICQで振り落とされるのも日常だったが苦にならないほど楽しかった。

旧友とのネット上での再会が、きっかけだった。

nextpage

夕飯の後、洗濯物を畳むのが夜の最後の家事。

それが終わったら、自由時間だ。

ビバ!フリーダム!

いそいそとPCに向かって、HPの更新をしたりしながらのチャット。

時折、モニターに向かって手を叩いて爆笑する姿を娘が皮肉を込めて『楽しそうだね』と言ってくる。

nextpage

うん。めっちゃ楽しい。

娘も宿題等が終わったら自由にして構わない。

けど、ぐうたら娘は宿題を終わらせるのに深夜まで掛かる。

で、ほぼ私の独占となる。

・・そう。あの日までは。

nextpage

いつものように、夜の家事を済ませた私はカタカタと入力に勤しんでいた。

なんか、ちょっと今日は雰囲気の違う旧友。

「なんかあったん?随分歯切れ悪ぃじんよ?」

nextpage

「あ~な。。俺さぁ・・いや。何でもねぇ」

何でもなくねぇ~べ?なんだよ。勿体つけてんじゃねぇよ。

隠そうとする姿に少し苛立った。

言え。イヤ何でもない。いいから言え。

nextpage

その繰り返しだった。

が、やっと聞き出す事に成功した。

海外出張から戻ってみたら、相性の悪い上司が配置されていた。

しかし、社会人として好き嫌いは、この際無視して仕事しようと思っていた。

nextpage

でも、とうとうキャパを超えてしまったんだと、友は言った。

「・・でさ。俺な、このチャット終わったら、全部、終いにしようと思ってるんだ」

・・ほぅ?自殺すんの?どうやって?

nextpage

チャットしながら、紙に書いた。

(ちょっと実家行ってくる。明日の朝帰る)

それを夫に渡して、レスを入れた。

どうせ死ぬならさ、ちゃんと話してからじゃねぇと、私が心残りになるわ。

nextpage

ちょっくらドライブに出るし。話すんべさ~?

そんな提案をした私に、友は「じゃ、電話待ってる」と返信してきた。

いつも通り、ワン切りで掛け直してもらった。

nextpage

この通話が終わったら、本当にコイツ死んじゃう。

そう感じさせるほどの声だった。

充電が切れないよう、インバーターに繋ぐ。

nextpage

高速の料金所では音を拾わないように、マイクをキツク押さえて、やり過ごした。

片道、3時間半をブッ飛んで駆けつけた。どこかでワープしたかのように2時間弱で到着。

nextpage

よぅ。。そういえばな、コンビニでガン〇ムフェアで、店頭にガン〇ム立ってんの知ってる?

勿論、そんなの口からの出任せだ。

ガン〇ム命な友人を釣る餌だ。

お前の家の傍のコンビニにもあるらしーぞ?

見てから死ねば?

nextpage

大概、私も随分な言い様だが、この際仕方ない

いや。。もう興味ねぇし、行かない。

なんだよ?人が折角、おめぇの為に情報仕入れてやったのによ~

とにかく、コンビニまで行ってこい。

それで、終いにすりゃいいべ?

nextpage

・・・ん。最期だし、コーヒーでも飲みながら見物してから逝くか~

おぅ!そうしろ。車はダメだぞ?薬飲んだんだろ?

・・車出すほどの力、出ねぇもん。ぶらつきながら行くわ。

ん。そうしろ。電話はそのままだかんな?

nextpage

そして通話を切らせないまま、雑談をしてた。

どうやら、コンビニ付近まで来たようだ。

私は、旧友の姿を見つけるなり言った。

ふふん。騙されたなwww

nextpage

え?つか、モビルスーツねぇぞ?

あぁ。そんなイベやってねぇもんよ。

は??意味わかんn・・・ええっ!!!

どうやら、車にもたれかかってニヤニヤしてる私を見つけたようだ。

nextpage

目が合ったのを確認して、電話を切った。

どう?驚いた?

