短編2
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エレベーターの女

これは、私の友人から聞いた話です。

A子は、N県Y市に住む、ごく普通の女子高生だ。

A子の住むマンションは6階建てで、A子はその4階に住んでいた。

ある日、部活で帰りが遅くなったA子は、疲れていたこともあり、いつも通りエレベーターを使うことにした。

エレベーターの扉の前で待機していると、静かに扉が開いた。

乗り込もうとしたA子は、中を見てぎょっとした。

その狭い空間の中に、黒い喪服を着た、髪の長い女が立っていたからだ。

しかも……

女は後ろ向きで立っており、A子に背を向けていた。

A子は怖くなったが、そのまま乗らずに帰ってしまうと失礼なので、仕方なく乗り込むことにした。

エレベーターに乗り込んで4階のボタンを押す。

すると静かにエレベーターが上昇した。

女は奥にひっそりと立っている。

A子はとても不気味だったので、すぐ出られるように手前に立っていた。

やがてエレベーターは4階で止まり、A子はそれを合図に飛び下りた。

エレベーターの扉が閉まりかけている時、A子は恐る恐る振り返った。

が、女は尚も後ろ向きで立ち尽くしていた。

その日もA子は遅くなり、エレベーターを使用しようと試みたが………

あの日の記憶が走馬灯のように蘇った。

だがA子は、

「危害は加えられなかったし、エレベーター使おっかな」

と、自分で自分を安心させ、ボタンを押した。

音もなく開く扉。

「ヒッ」

呻き声を上げてしまったA子は、慌てて口をおさえた。

女の立つ位置はこの前と変わっていない―――

だが僅かに――

女の体の向きが変わっている―――

「イヤーーー!!!!」

A子は力の限り叫び、踵を返して走り去った。

その日からA子は一切エレベーターを使わなかった。

乗り込もうとして扉が開くと、女が少しずつこっちを向いてくる―――

その事実が怖く、A子は階段で4階まで駆け上がっていた。

2ヶ月後――

さすがにもう大丈夫だろうとA子はエレベーターのボタンを押した。

その先には――――

完全にこっちを向いた、俯いた女の姿があった。

そして女は顔を上げた――――

「やっと……来てくれたね………」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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