中編6
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歌を忘れたカナリア

あの日、私のリア仲間の一人が宅飲みの席で言った。

『みんなで、怖い話持ち寄って話するんだ~(^^)』

~~

私は怖話での(百物語)を経験しているので、必死で止めた。

でも、彼はやめない。

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『ん~。でも、俺が言い出したわけじゃないし(^^』

どんなに言っても聞かない彼に、とんでもなく苛立ちを覚えた。

そして普段から(言葉は大事なツール)と言う私の信念は吹き飛んだ。

罵詈雑言で、責め立ててしまった。

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元から口が悪いのは自覚していたが、彼も昔はバリバリのヤンチャ。

多少言われたくらいではキレないと気を許した私が悪い。

酒の力もあったかもしれないが、私の言葉に彼はキレてしまい帰ってしまった。

「当分、連絡しないから」と。。

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彼は、このサイトを知らない。

あの『百物語』で生死を彷徨った人さえ居ることも知らない。

私は、その話も持ち出して口悪く罵り続けてしまった。

そして「俺、帰る」と・・。

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そこから彼からの連絡は途絶えた。

他のメンバーとは、密に連絡を取っていたらしい。

無事なのは確認できていた。

それが唯一の救いだったのだけど・・。

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日に日に、彼の周りに良くないものが集まり始めたのを、私は感じていた。

どうしようもない焦燥感。

直接連絡の取れない状況。

どうやって彼を止めたらいいんだろう・・

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自覚は無いようだが、結構な力を持ち合わせてるケイコに成り行きを話した。

そして、彼に伝言を頼むことにしたんだった。

共通の友人が居た事は、本当にラッキーだったと思う。

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日々『○○って伝えて欲しい』『○○をして欲しい』等を、ケイコは忠実に伝えてくれた。

そして、、私は同時に身代わりの儀式と呼ばれる方法を取ることにした。

修行も何もしてない、いわばド素人の私だけれど、コレは様々な事に精通した方から教えてもらった方法だった。

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昨年辞めたガテン系の職場に時折やってくる(会長)と呼ばれる人。

来れば、「沙羅ちゃん、最近気になることあるかい?」と毎回聞いてくれた。

その会長が、人払いをして、その儀式を詳細にわたり教えてくれたのだ。

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何故そんな事を教えてくれたのかは判らない。

ただ、私の未来にソレを使う時が来ると分かっていたのかもしれない。

儀式の一部始終は、一切人に見られてはいけない。

これは鉄則だった。呪術の一種かもしれない。

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だが、とある文言以外は、ある程度他人に話すように言われていた。

詳細は全てが終了した時でなければならないが、多少の事はケイコにも話した。

それは、アチラの世界の住人を惑わすためだと言っていた。

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身代わり人形を作るため、私は髪を両サイドから、ひと房ずつバッツリと切り落とした。

開始の2体。終了の2体。計4体分。

ハサミのジャキリッという音が、真夜中の部屋に響くようだった。

蝋燭を灯しただけの薄暗い部屋での孤独な儀式だ。

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そして、神社への手土産と人形その他の奉納品を持って出かけた。

教えられていた通りの事を、素早く終えたかったのだが、何故か夜中の神社に結構な人が出入りしている。

草むらや、木の陰に隠れてやり過ごしたが、みんなあのポケGOをしてるらしい。

スマホ片手にワイワイと通り過ぎていく。

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(早く、出て行ってよ~~出来ないじゃん)

私の心の呟きとも、嘆きとも取れないような感覚。

しばらく身を隠して、耳鳴りが伴うような静寂が来た時に、私は目的を果たした。

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紙垂に括りつけた彼の人形に私の血を。

私の人形は、文言と共に彼の人形と取り替える。

そして、人形は見られてはいけない物なので、この辺りでは大きな川へと向かった。

勿論、川に流すためだ。

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が・・水量が足りず、流れて行きそうもない。

仕方なく、別の場所・・

少し離れた湖までのドライブとなった。

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その湖までの道中には、心霊スポットもたくさんある。

気味が悪いが、うねる山道をひたすら走る。

そして、無事に湖の底へと沈めてくることができた。

これで、彼を私だと勘違いしてくれるはず。

どうか成功して欲しい。。。

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・・やっぱりな。。。

会長の言ったように、私の部屋には異変が無数に起きた。

触ってもいない台所の照明が点いたり消えたり。

立ち上げていないPCがいきなり、ヴーーンと音を立てて立ち上がる。

画面もおかしい。キリがないほどの異変。

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『沙羅ちゃん。最高潮になったら、こうやって祓って終了させるんだよ』

会長の言葉が耳に響くようだ。。

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ケイコに伝言を頼んで、伝言通りしてくれたかどうかの確認も取ってもらった。

どうやら、彼の方でも「もうやめようか?」という話が出たようで、心底安心した。

なんか、やめたみたいだよ?

