中編3
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当時の私は4歳ころだったと思います。

父親がアメリカへ留学しており、母は私を養うために昼夜問わず働きに出ていたので、私は託児所と呼ばれる施設へ預けられることがほとんどでした。

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その託児所は、2つのクラスがあり、日中に預けられる子供たちはヒヨコ組。

深夜枠で預けられる子供たちはウサギ組に分かれていました。

終日、託児所で過ごすことが多かった私は、ウサギ組で過ごすのが日課でした。

そのウサギ組に、新しく入ってきた、少し変わった女の子のお話です。

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その子の境遇は敢えて此処では伏せますが、入って来た時から、子供らしさが無いと言いますか、どちらかと言えば大人しい子で、いつも教室の隅で一人で絵を書いていたのが印象的でした。こちらから声を掛けても基本的には無視されてしまうので、いつしかその子(仮にBちゃんとする)に話しかける子はいなくなってしまいました。

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思い返せば、私はBちゃんとはまた違った意味で変わったタイプの子供で、みんながBちゃんを避けるようになっても、私は過度にBちゃんに接するようにしていました。それでもBちゃんは、私の話を終始無視し、隠すように絵を描くのに没頭しています。いつしか私は、何の絵が書いてあるのか。興味を抱くようになりました。

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そんなある日、深夜1時を回った頃に、Bちゃんの母親が託児所へお迎えに来ました。Bちゃんの母親は綺麗な人だったのですが、どぎつい香水の匂いが鼻につき、あまり好きではありませんでした。寝ぼけた頭でBちゃんの帰宅を見送り、私は再び眠りにつきました。母が私を迎えに来たのは午前4時前くらいだったかと思います。帰り支度をしていると、ふとある自由帳に目が止まりました。

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それは、いつもBちゃんが使っている自由帳です。いけないと思いつつも、中身が気になった私は、その自由帳をこっそり家へ持って帰ることにしました。仕事疲れで早々に眠ってしまった母の隣で、薄っすらと日が開けるのをカーテン越しに感じながら、私は自分のカバンの中からあの自由帳を出しました。

(いったい何が書いてあるんやろう。)

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子供が持つ、純粋な興味です。

なんの躊躇いもなく、私はその自由帳を捲りました。

動物の絵が書かれています。

次のページには色とりどりのお花畑の絵。

お母さんとお父さん、そしておそらくBちゃんであろう子供が手を繋いでる絵。

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次のページを捲った時、私は全身に鳥肌が立つのを感じました。

真っ赤なクレヨンで塗りつぶされたページ。

その次のページには、先程の父親と思しき人物の首が千切れている絵。

ボールペンで何度も何度もえぐるように書いたと思わせるような黒い円。

(…何、コレ。)

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私は、言いようのない恐怖に襲われました。

しかし、ページを捲る手は止まりません。

何枚にも渡って描かれる残酷かつ不気味な絵。

その中に、私の目を引く絵が描かれていました。

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短髪の女の子が刃物で腹部を刺されている。そんな絵でした。

託児所のウサギ組の子供たちの中で、唯一短髪だったのは私です。

この絵のモデルってまさか…

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翌日、Bちゃんが託児所へ来る前に、自由帳を元あった場所にそっと戻しました。

それ以来、私が無神経にBちゃんに話しかけることもなくなりました。

程なくして、Bちゃんはその託児所から別の施設へ移動することになったのです。

いつもなら行われる「お別れ会」も執り行われること無く、来た時と同様にひっそりと姿を消したのです。

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事の真意は今でも分かりません。

ですが、Bちゃん一家に何かしらの事件があったことは明確でしょう。

子供はとても純粋ですよね。

純粋故に壊れてしまうと狂気に染まりやすい。

今だからこそ、そう痛感します。

Concrete
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つっきー

今では知る由も無いけど、
そのまま育っていれば、うちと同じ25歳やで。

退会者を覗いたら90人なんよ!!
100人突破したら何かしたいなー♬

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