友人の、ブロック人形の話

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友人の、ブロック人形の話

私の友人が体験した、少し変わった話です。

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私の友人は両親の仕事の都合で数年に一度の頻度で、引越しを繰り返す家庭でした。

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私と友人、Kが知り合ったのは彼女の両親が離婚して、当時私が住んでいた地域の高校に通うことになった頃です。

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当時から私はオカルト話や怪談が好きで、周りにもその事を公言していたので、その手の話を聞かせてくれる友人は多くいました。

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そんな中でKとも知り合ったのです。

彼女は最初、他の友人達と混ざって私の聞いた怪談や、誰かが持ってきた怪談を聞いては、普通に怖がって、盛り上がるだけでした。

しかし、ある日、

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「もっちゃん、ちょっと聞かせたい話があるんやけど」

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と、言って話してくれたのは、彼女の家にあるブロックで組み立てられた、ロボット人形の話でした。

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彼女曰く、その人形というのが少し前、彼女や私がまだ小さかった頃に流行ったアニメのロボットらしいのですが、男の子向けのアニメであり、そもそも彼女にはロボット人形を買ってもらった記憶がないらしいのです。

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そしてロボット人形のブロックは、毎年家の掃除をしていると、ふとした所から出てくるのだそうです。

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本棚の裏や玄関の隅、廊下の端や台所のゴミ箱の後ろからなど、毎年毎年、ブロックが一つづつ掃除をする度に出てくるらしいのです。

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掃除をする時期も場所もバラバラで、ただし決まってその年に一個だけロボットのパーツが出てくると。

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しかも彼女は数年に一度引っ越しており、私と知り合うまでに7回引っ越し話しているにもら関わらず、どの家からも、その人形のブロックが一つ見つかる、との事でした。

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「人形の部品が出てくるだけで、他に変な幽霊見たとかもないんやけど…」

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人形のブロックが見つかり始めたのは、いつ頃からなの?と聞くと、彼女が物心ついて初めて引っ越しをした直後から、その現象は起き続けているそうです。

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人形は全体的にまだまだ未完成で、左足と左腕、背中、腰などのパーツが足りていないとの事でした。

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今年ももうブロックは見つかったの?と尋ねると、私に話をする少し前に掃除をしていて、やはりブロックを一つ見つけたらしいのですが、

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「ただなぁ、なんかそのブロック…ちょっと怖くて誰かに話しときたいと思ったの」

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どういう事なのか尋ねると、見つかったブロックは背中のものらしいのですが、そこに変な汚れがついていたらしいのです。

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「多分あれ、名前の一部やわ。子供みたいな字やったけど、多分漢字の【良】やと思う」

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誰か親戚の子供の悪戯かとも考えたそうですが、それにしては手が混みすぎてるし、何より最近見つけたブロックに書かれていた名前の一部を見つけて、心底気味が悪いと思ったそうです。

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結局その日だけでは何も分からず、そのロボット人形もKが自分で人形供養をしている神社にまで引き渡しに行ったので、その後どうなったのかは分かりません。

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人形を引き渡した後、Kが教えてくれたのは、何か悪いものが憑いているわけではないとの事。

ただし人形のブロックをまた見つけた場合は、決して捨てずに、神社にまで届けて欲しい、と神主様から言われたそうです。

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「そう言えば、何で私あんな物ずっと捨てずに置いといたんやろ?自分でも不思議やわ」

と、苦笑していたKの言葉が、何となく今でも忘れられません。

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