中編6
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7番部屋

怖いとは思われないかもしれません。

申し訳ございません。

以前、“俺の耳”という話を投稿させていただきました。それも実体験になります。

宣伝などではございません。

それに続き、今回は実体験になります。

私がカラオケ+ネットカフェの店舗で働いていたときの話です。

今回はカラオケでの出来事です。

こういったお店で働いたことのある方なら“あったなぁ~”なんて思われるかもしれません。

どういうわけか、どうしてもトラブルが頻発する部屋があるんですよ。

うちの店舗では厄介なことに、そこそこの大部屋(8~10人部屋)7番と呼ばれる部屋でした。

こういう部屋は人数の多い方を案内するため、はっきり言って“お金になる”んですよ。

中には大部屋が空いていないと別のお店に流れてしまったりするので、この部屋の稼働はなかなかに重要です。

それに、8人を“4人部屋+4人部屋”の2つに分けるより、“1つの部屋に8人”放り込んだ方が会計時も楽なんですが…。

前置きが長くなりましたね…。

では、本題に入ります。

――――――――――――――――――――

私が違和感を感じるのに時間はかかりませんでした。

働き始めて2週間くらいが経ったころです。

私は一番のベテランのAさん、と二番目のBさん(共に女性、しかも美人)

どちらかと自分の二人で、もしくは両方と自分の3人で仕事に入ってました。

ある日俺が仕事に入ると、7番が“調整中”となっていました。

「Aさん、7番どうしたんです?」

『う~ん、なんかマイクの入りが悪いのよ~』

「スピーカーが悪いってことですか?」

『たぶんそうだと思うんだよね~、マイク代えてもダメだから。7番止まると困るわ~』

と眉を八の字にしてパソコンを見てるAさん。

そういう時に限って7、8人組の客が来るもんだ。

「本当に客って間が悪いですよね~。こういう時に限ってその人数かよ!って思っちゃいますよ~」

『確かにね~、空気読んで欲しいわ~』

なんて、会話してました。

それから、

Aさんが店長に連絡し、業者に修理を依頼しました。

二日後くらいには業者の方が来て無事修理を終えました。

それから、1週間後の俺が12時から入る日のことです。

その日は俺とBさん、Cの3人でした。

俺がタイムカードを切り、厨房に行くとBさんが俺のとこにやって来て

《あのね!7番なんだけど、テレビの調子が悪いの。cloloくん見てきて貰えないかな?》

俺が機械ものというか、そういうのに少し強いってことをBさんは知ってるため、俺に言ってきました。

ちなみにBさんは配線とか苦手なんです。

「Cがいるじゃないですか?彼の方が俺より長いからわかるんじゃないです?」

《彼はね~、ダメなの。使えないし嘘つくから》

Bさんは可愛い顔して、かなりはっきり言う人でした。

仕事に厳しいって訳ではないけれど、“やってないこと、やれてないこと”を“やりました”と平然と言うCについて見限っていました。

俺でさえ、“Cは口ばかり動いて、使えないやつ”と思ってましたけど。

ちなみにAさんも“Cは今まで見てきた中で最も仕事を覚えないやつ”と言ってました。

Cは問題児で、俺はこいつのせいで口唇ヘルペスができました。

脱線しましたね…

「そうっすね~。わかりました!ちょっと行ってきます。」

Cはどうでもいいけど、Bさんに頼まれたとあっては何とかしないと!

と思い7番に行きました。

確かに、画面に激しいノイズが入っていました。

うちの店は機械からHDMIでテレビに出力してました。

そこで、何が悪いかを知るために入力切り替えを行ってみると、ノイズが無くなりました。

つまり、テレビではなくケーブルが悪かったのです。

ですが、運が悪く予備のケーブルが無く。

ん~。どうしたものか…

名前は忘れたのですが、赤白黄のケーブルとか差してなかったっけ?と思い“ビデオ入力”にするとノイズが無く綺麗に映りました。

応急処置としてなら十分だろう。

と部屋を出ようとドアノブに手をかけるとガラス扉に反射した室内で、私の後ろに何かいるように見えました。

ん?

