長編8
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死んだ部屋(後編)

答えから言おう、この部屋じゃないらしい。

なんならば、警察を呼ばれかけ俺達はアタフタとそのマンションを抜け出した。

「こんばんわ」

「はい、こんばわ、なんの御用ですか?」

30代の女性が顔を少しだけのぞかせた。

「都市伝説を調べていまし…」

ガンッ!!

この時点でドアを閉められそうになる。

すかさずNちゃんがつま先を挟み込み一時的に解除をする。

「なんなんですか!!」

あたりまえにそこの住人は怒り散らかす。

コンビニの店員でもこの噂を知っていたのだ、その噂の真っ只中にいるここの住人ならばなおさらだろう。

「もう何人も何人も知らない人がきてて、迷惑なんですよ!警察呼びますよ!」

この一言にさすがにこちらも引き下がった。。

「どうするー?」

Nちゃんは意気消沈気味にこちらを見る。

Cさんは、と言うとマンションの方を眺めながら、何かが腑に落ちないらしく片眉を上げている。

「どうしようかね、、とりあえず今日はもうかえろっか??」

「ここまで来たのに!?」

Nちゃんはやっぱりここで引き下がるような子ではない、彼女はれっきとした好奇心旺盛な怖がりなのだから。

「さっきのエレベーター何階まであった??」

Cさんがボソッと呟く。

「6階じゃなかったですか??」

Nが答える、そうだ違和感がそこにはあった、そのマンションを見ると、7階建てなのだ。

エントランスの1階、2階からは各部屋、屋上は無いように見える、かといってエレベーターの回数表示は6までしかなかった、R階はないのだ。

「おかしいですね」俺も気がついた

「ええ、違和感の正体はわかったわ、でも· · ·」

Cさんと俺の話をポカンと聞いていたNは何だかイライラしながら話に割り込んで来る

「なにがよ!?」

2人はNをの方を一瞬見てから

「もう1回戻りましょうか。」とマンションへとまた向い始めた。

もちろんNはぶつくさ言いながら付いてきたのは、言うまでもない。

さて、場面はまたマンションに戻り俺達はエレベーターの標識を見ていた。

やはり最上階は6階になっている、とりあえず6階まで上がってみたものの、屋上への階段もないので、やはりここが最上階という事になる。

どう考えても建物の構成上、7つのフロアがあるはずだ、Cさんと目を合わせ2人で指さす。

俺達は1階ずつ階段で降りていくことにした。

6階~5階

12段ある階段を1つおりて踊り場からのまた12段で辿り着く。

つづいて5階~4階

12段ある階段を1つおりて踊り場からのまた12段で辿り着く。

同じように下まで降り続け俺達は、はぁはぁと息を切らしていた。

「ちょっと、上から下まで歩いてきたのに全部一緒ってどういう事よ!明日筋肉痛なったらA君にマッサージさせるからね!!」

「卑猥なやつですか?はぁはぁ」息を切らしながらデレデレとした、顔を見せて場を和ましてみたが、返ってきたのは、「殺すぞ」と言わんばかりのNの視線だった。

「どうゆうことだろ· · ·なんでマンションの外から見ると7階だての建物なのに6階までしかないの??」

Cさんは俺達のことなんか目に入っていないらしい。

「やっぱりどっかに非常口が?」

「いや、屋上に向かって非常口つくる?」

「ねー、、、」

「んじゃ、管理人室があるとか?」

「それも違うわね、エントランスの横、1階にそれっぽいものがあったし、やっぱり6階にはそれより上に上がる階段や扉は無かったもの、、」

「ねーってば!!」

俺とCさんの会話に基本的に置いてかれているNが無理やり会話に入ってきて2人とも黙ってNを見る。

「ロフト!!あの、一部屋なのに二階建てみたいな、アレなんじゃないの6階は?」

「あーー!!」

二人して盲点だった。

言われてみれば簡単なことだ全ての部屋の作りが一緒とも限らないわけだし。

あはははは、と苦笑いの2人をなによっ!とやっぱりふて気味に見ているNがいた。

改めて場面はかわり、俺達は609号室の前に立っていた。

さて、どうやってこの部屋の中を調べる?

