短編1
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口は災の元

最近、見えなくていいものが見える。

正確には『また見えるようになった』と言った方が正しい。足元に。腰元に。時には肩越しに。ふと気が付くとソレはいる。

「斎藤さんは全然仕事が出来なくて困るなぁ〜。僕なんてこんなに頑張ってるのに。」

「入野くんは本当にいい加減だねぇ〜。そんなんじゃ昇給してあげられないなぁ。」

呪詛の様に永延と紡がれる言葉には悪意が込められている。だから、それは生まれた。そして育っていく。

「皆、僕を困らせないでよぉ。僕ばっかり頑張ってるの気付いてる?」

ええ、気付いていますよ。貴方が頑張って育てているもの。私にはちゃんと見えてますから。

気付いていないのは貴方の方ですよ。

貴方の撒いた種から生まれた沢山のソレ。

「詩音ちゃんだけだよぉ。信頼出来るのは。他の人達は全く使えないんだからさぁ。」

ほら、また少し大きくなった。

もう腰元位の大きさまで来てますよ。

あと少しあと少し。

でもね、教えてあげない。

『口は災の元』

貴方の撒いた『悪意』から生まれた『呪』

もう少し大きくなって、あと少し濃くなって。

楽しみですね。

知らぬが仏とはよく言います。

ほらまた一つ、生まれた。

Concrete
コメント怖い
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こういう人を見ると気を付けようと思うんですよね。
言霊って昔からよく言いますしね笑

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