と振り返ってみましたが、誰もいませんでした。

まぁ、いいか。と思い厨房に戻って

「Bさん。応急処置ですが、映るようにはしましたよ」

《本当に?!》

「見てもらえますか?」

と、二人で7番に向かい確認してもらった後

ドアノブに手をかけて扉に反射した背後を見てみましたが何もいませんでした。

それからも、7番のマイクの充電器が壊れたり。機械がフリーズしてしまうなどトラブルが続きました。

俺はいよいよ気になって

Bさんに

「7番だけトラブルが頻発しません?」

なんて聞いてみると

《そうだね~…》

「何かあるんですかね~?」

《実はね、Aさんなんかは女の人を見たことがあるらしいのよ》

「7番で?」

《いや、客は入っていないのに廊下を女の人が歩いてたらしいんだ》

「へぇ~」

なるほど、ガラスに映ってたのもそいつなんだろうな

「でも、そういう“霊”ってのはなんか女性が多いですよね。男の霊の話も聞くけど、女の霊の方が多いですよね~」

《女の方が執念深いからじゃない?》

なんて話をしました。

――――――――――――――――――――

部屋を止めるほどではないにしても頻発するトラブル

そんなある日、大きなことがトラブルが起こりました

その日は俺とAさん、Bさんの3人でした。

お客さんは引率兼保護者一人と小学生6人の計7人で来店されたため7番に案内しました。

スナックプレートやホットケーキなどたくさんのフードの注文が入り、厨房でてんやわんやしてたら小学生がフロントまでやって来て

【友達が大変で…】

と泣きそうになりながらやって来ました。

《ちょっと行ってくるね》

と、Bさんが7番に様子を見に行くと

《ヤバイヤバイ!Aさん!7番ヤバイです!》

と言いながら戻ってきました。

『どうしたの?!』

とバタバタしながら二人で7番に戻っていきました。

俺は厨房でドタバタしてました。

5分くらいして二人が戻ってきて

『cloloくん、7番見てもらえる?』

「あ~、はい。どうしたんです?」

『それがね~』

と7番に行ってみると

画面に縦横派手なノイズ、色はおかしくなっていました。

「なんすかこれ?!」

『それが、子供が喧嘩してマラカスを投げたらテレビに当たったらしくて。どうなってるかわかる?』

保護者の人は何をしていたかと言うと、子供を二人送って行っていたため不在でした。

つまり、子供だけだったんです。

フードを届けたときなんかは仲良くやっていたと思ったんですがね。

とりあえず、

テレビが悪いのか、喧嘩した際にコードの接触が悪くなったのか調べてみると

どうやら、液晶の内部がやられてしまってるようでした。

はぁ…と思い、部屋を出ようとすると部屋の隅に女が立っているのがわかりました。

にや~っと口角を上げ綺麗な半円にし、俺を見てました。

やりやがったな…。ってのが真っ先に浮かんだ印象でした。

子供にとり憑いたか、影響を与えたかはわかりませんが

こいつが何かをして子供を喧嘩させたんだ。とすぐにわかりました。

――――――――――――――――――――

いよいよ、

どうにかできないものか。と思いましたが

俺は霊能力者ではないし、普段は全くと言っていいほど見えない。

二番煎じもいいとこだが、清酒を買い業務の合間に7番に行き

「別にこの店から出ていけとは言わない。けど、この部屋はやめてください。迷惑です。」

と、片隅に清酒を置き手を合わせました。

これが効いたかどうか、わかりませんが

7番でのトラブルは減りました。

しかし、別の部屋のトラブルが少し増えました。

金になる部屋じゃねぇならとりあえずいいかって感じでした。

彼女は、

自分の居場所と定めたところを荒らされたくなかったんでしょうが、店としては迷惑な話でした。

あぁ、それと。

俺がレジをしていると、たまに隣から手を出してくるようになりました。

ガン無視決め込みました。

驚くと調子に乗ると思ったので

Concrete
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小夜子様
お読みいただきありがとうございます!
一人カラオケとは言うけれど、その実一人とは限らないですよね笑
夜ドライブしてても後部座席に誰か座ってるんじゃないかといつもバックミラーを見てしまいますw

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月舟様
お読みいただきありがとうございます!
自分も霊感なんて特にないんですよ~
近くにいる!なんてのもわからないですし笑
それが、何故かどんな顔だったのか?印象が無くなってるんですよ~
誰かに顔のイメージだけごっそり持っていかれてる感じです笑

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はと様
お読みいただきありがとうございます!
自分も幽霊うんぬんより、弁償代や店側とのやりとりの方が怖いだろうなぁと思いました笑
壊した後の子供の顔は見るに耐えられないものがありました(-_-;)

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