短編2
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夏の夜に

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私が高校3年生の夏の話である。当時、私は某旧帝大を第一志望にしており、毎日夜遅くまで勉強していた。兄弟はいたが、皆、実家から出て一人暮らしをしていたため、家には両親と祖母の4人で暮らしていた。祖母は9時に、両親は遅くとも11時には寝ていたため、1人で毎日居間で勉強していた。

その日も、夜遅くまでテレビをつけて勉強していた。とても暑かったがエアコンはつけず、扇風機と窓を開け、網戸の状態にしていた。実家は田舎のため、その状態で十分涼しかった。ただ、網戸からたまに蚊などの虫が入ってきたりしていたので蚊取り線香も炊いていた。途中お腹が空いたので、ラーメンを炊いて間食を取った。

夜中の2時を過ぎ、そろそろ寝ようかと思いテレビと蚊取り線香を消し、私は居間から出て自分の部屋に向かおうとした。すると、先ほど消したはずのテレビがついたのである。

毎日のように夜遅くまで勉強して、朝も早かったため、正直疲れは溜まっていた。消した確信はあったが、『疲れているから消したと思い込んでいたのだろう。』と自分に言い聞かせ、居間に戻りテレビを消した。そして、部屋に向かった。

するとまた、テレビがついたのである。2度目となるとさすがに私も気のせいとは言えなかった。確かに実家ではたまに変なことが起こってはいたがここまでハッキリとしたものは初めてだったので私は動揺した。

緊張感が私に走ったためか、私は喉が渇いた。『飲み物でも飲んでとりあえず落ち着こう』とキッチンにある冷蔵庫へと私は向かった。そこで私は異変に気付いた。

キッチン周辺がガス臭いのである。先ほどは蚊取り線香を焚いていたので居間にいる間は気づかなかったのだろう。私はコンロを確認するとガスの元栓が開いていることに気付いた。ガスが漏れていたのである。きっと間食を作り終えた際に消し忘れていたのだろう。『あぁ、危なかった。気付いて良かった。』と思い、ガスの元栓を閉めた。

その後、ついているテレビを消し、またつくのではないかと内心ドキドキしながら部屋へと向かった。

しかし、再びテレビがつくことはなかった。そして私は部屋に着き、私は寝た。

次の日、私が起きて居間へ向かうと母親がいつものように朝ごはんと私のお弁当を作っていた。その光景を見てわたしは思った。

『昨日、もしテレビがつくことなく私が寝ていたら、ガスが居間に充満し、母親が料理を始めようとコンロをつけた瞬間…』そう考えるとゾッとした。

きっと私の守護霊か何かが私にガスの元栓が開いていることに気づかせようとテレビをつけたのではも私は考えている。

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