中編3
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羨望ガール

写真を投稿するSNSアプリで、

私はひたすら食べ物の写真をアップ

していた。ファンは少ないが、毎回

チェックしてくれる人がいて、楽しさも

感じていた。

ある日、旬の投稿をスクロールして眺めていると、

八頭身はある美人がエメラルドグリーンをした海と共に写っている写真があった。

白い歯を輝かせ、眩しい笑顔を見せている。こんな美人は女優さんでしかみたことがなかった。

その人の過去の投稿をみてみると

『高校時代のともだちと一緒にグアムなう

やっぱり落ち着くmember♡笑』と書かれている5人で写った写真があったり、『かれぴっぴ。笑笑』と書かれた、美形の男性とハグをしているプリクラなどがあったりした。

私は嘆息を漏らした。美人で周りからも愛されている…。私は、嫌われてこそいないが、存在感があまりなく、一部の人としか話せていない。容姿も地味な顔立ちで、普通体型である。現状に不満はないが、この女性のように毎日が充実していて、周りから慕われる人生であれば、もっともっと幸せだろうに…と思った。

私は彼女をフォローして、反応を表すスタンプを押したり、メッセージを送ったりした。彼女は、私をフォローこそしないが、

メッセージには丁寧に返事をしてくれた。

「美人さんですね♪〇〇(ブランド名)のワンピース似合ってます!」

「えー、そんなことないよ( ; ; )でも、

お気に入りのワンピースだから褒めてもらえて嬉しい〜♡」などなど。

彼女は、きっと性格も良いのだろう。

何もかもを持っている彼女が羨ましかった。彼女みたいになりたい。その思いは日に日に強くなっていた。

ある日、大学の大講義クラスでたまたま隣になった女の子をふと見ると、結構なお値段のするブランド物のバッグを持っていた。限定品だから、よく目立っていた。

その女の子は、暗そうな雰囲気で、お世辞にも可愛いとは言えない子であった。

(なんか意外だなぁ…)

それはそれで流していたのだが、写真投稿SNSを開くと先ほどのバッグが写っていた。例の羨ましい彼女だ。黄色の膝丈スカートの上にちょこんと乗せている。

(あれ…?)

隣を見る。女の子も、黄色のスカートを履いているのだ。しかも、バッグも同じブランド物の限定品である。

(…偶然かなぁ)

しかし、私は気になって、大講義にはその子を探し、服装や小物をチェックするようになっていた。彼女に関する物事には敏感になっていた。この頃には、彼女が持つ商品は全てチェックしていたし、彼女が行ったお店も可能な限り行っていた。特にブランド物を持つ彼女がサマになっていて、羨ましい限りだったから、敏感に反応してしまったのだと思う。やはり、同じ物ばかりを持っている。彼女のファンかと思った。彼女は美しいし、カリスマ性がある。ファンが大学内にいてもおかしくはない。私は思い切って隣に座ったとき、彼女に話しかけてみることにした。

「あの、この人のファンの方ですか?」

女の子は、ビックリしたのか目を丸くし私の示した画面を凝視して「あ、あ…」と小さく呟いた。彼女は携帯を落とした。私が拾うと、画面がまだ表示されていた。そこには

いくつかのゲームアプリの他に

膨大な数の修正及び加工アプリと、私の加入しているSNS投稿アプリがあった。

後からわかったのだが、友達代行サービスなるものがあるらしい。

しばらくしてアプリから彼女は忽然と消えた。更に、女の子は講義に来なくなった。

「ねぇねぇ今、この子オシャレな写真で有名なんだよ〜」

「うわ、彼氏さんイケメンすぎ!羨ましい〜」

女の子たちが騒ぐ。

私は優越感に浸っている。

次の羨望の的は私である。私は「彼女」になった。

Concrete
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