・・・・・。

無言で友は私の隣にきて、蹲ってしまった。

畳みかけるように言う。

nextpage

驚きすぎて声も出ねぇ?死ぬ気失せたべ?

・・・・・・うん。

差し出す煙草に手を伸ばした友の手はガタガタに震えていた。

余程驚いたのだろうか・・・・。

nextpage

なぁ?私を置いて逝くなよ。

もうさぁ。親友亡くすの嫌なんだわ私。

・・・・・・ん。

おめぇ、息子幾つよ?まだまだだろ?

自分が親父さんにして欲しかったこと、やってから逝けよ?

nextpage

友は・・泣いていた。

・・・俺にもまだ、サプライズしてくれる仲間居たんだな。

そう言ってボロボロと泣いてた。

何度でも来るぞ?おめぇが崩れそうになる時には、今日みたいに来る。

あの手この手で、騙して、死なせねぇ。

nextpage

言葉をなくして、ただ頷くだけになった友の全身に黒い紗が纏わりついている。

(やっぱ、マジで死ぬ気だったんだな)

そう感じて、頭をガシガシ撫でた。

バーカ。昔のおめぇはどこ行ったんだよ。

ハグしながら全身の黒いものを追い払う。

nextpage

どれ位、時間がかかっただろう。。

朝焼けが目に染みる頃に友は持ち直した。

・・俺、もう大丈夫だわ。

辛い時は、来てくれるんだもんな。。

あぁ。来るよ。つか、毎月来てるんだから、その都度会うべさ?

nextpage

そうだな。そうだったよな。

今日は、仕事休んでドライブでも行くか?

提案してみたが、大丈夫だからと言う。

今日だけは、どんなに無理をしてでも会社へ行って自分を確かめたい。と言った。

nextpage

なら私はこれで帰るから、また夜にチャットな?

そう約束をして帰宅した。

約束は無事に果たされた。

今や私の方が泣き言ばかりだ。

そんな私に、死ぬなよ?まだ生きてなきゃ許さねぇ。そう言ってくれる。

nextpage

いい加減、見送ることが多くなってきた年頃だけど、諦めたら地獄の底まで追ってきそうな仲間がいてくれるから、私は頑張る。

無理しないように、無茶しないように。

体中がバラけそうな程だるくても、点滴ばかりの毎日でも生きる。

nextpage

ガン〇ムなんて、もう興味ないといった友は、私がアキバで買ってきた限定品のプラモを大事に抱えて嬉しそうに帰っていった。

PS4で、新しいガン〇ムのゲームに明け暮れている。

ちょっとバカバカしい。。

nextpage

いつか、本気で折れそうになったら、サプライズしてくる友がいる。

窓を割ってでも駆けつけてくるような友がいる。

ちょっと姿を見かけなくなっただけで心配してくれる友がいる。

そう。この怖話にもたくさんの友がいる。それは、今の私にとって特効薬だ。

*****

Normal
閲覧数コメント怖い
2,44130
35
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意

バンビさん(*^^*)
いつもありがとう~
・・・なになに?海に魅入られてきてしまったの?Σ(|||▽||| )
それ、コワイからっ!!
そろそろ寒くなってきたのに、居心地良くなってきちゃうって・・。
あ!波の音のα波かも!・・・なんてね。
辛い時は、ひとカラ行って大声で歌ってきなされ(^^

表示
ネタバレ注意

沙羅さん、しばらくですね(*^^*)
お変わりありませんか?
お話、とても素敵で感動的、沙羅さんの勇敢ぶり、友に対する愛情、そして今の沙羅さんに駆け寄って来てくれる友の友情、これが本当の【友】なんだと感じた話でした!
私も沙羅さんのような立派な人間になりたいと心から思います!
感動話に怖いを押させていただきます(*^^*)

あ、ちなみに私も駄作になりましたが一話作ったので、また良かったら暇潰しに覗いてみてください(^^)

表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意
表示
ネタバレ注意