短編2
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我が家

知り合いから聞いた話です。

40年位前の昔話…

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私の家は、○○ニュータウンという新興住宅街にあります。

この時代は日本中で景気も良く、私の家も中古ですが一軒家の購入する事になりました。

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その家は2LDKで陽当たりも良く、家族の反対も無かった為、購入を決めた物件です。

購入から1ヶ月がたった頃、母方の祖母が体調の不安もあり、同居することに…

この頃からです。

家で不思議な事がおきるようになったのは…

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最初は、地震でした。

「ねえ、お父さん…昨日の夜の地震、平気でしたか?」

私の言葉に不思議な顔をして首を傾げる旦那…

私は義母にも確認します。

「そうね。大きい地震でしたね…」

との、義母の言葉。

「車、運転してたからな。気づかなかったかな?」

朝の忙しい時間帯…不思議に思いながらもこの話しはここで終わった…

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二つ目は飼い犬…

我が家に2年前からトイプードルを飼っているんですが、活発な子犬で家中を駆け回るほど元気でした。

この家に来るまでは…

今は極力、私達の寝室で過ごして駆け回る事もありません。

最後が義母さん…

深夜3時半、虚空に向かって1人で話しているのです。

いつも…いつも…

翌日、義母さんに確認しても知らないの一点張りで

話しになりませんでした。

「あなた…義母さん、大丈夫かしら…?」

「ああ…ボケてきたのかな…」

主人も心配はするんですが、普段は問題ないだけに様子を見ようとの事でした。

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2ヶ月後、私達は絶望していました。

この家のみで起こる地震…

毎週、火曜日の19時24分に揺れる。

トイプードルは自分で寝室のドアに頭をぶつけて死にました。

義母さんは…元気です。

元気なんです…皆が憔悴しきっているのに。

「なんで、義母さんだけ元気なのよ!」

仕事から帰ったばかりの夫に不満をぶつけます。

夫も会社でストレスを抱え、家に帰れば私の愚痴をぶつけられる。

「母さんが元気なのが何が悪いんだよ!」

些細な争いは絶えず、私達の心身ともに限界でした。

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1年後、私達はこの家にいます。

当然、引っ越しを考えました。

ただ、何故か物件が見つかりませんでした…

夫もこの家にいます。

仕事はもうしていません…

する必要が無いからです。

私もこの家にいます。

もう元気です。

苦しむ理由がありませんから…

義母さんも元気です。

愛犬も元気です。

もう、引っ越しは必要ありません。

家族は皆…元気なんですから…

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この話しは知り合いから聞いた話です。

ある地域で語り継がれる話…

その家が無くなってから長い年月がたちました。

ですが…この話しが廃れる事はありません。

何年たっても…この話しを語る仲良さげな家族がいるんですから…

Concrete
コメント怖い
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十分怖いですがな(°Д°)

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