その言葉を聞いて、私は終了の儀式の準備を始めた。

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奉書紙を丁寧に切り、紙垂を2本分作る。

(紙垂は、よくしめ縄に付いてる紙のヒラヒラです)

後は、開始の方法と同じようでいて、ちょっと違うやり方をする。

髪人形は、やはり必要なのだけれど。

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そして、やはり前回の川では流れそうにもないので、また湖へと向かう。

終わるまで人に見られちゃいけない。

丑三つ時の作業となった。

~~

滝行などで使う白い着物?なんかがあれば良かったが、生憎、どこで売ってるかもわからないし時間もない。

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で、私は誰もいないのを充分に見回って確認をし、裸になって湖の中へと歩を進めた。

湖水が爪先に触っただけで凍えそうだ。

だが、文言以外のことを口にしてはいけない。

間違っても『冷た~い』とか『寒い~』なんて言えない。

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湖ではあるが、波が繰返し押し寄せてくる。

少しずつ、少しずつ摺足のようにして肩が浸かる所まで行って、最後の文言と共に湖に投げた。

曇っていたので、よく見えなかったのだけど、まるで魚か何かが食いついたかのように、2本の紙垂は水中にトプッっと沈んで浮かぶことはなかった。

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私は、それを見届け、沈んだ場所辺りを見つめながら浅瀬へと後ろに下がる。

水位が膝のあたりまで来た所で湖に横たわった。

時々呼吸をするために顔を上げるが、体の芯まで冷え切るまでだ。

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歯を食いしばっても歯の根が合わない。

その位、冷たく寒い。

伸ばしていた髪が顔に掛かるのも気持ち悪い。

そして、時々私の足首を何者かが掴むが、顔を上げる以外の動作はしない。

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一切声を出さず、足首を掴む何者かも遠のき、奥歯が砕けるかと思うほど食いしばったまま、心の中で成功を祈りながら文言を唱え続けた。

指先が既に感覚が無い。体が思うように動かない。

低体温症の状態に近かったろう。

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呼吸のための顔を上げる動作も鈍くなった。

(そろそろ私が持って行かれそうだ)

そんな感じになってから、やっとの思いで砂浜まで何度も転びながら辿りついた。

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あらかじめ持ってきていたバスタオルさえ満足に掴めない。

が、早く着替えてこの場を去らないと!

こうなったら、体が濡れていようと構わない。

とにかくガチガチと鳴る歯を再度食いしばってタオルや着替えを抱え、車に戻った。

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ヒーターをMAXにして、しばらくタオルにくるまっていた。

バクバクしていた心臓も落ち着いてきた。

痺れて動きが鈍かった指先も何とかなるようになった。

そして着替えを済ませ、自宅へと帰り着いた。

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真っ暗な部屋で蝋燭に火を灯す。

儀式終了の言葉を告げ、火を消した。

これで・・本当に良いのだろうか?

彼は無事だろうか?実害は無かったろうか?

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最近になって、やっと彼とのラインが復活した。

(無事で・・良かった)

涙で、文字が見えない。

少しずつ元に戻れたら良いな・・・。

そんな事を思っていた。

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そして、私はこの件によって殆どの不思議力を使い切ってしまいました。

まるで歌を忘れたカナリアのようです。

時間と共に戻ってくるものなんですけどねぇ~(^^;

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そしてこれは割と最近の出来事です。

で、この作品をUPしたら、怖話無期休業に入ろうと思います。

m(_)m

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はっ!!
私のバカー

初めて、ちっちっちさんと絡めたのに、抜けたー⤵
失礼極まりないのですが、天然なんで許してください。

とゆーか、私のグダグダ話、読んでいてくれたんですね(*^^*)
無茶苦茶嬉しいです!

復帰してきたら、是非是非、もっと絡んでくださいな!
なんなら、ほどけない位に!
また、しばらくしたら、宜しくお願いします!

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