ここの女性に話を聞くのはもう無理であろう。すると忍び込むのか?

不法侵入は何度もしたがそれは廃墟とかだ。

3人で困っていても拉致があかない。

時間も気がつけばもう深夜3時頃を過ぎていた、さすがに行き詰まった。

Nなんか壁にもたれかかって寝ている。

こんな時兄貴ならどうするかな??

久しぶりにそんな事を考えているとCさんが口を開いた。

「さすがに行き詰まったね、そろそろ出直す?」

言い終わるか終わらないくらいでNは携帯が鳴ったのかなんかゴニョゴニョ喋っていた。

「そうしますか…Nちゃんどうす· · ·!?」

Nの方を見て俺はびっくりした、片方の唇のはしだけを上げてニヤッとしながら緊急災害時用ボタンを押したのだ!!

「ちょっ!!S!!!まて!!!」

俺は気がついた、あれはSだ、Nの守護人格、もう1人の彼女。

遅かった、けたたましく深夜の静かなマンションに鳴り響く避難を促す警戒音!!!

「ジリリリリリリ!!!!!」

「火事だーー!火事だぞーー!!みんな避難してくれーーー!!」

Sはニヤニヤしながらさけんでいた、

うわぁっ!!と慌てて非常階段へと走ろうとする俺の手を引きSは掃除用具入れ的なところへ俺を押し込む。

「ちょっ!Cさんは!?」

「知らない、あの女なら何とかするでしょ?」

ニヤニヤしてるSとのすごい密着度で俺はそのまま硬直してしまう。

「おい、変なとこ触るなよ?」

「いや、触ってない!!」

(おい、人の女触んなよ。)

久しぶりに兄貴に話しかけられた気がした。

「うるさい!」

「あんたがうるさい!バカ扉を押すなって言ってんの!こんなのすぐ開くからね!!」

廊下はけたたましく騒いでいた、

「何だ!?火事か??」

「わからないわ、でも避難しましょう!!」

ひとしきりわーわーとマンションの住人が避難した頃俺達は廊下へと出た。

Cさんは!?と廊下を見ると609号室の扉の向こうからムスッと顔を出してる。

「さー時間ないしサクッと部屋を見させてもらおうか♪」

Sは何もなかったかのように部屋に上がり込む、

もう知らないと、ばかりにCさんはズカズカとSの後に続き部屋へと入る。

続いて入ろうとした俺は、入ってすぐ止まってしまったCさんにぶつかりそうになりアタフタする。

「どうしたんですか?」

「ここ、入っちゃダメなとこかも。。」

「え?」

「もう遅いかも、、」

「ちょっと!!これみて!!」

Nが大声を上げる、指を指していたのは窓の外だった。

そこには、焼け野原が広がっていた。

そう、そんな訳はないのだ、ここはそんな都心とは言わないにしろ住宅街、どう考えてもマンションが立ち並ぶこの場所から見えるのは焼け野原のわけが無いのだ。

「ん?これやばめなやつじゃん?」

俺は2人の手を掴むと外へ出ようとした、入ってきた入口の向こうは部屋だった。

そう、窓の外は焼け野原。

「うん、なんかいけないとこ迷い込んだやつだよねこれ、ははは、、、」力が抜けてしまった。

Sは二階からなら出れるかもとロフトの階段を駆け上がる。

そして2階から声を掛けてくる、

「俺~これ、ダメなやつだ(笑)」

2階は窓のないただの寝室なのだ。

Cさんはやっと自分を取り戻し始めたのか窓をあけに行った、ガラガラガラ。

焼けたような煙たい匂いと、叫び声に悲鳴、鳴き声、そして鳴り響くサイレン。

でもそれはさっき聞いたいわゆる「ジリリリリリリ」ではなく「ウウーーー」と鳴り響く方の戦争のようなものを連想させるものだった。

3人とも焼け野原を眺めていた。

遠くから飛行機がとんできてそして何かを落としていき、火が全てを飲み込み俺達はそのまま火に飲まれそうになった時、とっさに女の子2人の手を引き俺は部屋へと飛び込み窓を閉めた。

