中編3
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島根県のビジネスホテル

wallpaper:949

これは私が家族で島根県に旅行した時に体験した話である.

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高校生の時に母,父,兄,私の4人で島根県に旅行に行った.

現在は大学院生なので6年も経っているのだけれども,あの時の出来事を今でも忘れることができない.

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私には霊感などないし,オカルトを語る人を馬鹿にしていた.

けれどもこの体験があって以降,オカルトを完全にバカにはできないぐらい衝撃的な出来事であった.

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お昼に出雲大社や石見銀山などを観光し,宿泊予定のビジネスホテルに到着.

島根県のビジネスホテルは料金がとても安いので,私の家族はよく利用していた.

私と兄はそれぞれシングルの部屋,母と父はダブルの部屋に宿泊した.

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ビジネスホテルに到着した後,少し休憩していると,右壁から

shake 

sound:14

ドン!

shake

sound:14

ドン!

sound:14

shake

sound:14

shake 

ドン!ドン!

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私の右隣の部屋は兄の部屋だ.

うるさいなと思いながらもシャワーをかかりにお風呂へ向かった.

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しばらくして家族みんなで晩御飯を食べに外にでた.

壁ドンを思いだし,兄にがうるさいと文句をいうと,そんなことした覚えがないという.

そもそもその時間は部屋にいなかったようだ.

そんなばかなと思いつつも,島根県の郷土料理に舌鼓しているうちに忘れてしまった.

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晩御飯も食べ終わり自分の部屋に戻った.

疲れていたこともあり,布団に入るとすぐに眠ってしまった.

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夜中3時ごろにふと目が覚める.

またしても私の部屋の右壁から

shake 

ドン!

shake

ドン!

shake

shake

ドン!ドン!

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また兄が暴れているのか,文句を言ってやろうと兄の部屋に向かった.

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wallpaper:629

兄の部屋の前に着き,ドアをノックしようとすると,

sound:26

shake

ドアがバンと開き兄が飛び出してくる.

そして私の顔をしばらく見つめた後,何を思ったのかフラフラと歩き出した.

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wallpaper:633

廊下には私と兄二人っきりだ.

兄はある部屋のドア前に到着すると足を止め,ジーと扉を見つめ始めた.

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しばらく時間が経っただろう.

兄はまるでドアの中心に穴があり,それを通り抜けようとする動きをする.

イメージはドラえもんのひみつ道具にあった「通りぬけフープ」.

そんな兄の奇行に私はびっくりしてしまい,しばらく動けずにいた.

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ほんの数秒の出来事だっただろう,急にパンという音がした.

音の正体は兄の数珠の玉が割れた音だった.

兄は比叡山延暦寺でご祈祷していただいた数珠を身につけている.

その音がした後,兄はしばらく静止し,キョトンとした顔で私の顔を見つめてきた.

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私は兄を連れて自分の部屋に戻り,今の出来事をありのまま語った.

ここから先は兄の視点で語る.

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兄は夜中3時頃に目が覚めたようである.

ふと窓の外をみると,男と女が窓から部屋の中を覗いていたそうだ.

部屋は13階,当然窓の外にはベランダなどなく,一瞬にしてこの2人は幽霊だと理解したらしい.

その瞬間恐怖で体が硬直したそうだ.

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しばらくして2人は消えてしまった.

ほっとした束の間,左の壁をみるとさっきの2人が部屋の中で立っていた.

2人とも兄をじーと見つめている.

ヒタ....ヒタ.......ヒタ

近づいてきた.

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兄は部屋を飛び出した.

扉前には私がいた.兄は私を見てほっとしたそうだ.

ほっとしたのも束の間,ふとある部屋の扉の目にブラックホールみたいな穴が空いていることに気づいたらしい.

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その穴がどうしても気になる,穴に入りたいという気になったようだ.

穴に入ろうとする.けれども入れない.

当然だ,だって穴なんてないんだから.

しばらくしてパンという音がし,気がつくとその穴はなくなっていた.

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その後は兄と朝までテレビを見ていた.

兄が見た穴はなんだったのだろうか.

ちなみに今でもそのビジネスホテルはつぶれていない.

Concrete
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ふたばさん↓
コメントありがとうございます.

幽霊になって後もリア充アピール(笑),なるほどそういう解釈もありますね.
生前もカップルなのか,死後に運命的な出会いをしてカップルになったのか.

他人にラブラブしているところを見せつけたかったのかもしれませんね.

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