中編3
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これは、僕がまだ小さい頃の話です。

子供の頃というのは感受性が強いのか、霊的なものを見たりするのが多いようで、そういう話をよく聞きます。

実際、僕も頻繁に見ていたそうです。

しかしこれから話すのは幽霊を見たわけではなく

僕が連れていかれそうになった、そんな話です。

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小学校から帰ったその日は

母と年の離れた兄が本気で怒鳴りあっていました。

いつも通り些細なきっかけながら、今日は何故か

どちらも譲らない。

まだ小さい僕にはその2人を止める術は思い付きません。

そのうち兄がカッとなって母をぶちました。

驚いて僕が制止しようとすると怒りが頂点にきた母は

「こんな家、出ていきます」

そう言って玄関へ向かいました。

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小さいながらに母が離れて言ってしまうとわかった僕は

「やめて!出ていかないでおかあさん!」

そう言って必死に引き留めていました。

しかしやがて母は僕を引き離し

「もうお母さんじゃない」

その一言を残して出ていってしまいました。

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その後、兄もどこか外へと出てしまい、家には

僕一人きりとなってしまいました。

しばらく泣いた後、僕の記憶はとんでいますが

気づいた時には母が「ごめんね」と言いながら

僕を抱いていました。

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ここからは両親と兄が話してくれたものです。

何も知らない父が、家に帰ってくると全ての電気が消えており

不思議に思いつつも

「ただいまー。◯◯(僕)ー?」

そう言って居間へ行き、電気をつけたそうです。

するとそこには、窓側を見つめたままニコニコ笑っている僕が

立っていたそうです。

声をかけると、いたって元気に

「あ!おとうさんお帰り!」

と言って駆け寄ってきました。

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父は元気な僕の姿を見て安心しながら

「あれ?お母さんとお兄ちゃんは?」

と一言聞きました。

すると僕は

「お兄ちゃんはわかんない・・・でもおかあさんはそこにいるよ!」

そう言って先程まで見つめていた窓側を指さしました。

父が困惑しながらどこにもいないことを告げると

僕はちょっと怒りながら窓側に駆け寄っていったそうです。

「おかあさん!おとうさんがおかあさん見えないって言ってる!」

おかしいよね、と笑いながら何も無い空間に話しかける僕を見て

「おかしい・・・」そう感じたそうです。

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そんな時兄が帰ってきました。

帰ってきた兄に父が話を聞くと

兄は喧嘩した頭を冷やしに外へ出ていたそうです。

しかし相変わらず何も無い空間に話しかける僕を見て

兄もただ事ではないと感じたのか

母を探しにもう1度外へと出ていきました。

それから1時間ほどして兄が母を連れて帰ってきました。

母は、父に説教をされ、僕の元に近寄りました。

その瞬間僕は

「おかあさん!知らない女の人が来た」

と、明確に怯えた表情で窓際に逃げたそうです。

母は戸惑いながら僕の名前を呼びつつ抱き上げようとしました。

しかし僕は暴れて必死に逃げようとしたそうです。

「◯◯!私は貴方のお母さんよ?どうしたの?」

そう言って再び近寄る母は、ひっ!と悲鳴をあげました。

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僕の真後ろにある窓ガラスには僕を抱きかかえるように

髪の長い女の人が映っていたそうです。

その時母は

「◯◯は私の子よ!!アンタのじゃない!!」

と言いながら僕を無理矢理かかえたそうです。

すると耳元に静かに

「お母さんじゃないって言ったのに」

そう囁く声が聞こえた瞬間、僕が静かに眠り始めたそうです。

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それから2時間ほど経ち、目を覚ました僕が見た光景が

「ごめんね、ごめんね」

と言いながら僕を抱きしめる母の姿でした。

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母はその時を思い出しながら

「あの時◯◯の親じゃないって言っちゃったから

私(母)が親じゃなくなるなら、可愛いアンタを自分の子供にしようとしたんだろうね」

と言っていました。

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そんな話を改めて聞かされたつい最近。

僕は夜中、頻繁に金縛りにあうようになりました。

それも、夢を見ながら。

暗い部屋の中で、母の膝に寝転がる僕。

しかしその母は向こうが見えるくらい薄くなっており

今にも消えそうな状態です。

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その対面には、白いワンピースを着た女性が座っています。

まるで、なにかを待つように。

嬉しそうに、手招きをしながら・・・・・・。

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>雪さん

コメントありがとうございます。
初めて書いた作品だったので怖さが伝わるかなぁと不安でしたが、ゾッとして貰えたようでなによりです。

これからも怖がってもらえるような作品を作れるよう精進していきたいと思います(・ω・)ゞ

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