短編2
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部屋

私の友人にAというやつがいた。

Aはスポーツ万能のさわやか青年といった感じであったが、

ある時から様子がおかしくなった。

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あんなにもさわやかで、

女の子からの人気もあったのに、ぼさぼさの髪の毛、

伸びきった爪、何よりも息が臭い・・・

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不思議に思った私はAに尋ねた、

「お前、いつからそんなに汚らしくなったんだ?前まで潔癖症かと思うくらいきれい好きだったのに。」

Aは驚きながらこういった、

「俺は前と何も変わっていないけどな、そんなに変わったか?」

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どうやら彼自身に自覚はないようだが、明らかにおかしいのはだれがどう見ても明白だ。

原因を探るべく、私はAの家までついていくことにした。

Aは私を家に上げると得意そうにいった。

「じゃーん、紹介します!俺の彼女です」

・・・

・・・・・

・・・・・・・

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彼女?そんなものどこにもいない・・・

Aはおかしくなってしまったのか・・・

と彼はおかしなことを話し始めた。

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「実は、この部屋に最近越してきたのは知ってるだろ?この部屋いわゆる格安物件でさ

前の住人ここで死んでんだよね、

で、その住人っていうのがこの女よ!まぁいまや俺の彼女なんだが(笑)」

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・・・・いかれてる。というか冗談なのか本気なのか・・・

いずれにせよ、その妄想(?)にAが憑りつかれ、

生きる力を奪い取られているのは間違いのないことだった。

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それからはたまにではあるがAの家に様子を見に行った。

ある時、Aの家で飲んでいた時、Aが買い出しに途中で家を離れ私一人になった。

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すると、妙に冷たい空気が流れ込んできて、

耳元で、

「早く帰ってよ・・・」

とボソッと何者かにつぶやかれた・・・。

と、同時に背中にビシッと痛みが走った。

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それ以来、私はAの家にはいくことが出来ないでいた。

Aいわく「女の焼きもち」だそうだが、私はそうは思わなかった。

なぜなら背中にあざが出来ていて・・・

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そのあざの模様が手形に見えて仕方なかったから・・・。霊の本気を感じた。

・・

・・・その後、Aは何やら栄養失調で倒れた。

驚くべきことに、Aは数か月間の記憶を失ってしまっていた。

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私は幽霊の女と同棲してたぞ、と言うと。

Aは何かを思い出し、妙に納得したかのようにこう話した、

「あの部屋借りたとき、

初日の夜にすっげー美人な女が部屋に入り込んでくる夢を見たんだ。

気づいたら、今ってわけだけど、なんか俺すげー幸せな気分だったんだよ。」

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「また、あいてぇなぁ・・・」

私は冗談でもそういうことを言うなと叱咤した。

しかし私は周囲の聞き込みをして知っている。

あの部屋で亡くなったのは、美人な女ではなく、

その地元では少し有名なゴミ屋敷ばぁさんの住居であったことを。

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彼がゴミ屋敷のゴミコレクションの一つにならなくて良かったと心から安堵した。

部屋-完-

Concrete
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