青薔薇古物店 「スマートフォン⑤」

中編3
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青薔薇古物店 「スマートフォン⑤」

その日の夜。

僕は動画を夢中になって観ていた。

テレビもない僕の部屋で、スマホは連絡手段であると同時に最大の娯楽品だった。

(明日の朝はゆっくりできるし、もう少し観てから寝ようかな…)

時間は刻々と過ぎて行った。

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ひとつの動画を観終わり、次に何を観ようか関連動画を吟味していた僕は

いつのまにかメール着信のアイコンが上部の帯についていることに気が付いた。

「またメールか。」

そのアイコンをタップして、メール画面へとぶ。

内容は、昨日とまったく同じものだった。

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「…また『資料を添付しました』か。」

添付されたフォルダを開くとやはり真っ黒な画像が1枚。

(迷惑メールや詐欺メールにしてはサイトのURLがないしなぁ…。)

送信元のアドレスを見てみるも電話帳に登録のないアドレスで、心当たりもまったくない。

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だからといって『送り先、間違えてませんか?』なんて返事を送るのも危ない。

返信を待って、使われているアドレスだとわかったとたんに大量の迷惑メールを送りつけてくるというやり方があると聞いたことがある。

僕は放置することに決めた。

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メールは毎晩届いた。

メールでやりとりする友人がいない僕の受信フォルダには、全く同じ文で、全く同じ画像の添付されたメールが5件、10件と溜まって行った。

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スマホを替えてから2週間がたった。

僕は食堂のいつもの定位置で、動画を観ながら昼食をとっていた。

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「やっほ~。」

僕の肩に手を乗せて、話しかけてくる友人。

「…サークルなら行かないよ。」

「相変わらずつれないねえ。L●NEの中のお前の方が愛想いいんじゃない?」

「お前にふりまく愛想は持ち合わせてません。」

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ここで優しくするとしつこさに拍車がかかるので、このくらいでいいのだ。

昼食の片づけをしようと、動画を止める。

何の動画を見ていたか覗き込んできた友人が、あるものを見て驚いた。

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「えっ、お前メール10件以上放置してんじゃん!依存症かつマメなくせに珍しい。」

「ほっとけ!迷惑メールみたいで毎日同じものが届くんだよ。」

「え、見して見して。」

「…見てもつまらないぞ?」

そう言ってスマホを友人に渡し、友人は新しい日付から順にメールを見ていった。

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「なんだこれ?資料ってこの真っ黒な画像だけじゃん。」

「だろ?だからほっとくことにしてるんだ。」

「ふーん…。」

友人がまじまじと画像を拡大したり、向きを変えたりして見つめる。

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「おい、この画像L●NEで送っておいてよ。」

「え、なんで…。」

「もしかしたら何かの暗号かも?俺の探究心に火が付いたぜ!」

「まあこんなんで良ければ送るよ。」

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画像のおかげでサークルの飲み会の誘いから話からそれた事

僕はそこに安堵し、その場で画像を友人へ送信した。

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店主さんのあの澄んだ目から逃げるように帰ったあの日以降、古物店の前を通って帰ってない。

(久しぶりにあの道で帰ろうかな…。)

僕は、2週間ぶりにお店の前を通る道で帰宅しようと歩いた。

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人と車の行き交う夕方の大通りから、店の方へと進行方向を変え歩く。

お店の青い薔薇が見えてきた。

(ん?店の前にまた人影が…。)

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店主さんだった。

店主さんはまっすぐとこちらに顔を向けていた。

遠くで、細かな表情は見えなかったが、

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こっちを真っ直ぐ見ていた。

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(…僕に気づいてる?)

頭を軽く下げてみると、綺麗な会釈が返ってきた。

僕はスマホをポケットにしまい、駆け足で店主さんの元へと行く。

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「こ、こんにちは。」

店主さんの足元には白い猫が1匹いた。

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店主さんはじっと僕をみつめ、そして微笑んだ。

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「…15。」

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⑥へつづく。

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続きが気になる( *´艸`)ワクワク

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今一番の憧れの方がコメントにきてくれてる!
mami様ありがとうございます!
mami様のアワード作品に感銘を受け、読み専だったときとアカウントを変えてこの作品を以前あげました(失踪したけど)
本当は祝賀会の作品としてあげたかったけど、出遅れた上に迷走して結果挫折しました…
猫と青薔薇はお察しの通りです(笑)
猫の容姿、確かに耳は茶色でした!次回のお話に加えます!
本当にありがとうございます!

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最終的にみなさまをがっかりさせないようにがんばります…
フライングまでしてもらって「なーんだ」と思われないように…!
に、逃げちゃダメダ逃げちゃダメダ
はと様嬉しいコメントをありがとうございます!

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むう様コメントと評価ありがとうございます!
毎回楽しみに…なんて素敵な言葉ですか。
重力に逆らって飛びそうです(笑)

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月舟様、今回も読んでくれたんですね!
ありがとうございます!
コメントをもらえるってこんなに嬉しいんですね。
これで今日の夜勤も頑張れそうです(笑)

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