中編3
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自殺の名所

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児童期、引っ越しすることが多かった私の、少し後味の悪い体験談をお話しさせて頂こうかと思います。

※こちらの作品に登場する氏名は全て仮名となります。ご気分を害された方がいらっしゃいました、この場をお借りして深く謝罪申し上げます。

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私が小学3年生のころ、家庭の事情で引っ越しをすることになりました。今までは小さなアパートに暮らしていた私でしたが、今回は20階建てのマンションの13階へ引っ越しすることが決まりました。

元々、人見知りなど無かった私は転入先の小学校でもすぐに友人を作ることができ、私が引っ越した先のマンションに住んでいる友人が多い事もあって、いつもマンション下にある公園で遊んでいました。

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そんなある日、私が越して来て1ヵ月が経とうかという頃、一人の友人の提案でマンション全体を使った鬼ごっこをすることになったのです。私は、マンションの構造をまだ把握していない状況でしたので、探検気分で、その提案に賛成し、〔友人8名+私〕での大規模鬼ごっこを開催しました。

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「どこに逃げようかな。」

考えた末に私は、ひとまず最上階へ行こうと決めました。

20階までエレベータで上り、下を見下ろします。

「…わあ、高い。」

ふと横に視線をやると、上り階段がありました。

「へえ、20階より上があるんや。」

特に疑問を感じたわけでも無く、私はその階段で21階へ。

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他の階と同じ廊下、部屋の扉、表札。

「森田さん、武井さん、田口さん、三浦さん______」

その表札に書かれた名前を見ながら、廊下を歩いていると、友人が私を呼ぶ声が聞こえます。階段を使って20階へ降り、そこからエレベーターで友人たちの待つ場所へ。

「どこおったん!?」

友人たちは何故か半泣きで、私は小首を傾げました。

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友人の話を聞くに、鬼ごっこを開始してから既に5時間近く経っていたようです。

周りは冬場ということもあり、真っ暗で…

「ごめん、最上階で待ってたんやけど…此処って21階もあるんやね!凄いな!」

半泣きの友人たちの気持ちを少しでも違う方へ晴らそうと、私はそう言いました。

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「ここは、20階までしかないよ…?」

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私は驚きました。確かに見たのです。

21階を。

表札にも書かれていました。

2101号、2102号と。

友人と確認しに行きましたが、私が上った階段の先は避雷針などを設置している場所で、進入禁止の柵がありました。

__夢でも見ていたのか…。

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その晩、

遊んでいた友人のひとりが、私の体験談を母親に話したらしいのですが…

実は、私が住んでいたマンションはその一帯でも一番高い建造物であるが故に、外部からも訪れる人が多い【飛び降り自殺の名所】だったそうです。そのうちの一人は、友人の母親の知り合いだったらしく、名前は≪田口≫だったそうで。

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私が行った21階は、このマンションで亡くなった自殺者たちが住む、異世界の空間だったのでしょうか。あれきり、行くことが出来なくなってしまった私には、知る術もありません。

Concrete
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怖い話なのは分かっているのですが、作品自体の雰囲気のせいなのか自殺した人たちが一緒に新たな人生を送っていると思うとほっこりします。みんなで一緒に、ふざけて肝試しをする輩を脅かして懲らしめる仕事をしているような気がして、和気藹々とした絵が浮かんで来てしまうんです。

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>ろっこめ様
コメントありがとうございます。
いつも丁寧なコメントを頂けて、とても嬉しく思います。

私自身、実害があった体験もあるのです。
それはまた後日、記載出来れば…と思います。

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>むぅ様
コメントありがとうございます。
本当に、あのまま帰ってこれなければ、私もその空間の一員となっていたかも…しれませんね。

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>あんみつ姫様
コメントありがとうございます。
読者様からの賞賛のコメントが私の執筆の糧になっております。
まだまだ拙い文章力ではございますが、あんみつ姫様の記憶の一部に私の話が刻まれればと思います。

一層冷え込むこの季節に、更なる寒気を与えられますように…

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