中編4
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狐様

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これは私の子供の時の体験です。

あれは私が引っ越して間もない頃だった。

当時五年生の私は友達がなかなかできず困っていた。そんな私の落ち着く場所は最近見つけた赤い鳥居が少し寂れた神社。

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いつものように一人で手遊びをしていると一人の顔が整った少年がどこからか現れた。私と同い年ぐらいだろうか。その少年は私が動揺していると

「驚かせちゃったかな?ごめんね…最近ここで一人で遊んでるから僕も一緒に遊びたいなっていいかな?」

少年が恥じらいながら言うその姿が何故か私には可愛いと感じた。もちろん1人では寂しかったので友達を作るのが苦手な私からしては嬉しかった。いいよ。と言うと少年は笑顔になった。

それから日が暮れるまで2人であやとりをしたり沢山話したりした。今の学校の事や前の学校の事少年と話していると落ち着くことが出来た。いつまでも一緒にいたいとも思った。だが私にも門限がありそれは無理だ。また明日遊ぼうね。と約束すると少年は神社の林の中へ走っていった。

帰るとふと少年の事で違和感を感じた。少年の服装は着物だったことや髪が金色だった事。まぁそこまで大したことではないなと思い次の日も神社に向かった。

少年は私が行くと笑顔で手を振った。

それからも毎日神社に私は通い続け少年と沢山の遊びをした。

たまに少年は

「君がずっとここにいればいいのに」

と悲しそうな顔で言っていた。

その度に私は

「ここにいることはずっとは無理だけどずっと一緒にいれたらいいね」

と言うと少年はまた笑顔になった。

それがこんなに私を困らせることになるとはその時の私は知りもしなかった。

しばらくして親が転勤になり引っ越すことになった。

少年に言わなければいけないと思っていたが手伝いでなかなか行けず会いに行くことができなかった。

転勤先でも少年の事を思い出して悲しくなったりする事もあったが徐々に無くなっていき友達がたくさん出来た。

ある日夢の中で少年が語りかけてきた。

「ずっと一緒にいたいと言ったのに何故にげるのだ。」少年は泣いていた。

私は必死に会いに行けなかった理由を伝えた。

だが少年は耳を傾けず

「許さない。ずっとともに」

と言い残し夢から覚めた。

私は汗びっしょりになっていてそして何故か泣いてしまった。無性に悲しくなったのだ。

あの場所へ行かなければ行けない。少年に伝えなければ。

朝になると親には友達に会うといい電車で神社へ向かった。少年への謝りたい一心で。

神社に行くとそこは家が立っていた。どういう事だ?引っ越してここにきたのはそこまで立ってないはずなのにそんなに早く家は立つのか?それとも今までの事が夢なのか?私は訳が分からずインターホンをおした。

中からは優しそうなおばあさんが出てきて中に入れてくれた。

私が「ここにあった神社の事は知りませんか?帰ってきたら家になっていたんです。」としばらくして話すとおばあさんは血相を変えて

「狐に会わなかったかい?いや、男の子と会わなかったかい?」と聞いてきた。

あの少年のことなのだろうか。

私は少年の事を話した。着物を着た金色の目と髪をした少年に会ったとそして沢山遊んだことお別れの挨拶に行けなかったこと。夢のこと。

おばあさんは少し困ったような顔をして話してくれた。

「あのね。怖がらないで聞いてちょうだい。

あなたが会ったのはここの土地で昔祀られていた狐の神様なの。

昔はねそう私のおばあちゃんが子供の頃はたくさんの子供が神社で遊んでいて神様も子供の姿になって遊んでいたのよ。

誰が神様かは誰も知らないんだけどね。でもしばらくして周りには家が立ち始めた。子供たちも大人になり神社には誰も行かなくなった。

そしてここも家になるために神社は取り壊された。神様寂しかったんだろうねぇ。

あなたみたいな年の子達がたまにここの地にくると神様が遊びたがるのよ。だけどまたどこかに行くんじゃないかって置いてかれるんじゃないかってその子をずっと神社の世界にいさせようとするの。

でもね力が昔に比べてだんだん弱くなってるから魅入った子を少しずつ弱まらせて引き込もうとするの。

それはもう私じゃあ止められない。貴方長生きできないわよ。」

そう言っておばあさんはそろそろ暗くなるから帰りなさいと言った。

私はどういうことかあまり分からず家に帰った。何事も今まで起きてないが私は毎日一つの夢を見る。夢の中であの少年は今日も言うのだ。「もうすぐだよ。もうすぐでずっと一緒にいれるからね。」あの変わらない可愛らしい笑顔で。

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