「こら!!!!アンタらさっきの!!人の家でなにしてんのよ!!!」

「あ、ちょっ!!!ごめんなさい!!」

慌てて走り出し部屋から今度こそ逃げ出した俺達は

「誰かーー!誰かー泥棒よーー!!」

と叫ぶ女性を振り返ることもせずに必死に夜の街を走り続けた。

「あははははは、、、うぇっ、、、」

とひとしきり走り続けた俺達は見なれた街に戻り息を切らし、汗をかき、そして笑っていた。

安堵の笑いなのか、何やねんっさっきの!?というわけのわからない笑いなのか、もう3人にはあまり関係なかった。

Sはいつの間にかまたNにもどりCさんは子供のようにケタケタと笑い、

その夜2人は俺の家に泊まっていった。

ぐっすり眠る2人を眺めながら、兄貴と久しぶりに話をしていた。

「なぁ兄貴、大変だなモテるってのは。」

(笑わせるな、そして勘違いするなぼけ。)

「さっきの何だったんだろう?」

(明日街の図書館にでも行って戦争について調べてみるといんじゃないか?)

「やっぱり?あれ戦争の雰囲気だったよね??」

(そうだな、ありゃ戦争だな、あの部屋の記憶なのかそれともあの部屋で焼かれた誰かの記憶なのかはわかんねぇけど。)

「だよね、明日調べてみるよ。なぁ兄貴、CさんとSどっちのが好きだったの?」

(もう寝ろ。今夜は久々にドキドキして疲れただろ)

「はぐらかすな!!」

声が少し大きくなり女の子達はむにゃむにゃと言って起きてしまいそうになったので黙った。

兄貴はそのままもう返事を返してくれなくなってしまった。

次の日、いい匂いに惹かれ起きると、二人ともいなかった、小さなテーブルに色とりどりにならべられた美味しそうな朝食と、ぐちゃぐちゃの目玉焼きがぶっきらぼうに1つ別においてあった。

その後、Nを呼び出し、街の図書館にきた。

やはり、昨日のあのマンションがあった場所は、

昔空襲をうけた場所だった。

「誰の、記憶だったんだろう?それとも場所の記憶?」

夕焼けの綺麗な街を背景に、Nと図書館の帰り道に、話していた。

「まぁ、俺達には検討もつかんわなぁ。」

ちょっと調べきれなくてむず痒い。

(今朝の礼くらい言えよな!)

うるさい。わかってる。

「俺、今から仕事だから今日はこれで!!」

「あ、そっか、夜も仕事してるんだもんね!わかったよ!むりしないで♪」

「おうっ!じゃ、ここで!!」

(腰抜け。)

うるさいうるさい!!

「うん♥またねAくん♥」

「目玉焼き美味かった!また作ってな!!」

夕日は逆光で、Nの顔を赤らめているのか俺には、わからなかったがニコニコしながら手を振ってくれた。

いつの時代も、人生とは無慈悲なものだ。

その昔、あの部屋に起きたことは、誰も知ろうとしない、知らせようとしているのだろうけど、どうしてあげることもできない。

そんなふうにもどかしい体験をした「死んだ部屋」の話だった。

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セレーノさん
そう言っていただけてまた読んでいただけるだけで光栄です♥
ほんとに僕は書く時書かない時の波が激しすぎるので申し訳ないです|ωΟ。)(笑)

これからもゆっくりではありますが何個か話があるのでまた読んでってくださいね♥
ありがとうございます!!
Sはあのぶっ飛び感が僕はやっぱりずっと好きです(笑)

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