短編2
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兎目

二年前、東京の会社をやめて田舎に帰りました。

私はタクシードライバーになり仕事もだいぶ慣れてきた時に遭遇した話です。

夜中、一人の女性を乗せました。

お客さん!どこまで?って聞くと普通にこう答えます。

あの山の峠をのぼっていってくれる!

私は了承しました。

しかし地元では有名な峠で走り屋ぐらいしかこんな時間には行かないので、なんの用だろう?と思いながら走り始めました。

お仕事の帰りですか?と女性に聞くと、えぇ…まぁ、と会話は一言二言くらいで途切れてしまい、とりあえず無事に届けて今日は上がろうと思っていたら、思いもしない場所で止めて下さいと言われて唖然としました。

お客さん!!本当にここでいいんですか?私は少し焦りました。

峠の途中で、どうみても民家なんて全くない暗闇…。

不安と疑問を抱きながらも女性を降ろす。

そして目を細めて女性の歩く方をみるとなんと小屋がありました。

しかし…自殺でもするんじゃないかとどんどん不安になり、小屋を尋ねることにしました。

ドン!ドン!すいません。

先ほどのタクシー運転手ですけど………返事がない。

私は鍵穴からのぞくと中は真っ赤で他はみえない。

気味が悪いと思って急いで峠を下り気分を落ち着かせるために居酒屋に行きそこの亭主に事情を説明すると、亭主は、あぁーね、はいはい。

あの女性ね!

目が兎のように赤かっただろう。

(完)

怖い話投稿:ホラーテラー ラサさん  

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