短編1
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一休さん

 旅の絵師が宿賃代わりに描いた雀が、画面から飛び出して餌を探しに行くという落語があります。

 落語は江戸のお話ですが、室町のころにも同じような絵師がいたそうで──

 その絵師は、自分の絵を宿賃代わりにして泊まり歩いていた常習犯で、さて、この物語に登場する宿では、部屋の屏風に大きな虎を描いたのでした。

 その直後から、この部屋の客の失踪が続くようになりました。その度に、屏風の虎の口は赤黒く汚れて……。

 恐ろしくなった宿の主人は、その屏風を売り払うことにしました。

 それを買ったのは、時の権力者の、将軍の義満公でした。義満公は、その虎の絵を大層気に入りました。まるで生きているみたいなのです。

 そこで義満公は、とんちで有名な一休さんを呼んで、

「屏風の虎を捕らえてみよ。一晩、時間をやる」

 と命じました。

 将軍様の命令です。一休さんは、仕方なく一晩を虎の絵と過ごしました。

 翌朝、部屋に行くと、屏風に虎の姿はなく、床には一休さんの惨たらしい死体が転がっていました。

 それを見た義満公は、

「あわてない、あわてない。一休み、一休み」

 と言いましたとさ。

 お後がよろしいようで。

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自分の作品を読んで頂いたのに返事出来てなかったり、その他、色々なミスを既にしてしまっているかも。
一度、そんなのを全部書き出してチェックしなければ。
感想を返していないのに返したつもりになっていたり、まったく違った場所に書き込んでしまっていたり……。
そういう失礼に気付かれたときには、済みませんが教えて下さい。

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よ~ちゃんさん。
評価して下さってありがとうございます。
残念ながらトラの行方は僕も知りません。

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むぅさん。
評価して下さってありがとうございます。
でも、気にしない、気にしない。

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mamiさん。
評価して下さってありがとうございます。
このオチは、恐怖というよりギャグかも。

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